Amazonの転売対策は?転売を放置するリスク・影響・注意点を紹介

Amazonの出品者が増えるなか、ネット上での転売行為が問題となっています。

転売はブランドイメージの低下だけでなく、価格戦略において弊害が生じたり、対策のためのコストが増えたりなどの課題が生じます。

Amazonの転売を放置するとさまざまなリスクがありますが、法的に禁止されているわけではないため、対策は事業者自身で行わなければなりません。

この記事では、Amazonの転売対策や放置のリスク、影響、注意点などを紹介します。

 

1.Amazon転売とは

Amazon転売とは、Amazonよりも安く販売しているところで商品を仕入れ、Amazon上で商品を出品・販売することで利益を得る行為です。

買い占めや価格を不当に吊り上げる行為、数量限定商品を高額転売するなど、社会全体の問題となっています。

なお、Amazonの問題として挙げられることの多い相乗り出品と転売は異なるものです。相乗り出品についてはこちらの記事でも詳しく解説しています

 

1.1. Amazon転売の法的な位置づけ

Amazonで転売が行われているのは、法的な違法性がなく取り締まりができないためです。

転売する側から考えると、低リスクでなおかつ個人でも簡単に出品できるAmazonは、転売しやすいプラットフォームといえます。

Amazonの利便性に加え、法的な抑止ができないことも重なり、転売が横行しているというわけです。

一般的に「転売はしてはいけない行為」と認識されているものの、転売に違法性はないため、防止するためには自身で対策を講じる必要があります。

 

1.2. Amazonのページの仕組み

Amazonは他のECモールと異なり、一つの商品に対して一つのページが原則となります。

複数の事業者の商品が一つの商品ページに含まれ、その中でトップ表示されるのは一事業者の商品のみです。

また、Amazonはユーザーファーストの考えに基づいてサイト設計を行っているため、トップに表示されるのはユーザーにメリットのある商品となります。

例えば、Amazonプライムであるか、商品販売価格が安いか、ポイントの付与率などです。

機械的にしかブランドや商品を判断できないため、どれだけブランド公式のサポート体制や商品保証条件がよくても、カート獲得の判断基準としてみなされません。

 

2.Amazon転売のリスクや影響

Amazonで出品している事業者にとって、自社の商品を転売されることにはさまざまなリスクがあります。

ここでは、Amazon転売のリスクや影響を解説します。

2.1. ブランドイメージの低下

Amazonユーザーが転売者から自社商品を購入した場合、転売者や転売品の対応や質に問題が生じ、ブランドイメージが低下するリスクがあります。

ユーザー視点で見た場合、商品を購入する際にどの事業者から購入するかは意識されにくく、正規店から購入したと認識されるケースが多いです。

転売者から購入した商品に不備があると、「○○の商品は質が悪い」「○○のメーカーは対応が悪い」などと勘違いされる可能性もあります。

転売品の流通によってブランドイメージが低下すると、顧客ロイヤリティの低下や新規顧客の獲得阻害、売上への影響も生じるでしょう。

このように、ブランドイメージの低下は長期的な企業価値を損なう重大な問題にもつながりかねません。

 

2.2. 転売対策に手間やコストがかかる

転売対策に多大な手間やコストがかかるのも、対策するうえでのリスクとなります。

転売対策を行うにあたって、まずは自社の商品が転売されているかどうかを調査しなければなりません。

結果的に対策に時間が取られることになり、本来しなければならない販売戦略やPDCAを回すための時間が奪われます。

また、権利侵害の申告や転売業者への警告、転売品の追跡調査などが必要になってくると、さらに手間やコストがかかります。

これらは転売がなければ発生しないものであり、無駄な手間やコストといえるでしょう。

 

2.3. 価格戦略への影響

Amazon転売により、価格戦略に影響が生じて低価格競争に巻き込まれるリスクがあります。

例えば、正規販売店が2万円で販売している商品を、転売業者が1万8,000円で販売したとします。

価格重視の顧客は1万8,000円で販売している転売業者に流れるため、正規販売店での売上が減り、セールやキャンペーンなどの対抗措置を取らなければなりません。

しかし、セールやキャンペーンで一時的な値下げを行うと、セール商品を転売業者が買い占め、さらに転売が増えるという悪循環に陥る場合もあります。

また、低価格競争に巻き込まれてしまうとブランドのプレミア感が薄れてしまい、ブランドイメージの低下につながる可能性もあります。

 

2.4. 売上の低下

Amazon転売対策をしない場合、転売品が安価に販売されることで、正規品の価格競争力が低下して売上低下につながる可能性があります。

例えば、転売品対策として価格を下げてしまうと商品単価が下がり、結果として利益率が下がってしまいます。

また、転売業者が過剰に在庫を抱えることにより、メーカーの生産調整が困難となり、過剰生産や欠品のリスクも高まるでしょう。

さらに、転売が多い商品というイメージが定着してしまうと、顧客が他のブランドに流れてしまう可能性もあります。

 

