楽天市場のあす楽とは?新制度のRakuten最強配送との違いをわかりやすく解説
楽天市場で集客力や売上アップを図る施策に最強配送があります。
あす楽は2024年6月30日にサービスを終了し、2024年7月1日からはRakuten最強配送として新しいサービスが誕生しました。
注文した翌日に商品が届くあす楽は、商品をいち早く手元に届けてほしいユーザーにとってメリットが大きいサービスでした。
後継のRakuten最強配送はあす楽に比べ、ユーザーにとってさらに利便性が増しています。
しかし、「そもそも楽天市場のあす楽って何?」「最強配送と何が違うの?」と疑問に感じている方もいるのではないでしょうか。
この記事では、楽天市場のあす楽と新制度である最強配送との違い、ラベル獲得の条件、メリット・デメリットなどを詳しく紹介します。
1.楽天市場のあす楽とは
楽天市場の『あす楽』とは、2008年10月から2024年6月にかけて、楽天市場が行っていた商品を翌日に配達するサービスのことです。
注文した商品がすぐに欲しい場合など、ユーザーにとって使い勝手のいいサービスとして人気がありました。
楽天市場の店舗においても、ユーザーのニーズに応え、集客力や販売力がアップできるとして多くの店舗が導入していたサービスです。
長年にわたって継続してきたサービスであるため、現在も『あす楽』という言葉を見聞きする機会は多くあります。
しかし、2024年7月以降はあす楽が廃止されて代わりにRakuten最強配送が誕生しているため、それぞれの違いを把握しておきましょう。
2.Rakuten最強配送とラベル獲得の条件
Rakuten最強配送に対応するためには、最強配送ラベルを獲得しなければなりません。ここでは、ラベル獲得のための条件を解説します。
2. 1 配送品質向上制度について
配送品質向上制度とは、出店事業者が配送品質を確保し、ユーザーニーズを満たして信頼を得るために楽天が行っている制度です。
Rakuten最強配送に対応するためには、配送品質向上制度の基準をクリアし、最強配送ラベルを獲得する必要があります。
ちなみに、Yahoo!ショッピングの優良配送も楽天市場の配送品質向上制度によく似た制度です。
どちらも条件を満たすとラベルが得られる点で共通しているものの、優良配送は最短お届け日が注文日+ 2日以内であるのに対し、Rakuten最強配送は翌日お届けとなります。
2. 2 楽天SKUに対応する
最強配送ラベルの獲得には、楽天SKUプロジェクトへの対応が必要です。
楽天SKUプロジェクトとは、楽天市場の商品登録の単位がアイテム単位からSKU単位に変更されることをいいます。
例えば、これまでの楽天市場では、あるTシャツを販売する際にサイズやカラーごとに販売価格を変更したくても一つしか登録できない状態でした。
そのため、店舗の在庫状況に応じた柔軟な販売ができず、出店者側とユーザー側の双方が不便さを感じていました。
楽天SKUプロジェクトでは、商品がサイズ・カラーなどの違いで1つずつ登録できるようになっています。
最強配送ラベルを獲得する場合は、楽天SKUプロジェクトに移行しましょう。
2. 3 お届け日表示機能に対応する
最強配送ラベルを獲得するためには、楽天SKUに移行した後、お届け日表示機能への対応が必要です。
具体的には、配達日時を指定できる商品について、SKU単位で発送元情報と出荷リードタイムを登録し、配送の最短指定可能日を表示する機能となります。
お届け日表示機能に対応すると、「〇月〇日までの注文で最短△月△日にお届け」と表示されます。
2. 4 店舗基準を満たす
最強配送ラベルの獲得には、楽天市場が定めた以下の4つの店舗基準をクリアしなければなりません。
- 納期の遵守率96%以上
- 6日以内のお届け件数80%以上
- 出荷件数が月100件以上
- 出荷無料ライン(送料込みライン39ショップ)の導入
なお、6日以内のお届け件数80%以上については、ジャンルによって難しい商品は母数から除外することが可能です。
例えば、オーダーメイド商品やクリスマス、バレンタインなどのイベント商品などが難しい商品に該当します。
2. 5 商品基準を満たす
最強配送ラベルの獲得には、楽天市場が定めた以下の3つの商品基準をクリアしなければなりません。
- 365日いつでも出荷ができる
- 午前の注文でいつでも翌日お届けができる
- 正午以降の注文でいつでも翌々日お届けができる
365日出荷の条件に関しては、年末年始および月1回の休業日は除外でき、土日祝は締切時間を午前9時に設定できます。
ポスト投函の商品については、日時指定ができなくても問題ありません。
3. 楽天市場のあす楽とRakuten最強配送の違い
あす楽とRakuten最強配送の違いは、ユーザーによる日時指定の有無です。
あす楽で注文した商品は無条件で翌日のお届けになっていましたが、Rakuten最強配送では翌日配達を希望する場合でもユーザーが日時指定を行います。
これにより、時間指定ができないあす楽に対して、Rakuten最強配送は翌日のお届けでも時間設定が可能となりました。
ユーザーにとっては、届けてほしいタイミングで商品を届けてもらうことができます。
また、あす楽は無条件で翌日のお届けになっているのに対し、Rakuten最強配送は翌日配送が保証されるわけではありません。
商品や店舗、地域によって最短のお届け日は異なります。
4.最強配送ラベルを獲得するメリット
最強配送ラベルの獲得は、あす楽と同様に店舗側にも大きなメリットがあります。ここでは、最強配送ラベルを獲得するメリットを解説します。
