楽天スーパーロジスティクス(RSL)とは?料金体系やメリット・デメリットを徹底解説
楽天スーパーロジスティクス(以下RSL)は、物流業務の効率化や顧客満足度の向上が期待できるアウトソーシングサービスです。ECサイトの運営者として、RSLを利用するべきか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。この記事では、RSLのメリットとデメリットについて詳しく説明します。
目次
1. 楽天スーパーロジスティクス(RSL)とは
楽天スーパーロジスティクス(RSL)は、楽天市場に出店している店舗向けの物流アウトソーシングサービスです。
商品の入荷作業から保管、発送までの物流業務を一括して依頼できる総合的なサービスとなっています。
RSLは、楽天が運営するサービスであるため、楽天市場の仕組みや要件に最適化された物流サービスを提供しています。
RSLを利用することで、店舗運営者は物流業務を削減でき、商品開発やマーケティングなどの業務に注力することが可能です。特に小規模な店舗や、急成長中の店舗にとっては、業務効率化の強力なツールとなります。
2. 楽天スーパーロジスティクス(RSL)のメリット
RSLは、ECサイト運営者にとって多くのメリットを提供するサービスです。物流業務の効率化から顧客満足度の向上まで、さまざまな面で店舗運営をサポートします。ここでは、RSLのメリットについて詳しく解説します。
2.1. 物流コストの削減
RSLを利用することで、物流にかかるコストを大幅に削減できる可能性があります。
自社で倉庫を持つ場合は、賃料や設備投資、人件費など、売上に関わらず一定のコストがかかります。一方、RSLは利用量に応じた従量課金制のため、売上の変動に合わせたコスト調整が可能です。
さらに、RSLは全国一律の配送料を設定しているため、特に遠隔地への配送コストを抑えられます。
2.2. 365日出荷対応と翌日配達サービス
RSLは、365日出荷対応と翌日配達サービスを提供しており、顧客満足度の向上と売上増加に貢献しています。
365日出荷対応により、土日祝日や年末年始などの繁忙期でも商品を発送できるため、注文から発送までの流れをより円滑化し、リピート率の向上につながります。RSLでは、15時30分までの出荷指示で翌日配達が可能です。
これらのサービスにより、楽天市場内での評価向上にも期待できます。
2.3. 専任担当者によるサポート体制
RSLの利用者には専任の担当者がつき、サポート体制が構築されます。
専任担当者は物流面だけではなく、ECサイト運営全般に関する知識を持っているため、売上向上や顧客満足度の改善などの経営面でのアドバイスも受けられます。
たとえば、過剰在庫や欠品を防ぐための適切な在庫量の設定や、季節変動への対応策などの具体的なアドバイスを得られ、在庫管理の最適化が可能です
また、楽天市場特有の施策についても相談でき、楽天スーパーSALEやお買い物マラソンなどの大型セールへの対応策や、楽天市場内でのプロモーション方法など、楽天市場に特化したノウハウを得られます。
3. 楽天スーパーロジスティクス(RSL)のデメリット
RSLは多くのメリットを提供する一方で、いくつかのデメリットも存在します。ここでは、RSLのデメリットについて詳しく解説します。
3.1. 取り扱いできない商品の制限
RSLでは、運用上の制約や法規制などによって取り扱いできない商品が存在します。
RSLで取り扱える商品は、3辺の合計が160cm以内、重量が25kg以下に制限されており、大型家具や重量のある工業製品などは、RSLを利用できない可能性があります。
また、RSLの倉庫には空調設備がなく、最大35℃から最低0℃の環境での保管となるため、冷蔵食品や、厳密な温度管理が必要な医薬品などは適していません。
さらに、医薬品や化粧品、食品などの一部の商品は、特定の許可や資格が必要な場合もあるため、RSLでは取り扱えないケースも見られます。
3.2. 受注管理システム導入の必要性
RSLを利用するためには、受注管理システムの導入が欠かせません。RSLと店舗のシステムを連携させ、注文情報や在庫情報をスムーズにやり取りできるようにする必要があります。
また、システムの導入には一定の時間と労力が必要です。システムの選定から導入、運用まで、専門的な知識が求められます。
さらに、既存のシステムとの連携や、データの移行なども考慮しなければなりません。他のモールでも販売している場合、それらのシステムとの整合性を取る必要があるでしょう。
4. 楽天スーパーロジスティクス(RSL)の料金体系
RSLの料金は、主に出荷作業費、配送料、保管料の3つの要素で構成されています。ここでは、RSLの料金体系について詳しく解説します。
4.1. 出荷作業費と配送料
RSLの料金体系のなかで、直接的に利用者に影響するのが出荷作業費と配送料です。
出荷作業費は、商品のピッキングや梱包などの作業に対する費用で、配送料は、商品を顧客に届けるための費用となります。
小型で軽量な商品は比較的低コストですが、大型や重量のある商品、または特殊な梱包が必要な商品は高くなる傾向があります。
