Amazonと楽天のレビュー施策の違い

ECサイトでの売上向上において、レビューの活用は欠かせない要素となっています。特にAmazonと楽天という日本の二大ECプラットフォームでは、それぞれ独自のレビューシステムと施策が存在しており、出品者にとってはこれらの違いを理解することが成功への鍵となります。

 

 
\まずは サービス について知る/
\専門担当者への 無料相談 はこちら/
 

 

目次

  • 1. ECサイトにおけるレビューの重要性


  • 2. Amazonのレビューシステムと特徴


  • 3. 楽天市場のレビューシステムと特徴


  • 4. レビュー依頼手法の違い


  • 5. 規約・ガイドラインの相違点


  • 6. レビュー活用による効果の違い


  • 7. 低評価レビューへの対応方法の違い


  • 8. 効果的なレビュー施策の選択指針


  • まとめ


 

1. ECサイトにおけるレビューの重要性

現代のEC市場において、レビューは購入決定要因として極めて重要な役割を果たしています。総務省の調査によると、20代から60代の全世代において、80%以上の人が「レビューを読んだことで、購入する商品を決定した経験がある」と回答しており、60%以上の人が「レビューをある程度参考にしている」ことが明らかになっています。

レビューの重要性は以下の三つの観点から理解できます。まず信頼性の向上です。購買行動モデルの変化により、ユーザーは他の購入者の経験を重視し、レビューが多く評価が高い商品や店舗に対して信頼感を抱きやすくなっています。次にSEO効果です。検索アルゴリズムではレビューの件数と内容がSEOに影響を与えるといわれており、レビューが多い商品は検索結果の上位に表示されやすくなります。最後に購買意欲の促進です。購入者のポジティブなレビューは、ユーザーの購買意欲を大きく刺激し、特に新規顧客に対しては他のユーザーからの高評価が購入の決め手となることが多くあります。

これらの要因により、AmazonおよびRakutenの両プラットフォームにおいて、レビューの獲得と活用は売上向上に直結する重要な施策となっているのです。

 

2. Amazonのレビューシステムと特徴

Amazonには二種類のレビューシステムが存在しています。商品レビュー(カスタマーレビュー)と出品者評価(フィードバック)です。

商品レビューは、購入者が商品に対して評価を提供するシステムで、各商品に付与されたASIN(Amazon標準識別番号)に関連付けられています。どの販売者から購入した商品でも、そのASINに関連付けられた商品ページにレビューが表示されるため、商品の品質そのものが評価の対象となります。Amazonでは商品レビューは一般アカウントを持っていれば購入していないユーザーでも投稿できますが、購入していないユーザーから短期間に大量のレビューが寄せられた場合、Amazonは購入者によるレビューのみを表示する仕組みを採用しています。

一方、出品者評価は出品者のパフォーマンスを評価する要素で、商品状態、商品の包装、発送方法、および出品者の対応に関する評価が投稿されます。この評価は商品ページには直接表示されませんが、各商品ページの「販売元」リンクから確認することができ、カート獲得率に影響する重要な要素となっています。

Amazonレビューの役割は多岐にわたります。CVR(顧客転換率)の向上が第一の効果で、高評価レビューが多い商品ほど購入されやすくなります。実際に商品を手に取って選べないAmazonにおいて、ユーザーは写真と実物の違いや商品の品質に対する不安を抱えており、高評価レビューがその不安を取り除く役割を果たします。

レビューの絞り込み検索での優先表示も重要な効果です。Amazonの検索機能では、ユーザーが「レビュー評価3.5以上」「レビュー評価4.0以上」「レビュー評価4.5以上」といった条件で商品を絞り込むことができ、高評価の商品ほど表示される機会が増えます。

さらに、Amazon SEOへの影響も無視できません。多くの高評価レビューを獲得することで、Amazonの検索アルゴリズム(A9、A10)に高く評価され、検索結果での上位表示につながります。また、商品のフィードバックを受け取ることができる点も重要で、顧客のレビューは商品を実際に使用したユーザーからの貴重な情報源となり、商品改善に活用できます。

 

3. 楽天市場のレビューシステムと特徴

楽天市場においても、レビューは売上の公式「売上 = アクセス人数 × 転換率(CVR) × 客単価」において、アクセス人数の増加や転換率の向上に効果的な要素として位置づけられています。

楽天市場では、商品検索時の並び替え条件に「レビュー件数順」「レビュー評価順」が用意されており、レビューの数や評価が高い商品ほどユーザーの目に留まる確率が高まります。さらに、パソコンからは「レビュー評価3.5以上」「レビュー評価4.0以上」「レビュー評価4.5以上」の3つの条件で絞り込みができ、レビュー評価の高い商品のみが表示されるため、競争率が下がり自社商品が選ばれる可能性が高まります。