3.Amazonの転売対策

Amazonの転売対策には、どのような方法があるのでしょうか。ここでは、主な転売対策を解説します。

 

3.1. Amazonブランド登録をする

Amazonの転売対策として、Amazonブランド登録を行いブランドの権利侵害を報告する方法があります。

Amazonブランド登録とは、有効な登録商標を持っている出品者が登録できるブランド所有者向けのプログラムです。

Amazonの中でブランドの責任者になるために行うもので、自社のブランドを主張できる、売上拡大に向けて使用できるなどのメリットがあります。

ブランド登録には、下記の情報が必要となります。

  • ブランド名
  • 商標登録番号
  • ブランドに関する情報
  • 商標登録証の写真

これらの情報登録が必要となるため、基本的にはメーカーしか登録できない仕組みです。登録されたブランドは、権利侵害の申告を行うことができます。

ただし、Amazonが転売者を確認する際に、実際にページに出品されていないと排除してもらえないため注意しましょう。

Amazonブランド登録の必要性や登録の流れ、注意点などは、こちらの記事でも詳しく解説しています。

 

3.2. コンディションガイドライン違反として報告する

Amazonの転売対策の方法に、コンディションガイドライン違反として報告することが挙げられます。

転売品の一部は新品と偽って中古品が販売されることがあり、その場合はAmazonのコンディションガイドラインに違反します。

申請してガイドライン違反が認められると、削除などの対応をしてもらうことが可能です。

ただし、報告する場合は違反を立証する画像や資料、違反内容、商品などの情報が必要となります。

要求するだけでは申請が通らないため、「違反によってどのような問題が生じているのか」という情報を整理しておくことが重要です。

 

3.3. 転売業者に連絡を入れる

Amazonに転売業者の存在が確認できる場合は、直接連絡を入れるのも対策の一つです。

出品している商品の取り下げを依頼することで、転売を抑止できる場合もあります。素直に応じてくれる場合は、手間が少なくなるメリットがあります。

一方、転売業者に連絡を入れても無視されたり、逆上されたりなど、トラブルに発展するケースもあるため注意が必要です。

転売行為そのものが法的な違法行為でないことから、交渉は専門家の力を借りながら行うのが望ましいです。

 

3.4. Amazon公式のみの限定商品を用意する

Amazonの転売対策として、Amazon公式のみの限定商品を用意する方法があります。例えば、Amazon限定の商品パンフレットを作成してセットページを作ります。

Amazonは販売に関係のある購入特典と判断されるものを商品とセットにする場合、既存の商品詳細ページに出品して販売するというルールがあります。

つまり、Amazon公式のみの商品ページを作成することにより、転売業者と差別化したページを作れるというわけです。

なお、特典の内容をユーザーに知らせたい場合は、プロモーション機能やコンディションの説明を行う必要があります。

特典内容に、商品名や商品説明、商品仕様などを記載することは禁止されているため注意しましょう。

実際にAmazon公式のみの限定商品を用意する際には、規約違反がないか十分に確認しておく必要があります。

 

4.まとめ

Amazon転売は事業者にとってブランドイメージの低下や売上減少、手間やコスト増などのリスクがあります。

転売は社会的に問題になっている行為ではあるものの、それを法的に取り締まることは難しいのが現状です。

そのため、Amazon転売によって事業縮小や低価格競争を余儀なくされる事業者もいます。

このようなリスクに備えるためには、専門業者のコンサルティングサービスを利用したり、代行サービスを利用したりするのも方法の一つです。

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kengotanaka

監修者 : 田中 謙伍
株式会社GROOVE 代表取締役
慶應義塾大学環境情報学部卒業後、新卒採用第1期生としてアマゾンジャパン合同会社に入社。出品サービス事業部にて2年間のトップセールス、マーケティングマネージャーとしてAmazon CPC広告スポンサープロダクトの立ち上げを経験。株式会社GROOVEおよび Amazon D2Cメーカーの株式会社AINEXTを創業立ち上げ6年で2社合計年商50億円を達成。

【登録者数 5万人のYouTubeチャンネル】
たなけんのEC大学:https://www.youtube.com/@ec8531


 


matsuoka

執筆者 : 松岡 孝明
 株式会社GROOVE マーケティング事業部
大学卒業後、大手百貨店に就職。店頭での販売やマーケティング経験を積んだ後、ECコンサルティング事業を行なう企業へ転職。
現在は株式会社GROOVEにて、マーケティングを担当。EC運営に関するお役立ち情報の発信や、セミナーの企画などを行なっています。


 


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