4. 1 検索順位で上位が期待される
最強配送ラベルが付いた商品は、楽天市場の検索アルゴリズムに取り込まれる予定であり、検索順位で上位が期待されます。
検索順位で上位になればユーザーの目に留まる割合が増え、商品のアクセス数が向上し、売上向上につながる可能性が高まります。
一方、楽天市場のアルゴリズムに取り込まれた場合、現在上位に位置していても最強配送ラベルがないことで、順位が落ちてしまう可能性もあります。
4. 2 ユーザー体験の向上とCTRの改善が期待される
ユーザー体験の向上とCTR(クリック率)の改善が期待されることも、最強配送ラベルを獲得するメリットです。
最強配送ラベルが表示される商品は、ユーザーに対して迅速な配送を提供しているという情報を与えられます。
あす楽が終了した現在、すぐに商品がほしいユーザーにとって、最強配送ラベルは購入を決めるきっかけの一つになるでしょう。
一方、最強配送ラベルに対応していない商品は、ラベルを持つ競合商品にアクセスが集まることで、CTRが低下する可能性があります。
CTRは売上に関わる重要な要素となるため、向上させるためには最強配送ラベルの獲得がおすすめです。
4. 3 店舗の信頼性が増す
最強配送ラベルは、楽天市場が定める厳しい条件をクリアしなければ獲得できません。
ユーザー目線で見ると、最強配送ラベルを獲得している店舗は、そうでないお店に比べてしっかりした店舗というイメージを持ちやすくなるでしょう。
また、最強配送ラベルを獲得している商品が配達指定日に遅れた場合、楽天からユーザーにお詫びとして購入金額の一部をポイントバックする補償サービスも設けています。
ユーザーから見ると、「最強配送ラベル=安心して買い物できるお店」となり、購買活動にもつながりやすくなります。
5.最強配送ラベルを獲得する際の注意点
最強配送ラベル獲得は、売上アップが期待できる一方で注意点もあります。ここでは、最強配送ラベルを獲得する際の注意点を紹介します。
5. 1 土日祝も発送作業に対応する必要がある
最強配送ラベルを獲得することで、土日祝日も発送作業に対応しなければならず、組織体制の見直しなどが必要になる場合があります。
対策として挙げられるのは、楽天市場が提供するRSL(楽天スーパーロジスティック)の導入です。
RSLは楽天市場が運営する物流サービスで、商品管理、注文処理、梱包、配送などの一連の物流業務を代わりに行ってもらうことができます。
店舗は物流にかかる手間を大幅にカットできるため、土日祝の発送作業の負担を軽減できます。翌日配送のスピーディーさも実現できるため、最強配送ラベルの獲得に最適です。
料金も在庫保管料、出荷作業料、資材料、配送料の4つを組み合わせた体系となっており、シンプルでわかりやすくなっています。
なお、RSLでは危険物や生魚などの生もの、冷蔵・冷凍食品などの商品の取り扱いができないため注意が必要です。
RSLの導入を検討する際には、商品が対応しているかどうか確認しておきましょう。
RSLの仕組みや料金体系、メリットやデメリットは、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご参照ください。
⇒楽天スーパーロジスティクス(RSL)とは?料金体系やメリット・デメリットを徹底解説
5. 2 コストが大幅に増加する可能性がある
最強配送ラベルを獲得する場合、配送に関するコストが大幅に増加する可能性があります。
例えば、土日祝日の配送に対応させるために人件費が上昇したり、倉庫を稼働させるための光熱費が新たにかかったりする場合があります。
RSLを導入する場合も料金が発生するため、場合によっては最強配送ラベル獲得によって得られる利益以上のコストがかかる可能性もあります。
結果的に利益率が下がってしまうケースもあるため、最強配送ラベルを獲得する商品の選定は慎重に行うことが大切です。
6.まとめ
楽天市場のあす楽が終了したことにより、今後は最強配送ラベルを獲得する店舗が増えると想定されます。最強配送ラベルの獲得は、売上を伸ばしたい店舗にとっても、商品をいち早く届けてほしいユーザーにとってもメリットの大きいサービスです。
一方、最強配送ラベルを獲得するためには厳しい条件をクリアする必要があり、コストも多くかかる可能性があります。
成果を出していくためには、RSLの活用やどのような商品で最強配送を活用すべきかなど、自社に合った戦略設計が必要です。
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監修者 : 田中 謙伍
株式会社GROOVE 代表取締役
慶應義塾大学環境情報学部卒業後、新卒採用第1期生としてアマゾンジャパン合同会社に入社。出品サービス事業部にて2年間のトップセールス、マーケティングマネージャーとしてAmazon CPC広告スポンサープロダクトの立ち上げを経験。株式会社GROOVEおよび Amazon D2Cメーカーの株式会社AINEXTを創業。立ち上げ6年で2社合計年商50億円を達成。
【登録者数 5万人のYouTubeチャンネル】
たなけんのEC大学:https://www.youtube.com/@ec8531
執筆者 : 松岡 孝明
株式会社GROOVE マーケティング事業部
大学卒業後、大手百貨店に就職。店頭での販売やマーケティング経験を積んだ後、ECコンサルティング事業を行なう企業へ転職。現在は株式会社GROOVEにて、マーケティングを担当。EC運営に関するお役立ち情報の発信や、セミナーの企画などを行なっています。