楽天市場におけるレビューの重要性は三つの理由に集約されます。第一に商品のクリック率(CTR)の向上です。レビューが多く評価が高い商品は検索結果や商品一覧で目立ちやすく、ユーザーは自然とレビューの高い商品をクリックする傾向があります。第二に売上の増加への直結です。多くのユーザーがレビューを購入の決め手としているため、ポジティブなレビューが多い商品は転換率が高まり、売上が伸びていきます。第三に店舗の信頼性向上です。レビューの内容は店舗の信頼性に大きく影響し、特に新規店舗やまだ実績の少ない店舗にとって良いレビューを集めることは信頼性を高める絶好の機会となります。

楽天市場の特徴として、レビューが多い商品はおすすめ商品としてピックアップされることが多く、楽天ランキングで上位にランクインすることで、さらに多くのレビューと売上を呼び込む好循環を生み出すことができる点があります。

また、楽天市場では商品レビューだけでなく店舗レビューも存在し、店舗全体の評価が商品の信頼性に影響を与える特徴があります。これにより、個別商品の品質だけでなく、店舗全体のサービス品質の向上が求められる環境となっています。

 

4. レビュー依頼手法の違い

AmazonとRakutenでは、レビュー依頼の手法と制約に大きな違いがあります。

Amazonにおけるレビュー依頼手法

Amazonでは四つの主要なレビュー依頼手法があります。

まず、セラーセントラルからの「レビューをリクエストする」機能です。これはAmazonが公式に用意している機能で、購入の5日後から30日後まで送信可能で、定型文でのレビュー依頼をワンクリックで送ることができます。規約違反の心配がなく、最も安全で確実な方法です。

次に、Amazon Vine先取りプログラムの利用です。これは商品レビューが30件以下の商品に適用される公式サービスで、大口出品者でブランド登録済み、FBA利用、在庫ありなどの条件を満たす必要があります。親ASINごとに2万円の費用がかかりますが、熱心なレビュワーから質の高いレビューを獲得できる可能性があります。

第三に、セラーセントラルからのメール送信機能があります。この方法では内容をカスタマイズできますが、現在では使用頻度が減少しており、スパム判定のリスクもあります。

最後に、商品同梱物でのレビュー依頼です。サンキューカードやチラシを商品に同梱し、QRコードを提供してレビュー投稿を促す方法ですが、マーケティング目的での使用は制限されています。

楽天市場におけるレビュー依頼手法

楽天市場では六つの主要な手法があり、Amazonと比較してより多様で柔軟なアプローチが可能です。

第一にレビュー投稿への特典付与です。次回購入時に利用できるクーポンや無料サンプル、便利グッズ、保証期間延長などの特典を提供することで、レビュー投稿を促進できます。ただし、特典は必ずレビュー投稿後に付与する必要があります。

第二に楽天市場の店舗ページ上でのレビュー特典のアピールです。目立つバナーで特典内容を告知し、購入前にユーザーにレビュー依頼の存在を知らせることができます。

第三に同梱物でのレビュー投稿促進です。メッセージカードやパンフレットを商品と一緒に同梱し、レビュー投稿ページにアクセスできるQRコードを付けて投稿のハードルを下げることができます。

第四に投稿されたレビューへの返信です。ポジティブなレビューには感謝の意を表し、ネガティブなレビューには誠実に対応することで、ユーザーからの信頼を高められます。

第五に購入者へのフォローメール送信です。購入後一定期間が経過した後にフォローメールを送信し、レビュー投稿を促すことができます。ただし、レビュー依頼だけのメールは禁止されているため、商品の状態確認や購入のお礼と併せた文章を考える必要があります。

第六に梱包や配送の品質向上です。梱包状態や配送のスピードを改善することで、自然と高評価につながるレビューを獲得できます。

 

5. 規約・ガイドラインの相違点

AmazonとRakutenでは、レビューに関する規約や禁止事項に大きな違いがあります。

Amazonの規約と禁止事項

Amazonでは非常に厳格な規約が設けられています。まず、インセンティブの付与が完全に禁止されています。クーポン、プレゼント、キャッシュバック、金券類など、いかなる形態の報酬と引き換えにレビューを依頼することはできません。