RSLの配送料は、全国一律料金制を採用しており100サイズまでの商品であれば、全国一律380円(税込)で配送可能です。
RSLの配送料については以下の通りです。
- 100サイズ330円
- 120サイズ660円
- 140サイズ1,155円
- 160サイズ1,155円
上記の通り、100サイズを超える商品の場合は、別途料金が発生します。配送料は商品の大きさや重さによって変動する点に注意が必要です。
4.2. 保管料
RSLにおける保管料は、倉庫に商品を保管する際に発生する費用で、在庫量に応じて変動します。
RSL保管料の計算式は以下の通りです。
7.5円 × (商品体積(cm³) ÷ 1,000cm³) × (保管日数 ÷ 当月の日数)
保管料は1,000cm³あたり7.5円の月額料金が設定されており、最小単位は1cm³から計算されます。費用は日割りで計算され、在庫として計上された日から発生します。
RSLでは、在庫状況をリアルタイムで確認できるシステムを提供しています。このシステムを活用することで、効率的な在庫管理が可能になり、保管料の最適化につながるでしょう。
5. 楽天スーパーロジスティクス(RSL)とAmazonFBAとの比較
RSLとAmazonのFBAは、どちらもECサイト向けの総合的な物流サービスですが、いくつか違いがあります。
RSLとAmazonのFBAの違いは以下の通りです。
これらの違いを考慮し、販売戦略や商品特性に合わせて選択することが重要です。
6. 楽天スーパーロジスティクス(RSL)の利用方法
RSLの利用を検討する際は、申し込みから導入までの流れや、必要な準備について理解しておくことが重要です。
ここでは、RSLの利用方法について詳しく解説します。
6.1. 申し込みから導入までの流れ
RSLの導入プロセスは、大きく分けて5つのステップで進行します。
RSLの導入プロセスは以下の通りです。
- 事前相談
- 申し込み
- 契約締結
- システム連携
- 運用開始
RSLの必要性を判断するためには、RSLの担当者と自社の物流ニーズや課題について話し合うことが重要です。事前相談後に正式な申し込みを行い、見積もりを確認して契約を締結します。
契約締結後は、RSLのシステムと自社のECサイトやシステムとの連携作業を行ってから本格的な運用開始が可能となります。
6.2. 必要な準備
RSLを導入する際は、RSLに預ける商品のサイズや重量、JANコードなどの情報を正確に把握し、データ化をしなければなりません。RSLと連携可能なシステムを選んだうえで、導入とデータ移行をしましょう。
現在の在庫をRSLの倉庫に移す場合は、販売への影響が生じる可能性があるため、あらかじめ計画を立ててから実行することが重要です。
これらの準備を踏まえることで、RSLの円滑な導入と効果的な活用が可能になるでしょう。
7. まとめ
楽天スーパーロジスティクス(RSL)は、楽天市場出店者向けの総合的な物流アウトソーシングサービスです。
物流コストの削減、365日出荷対応、翌日配達サービス、専任担当者によるサポートなど、多くのメリットがある一方で、取り扱い商品の制限や受注管理システムの導入が必要といったデメリットも存在します。
ECサイト運営者は自社のニーズや商品特性を考慮し、RSLの利用を検討することで、物流業務の効率化と顧客満足度の向上を図ることができるでしょう。
楽天スーパーロジスティクス(RSL)を効果的に活用するなら『株式会社GROOVE』におまかせ
『株式会社GROOVE』は、ECプラットフォームに特化したD2Cコンサルティング企業として、Amazonや楽天などの各種モールの運用支援や、最適な戦略の立案を実現するサービスです。
市場調査や競合分析、KPI設計などの戦略面から、商品ページ制作、広告運用、在庫管理といった実務面まで、ワンストップでサポートが可能です。
ECの運用支援だけではなく、効果的なSNS戦略支援や企業のブランディング施策の支援も行っていますので、ぜひこの機会にお気軽にご相談ください。
監修者 : 田中 謙伍
株式会社GROOVE 代表取締役
慶應義塾大学環境情報学部卒業後、新卒採用第1期生としてアマゾンジャパン合同会社に入社。出品サービス事業部にて2年間のトップセールス、マーケティングマネージャーとしてAmazon CPC広告スポンサープロダクトの立ち上げを経験。株式会社GROOVEおよび Amazon D2Cメーカーの株式会社AINEXTを創業。立ち上げ6年で2社合計年商50億円を達成。
【登録者数 5万人のYouTubeチャンネル】
たなけんのEC大学:https://www.youtube.com/@ec8531
執筆者 : 松岡 孝明
株式会社GROOVE マーケティング事業部
大学卒業後、大手百貨店に就職。店頭での販売やマーケティング経験を積んだ後、ECコンサルティング事業を行なう企業へ転職。現在は株式会社GROOVEにて、マーケティングを担当。EC運営に関するお役立ち情報の発信や、セミナーの企画などを行なっています。