肯定的なレビューの依頼も禁止されており、「高評価をお願いします」といった文言を使用することはできません。あくまでレビュー投稿のみを依頼する必要があります。

代行業者の利用やサクラレビューは厳格に禁止されており、家族や従業員によるレビュー投稿も規約違反となります。また、Amazon外のサイトへの誘導は一切禁止されており、すべての活動をAmazon内で完結させる必要があります。

レビューの修正や削除要求も禁止されており、基本的に投稿されたレビューを出品者が削除することはできません。

楽天市場の規約と禁止事項

楽天市場でも禁止事項はありますが、Amazonと比較して特典付与などの面で柔軟性があります。

楽天市場では、レビュー投稿前の特典付与は禁止されていますが、レビュー投稿後の特典付与は認められています。これにより、次回使えるクーポンや商品サンプルなどを特典として提供することが可能です。

ユーザーの注文時にレビュー投稿の意思確認を行うことは禁止されており、「レビューを書く(特典ゲット)」「レビューを書かない(特典なし)」などの選択肢を設定することはできません。

商品到着前のレビュー投稿促進や高評価レビューの依頼、店舗関係者によるレビュー投稿は禁止されています。また、レビューの評価や内容によって特典内容を変えることや、特定のレビューのみに特典を付与することも禁止されています。

レビュー内容の変更・削除要求や別の商品へのレビューの付け替えも禁止事項として定められています。

 

6. レビュー活用による効果の違い

AmazonとRakutenでは、レビューが与える効果や影響範囲に違いがあります。

Amazonでのレビュー効果

Amazonでは、レビューの効果は主に個別商品レベルで発現します。同一ASINに対するレビューはすべて統合されるため、どの出品者から購入してもレビューは共有されます。これにより、後発の出品者でも既存のレビューの恩恵を受けることができる一方で、独自性を打ち出すことが困難です。

CVR向上効果は非常に顕著で、レビュー数30以上、平均評価4.0以上を目指すことが推奨されています。競合商品との比較において、レビュー数と平均スコアは購入決定の重要な要因となります。

検索順位への影響も大きく、Amazon SEOアルゴリズムにおいてレビューは重要な要素として評価されます。レビューの絞り込み検索により、高評価商品ほど表示機会が増加します。

楽天市場でのレビュー効果

楽天市場では、レビューの効果は商品レベルと店舗レベルの両方で発現します。店舗全体の信頼性向上に寄与し、他商品への波及効果も期待できます。

楽天ランキングへの影響が大きく、レビューが多い商品は楽天ランキングで上位にランクインしやすく、これがさらなるレビューと売上の好循環を生み出します。おすすめ商品としてピックアップされる機会も増加し、露出機会の拡大につながります。

リピーター獲得効果も重要で、レビュー特典としてクーポンを提供することで、次回購入促進とリピート率向上を同時に実現できます。

 

7. 低評価レビューへの対応方法の違い

低評価レビューへの対応においても、両プラットフォームには違いがあります。

Amazonでの低評価レビュー対応

Amazonでは、低評価レビューに対する直接的な対応手段は限定的です。レビュー投稿者への連絡は、Amazonブランド登録、大口出品者アカウント、過去12か月以内の注文履歴があることなど、厳格な条件を満たす場合のみ可能です。

対応方法としては、全額返金の申し出またはカスタマーサポートへの問い合わせがありますが、レビューの変更や削除を依頼することは禁止されています。基本的に投稿されたレビューの削除は困難で、不正確なレビューの場合のみテクニカルサポートに報告することで、稀に削除される可能性があります。

Amazonでは商品品質の向上と丁寧な配送、カスタマーサポートの充実が低評価レビューを防ぐ最も効果的な方法とされています。

楽天市場での低評価レビュー対応

楽天市場では、より積極的な低評価レビューへの対応が可能です。レビューへの返信機能により、迅速かつ誠実な対応で印象改善を図ることができます。

具体的には、ユーザーの不満を解消するための提案や改善策を提示し、問題解決に努める姿勢を示すことで、投稿者だけでなく他のユーザーに対しても誠実に対応する店舗という印象を与えることができます。

低評価レビューを商品・サービス改善のヒントとして活用することも推奨されており、レビューの内容を分析して具体的な改善策を講じることで、次回以降のレビュー改善につなげることができます。

楽天市場では、基本的に店舗側でレビューを削除することはできませんが、虚偽の内容やルール違反のレビューについては楽天市場に報告し、削除依頼を出すことが可能です。

 

8. 効果的なレビュー施策の選択指針

AmazonとRakutenの違いを理解した上で、効果的なレビュー施策を選択するための指針を示します。

プラットフォーム別戦略の基本方針

Amazonにおいては、規約遵守を最優先とした保守的なアプローチが必要です。公式機能である「レビューをリクエストする」ボタンとAmazon Vine先取りプログラムを中心とした施策を展開し、商品品質の向上に最も注力すべきです。レビュー数よりも質を重視し、長期的な視点での信頼性構築を目指すことが重要です。

楽天市場においては、特典付与を活用した積極的なアプローチが可能です。レビュー特典としてクーポンや商品サンプルを提供し、フォローメールや同梱物を活用した多角的なレビュー依頼を実施できます。店舗全体の信頼性向上を意識し、レビューへの返信を通じた顧客とのコミュニケーション強化を図ることが効果的です。

商品特性に応じた施策選択

新商品の場合、Amazonでは初期レビュー獲得のためにAmazon Vine先取りプログラムの活用を検討し、楽天市場では積極的な特典付与による初期レビュー獲得を目指すべきです。

価格帯による戦略の違いも重要で、高価格帯商品では詳細なレビュー依頼と丁寧なアフターサポートを、低価格帯商品では簡潔なレビュー依頼と手軽な特典を提供することが効果的です。

リソース配分の考え方

限られたリソースの中で最大効果を得るためには、Amazonでは商品品質向上と公式機能の活用に集中し、楽天市場では特典設計とフォローアップ体制の構築に注力することが重要です。

両プラットフォームに共通して重要なのは、レビューを単なる評価獲得手段として捉えるのではなく、顧客との継続的な関係構築と商品・サービスの改善機会として活用することです。この視点を持つことで、持続可能で効果的なレビュー施策を展開することができるでしょう。

AmazonとRakutenのレビュー施策の違いを理解し、それぞれのプラットフォームの特性を活かした戦略を立案することで、EC事業の成功確率を大幅に向上させることが可能となります。

 

まとめ

本記事では、AmazonとRakutenにおけるレビュー施策の違いについて詳細に解説してきました。両プラットフォームはともにレビューの重要性を認識していますが、そのアプローチ方法や制約には大きな違いがあることがお分かりいただけたでしょう。

Amazonは規約が厳格で保守的なアプローチが求められる一方、公式機能が充実しており安全性が高い特徴があります。一方、Rakutenは特典付与などの柔軟な施策が可能で、店舗レベルでの信頼性構築に重点を置いている点が特徴的です。

成功の鍵は、各プラットフォームの特性を正しく理解し、規約を遵守しながら効果的な施策を実行することにあります。単にレビュー数を増やすことが目的ではなく、顧客満足度の向上と長期的な信頼関係の構築を通じて、持続可能なビジネス成長を実現することが重要です。

メーカーのEC事業において、レビュー施策は売上向上の重要な要素となります。本記事で解説した内容を参考に、自社の商品特性と事業戦略に最適なレビュー施策を選択し、実行していただければと思います。

 

 
\まずは サービス について知る/
\専門担当者への 無料相談 はこちら/
 

 


kengotanaka

監修者 : 田中 謙伍
株式会社GROOVE 代表取締役
慶應義塾大学環境情報学部卒業後、新卒採用第1期生としてアマゾンジャパン合同会社に入社。出品サービス事業部にて2年間のトップセールス、マーケティングマネージャーとしてAmazon CPC広告スポンサープロダクトの立ち上げを経験。株式会社GROOVEおよび Amazon D2Cメーカーの株式会社AINEXTを創業立ち上げ6年で2社合計年商50億円を達成。

【登録者数 5万人のYouTubeチャンネル】
たなけんのEC大学:https://www.youtube.com/@ec8531


 


matsuoka

執筆者 : 松岡 孝明
 株式会社GROOVE マーケティング事業部
大学卒業後、大手百貨店に就職。店頭での販売やマーケティング経験を積んだ後、ECコンサルティング事業を行なう企業へ転職。
現在は株式会社GROOVEにて、マーケティングを担当。EC運営に関するお役立ち情報の発信や、セミナーの企画などを行なっています。


 


おすすめ記事


Amazonの運用代行はどう選んだらいい?費用相場やメリット・選び方を徹底解説!





amazon運用代行Amazon広告代理店選定の基準とは?|成果を出す選び方のコツを徹底解説!





0002Amazon運用コンサルティング会社の選び方|運用代行との違いや活用のポイントまで解説



    AmazonEC/D2C戦略と運用について
    GROOVEに相談する

    貴社のご状況に沿って、成功に貢献できるご提案をさせていただきます。
    また、サービス内容の詳細や成功事例などもご紹介いたします。
    ※APIに関連するサービスの価格についてはお問い合わせください。

    • HOME      >      
    • Amazonと楽天のレビュー施策の違い