【無名のシャンプーがAmazonで売れる理由】TSUBAKI、BOTANISTよりも売れている無名シャンプーのAmazon戦略とは?
日本には多くの種類のシャンプーがありますが「シャンプーブランド」と聞いた時にLUX、メリット、TSUBAKI、BOTANIST、バルクオムが頭をよぎった人は多いと思います。しかし、Amazon市場で売れているシャンプーは、前述のブランドではありません。Amazonで売れているブランドと一般の市場で売れているブランドは、ブランドの構成比が大きく異なっています。
今回は、なぜこのような事象が起こっているかを見つつ、Amazonで成果を出すために必要な戦略について解説していきたいと思います。
一般市場とAmazon市場の違い
まず一般市場から見ていきましょう。市場におけるブランド別メーカーのトップは花王で、メリット、エッセンシャル、アジエンスといったブランド群が有名です。2位はユニリーバ・ジャパン。3位はパンテーンを扱うP&Gと続きます。
引用元:https://kokusaishogyo-online.jp/2021/06/61178
続いて、Amazon市場における売上ランキングを見ていきましょう。Amazon では1位にオルナオーガニックがランクインしており、2位がアンファー 、3位がボタニスト、4位がNileとなります。
※GROOVE調べ
前述したとおり、売れているブランドが異なるものということが分かります。
では、なぜこのような現象が起きているのでしょうか?
それがAmazon攻略の最大の鍵となります。
アサエルの4タイプ
Amazonを攻略する上で消費者を把握(理解)する必要があります。
シャンプーという商品をフレームワークを使ってみていきましょう。今回使うフレームワークは、アサエルの4タイプです。
アサエルの4タイプとは、消費者を4つのグループに分ける考え方、フレームワークです。ユーザーが商品を探す際にそのブランドを区別する、もしくは判断する力があるかや、その違いを認知しているかが縦軸となり、商品に対してそもそも熱心に調べようと思っているのか、関心があるかないかを取ったものが横軸になっています。
まずはAmazonで「シャンプー」と検索します。
すると、ボトルでNile、オルナオーガニック、ダイアンなどが出てきます。詰め替え用ではパンテーン、LUX、クリア、エッセンシャルなどがあります。このように見ていくと、Amazonで上位に表示されるシャンプーは、一般シャンプー市場で上位を占めているブランドは詰め替え用であり、Amazonで目立っているブランド商品はボトルで出てくることが分かります。
これをアサエルの4タイプを用いて分析してみます。
Amazonでは「不協和解消型」のユーザーが多い一方、「情報処理型」の購買をしているユーザーは少ない傾向にあります。
この傾向は、Amazonの検索ボリュームを見ると分かります。Amazonでは「シャンプー」という大きいキーワードが10位〜20位に常にランクインしています。次に多いシャンプーの関連語が「シャンプー 詰め替え」で約500位となっています。その後には、「シャンプー メンズ」が約1,000位にランクインしています。その後でブランド名がようやく出てきて、約1,500位に「パンテーン」、約4,800位に「メリット」がランクインしています。
※GROOVE調べ
このように見ていくと、ブランドにこだわり、髪について抱えている悩みなどに関連するキーワードをAmazonで検索している人は、少ないことが分かります。
シャンプー市場の特殊性とマーケティング手法
前述の内容をふまえると、Amazonにおけるシャンプー市場は二極化しており、ブランドをあまり理解しておらず、商品について調べようとしない「習慣型」とブランドについてこだわりはないが、商品について調べる「不協和解消型」の人が多くいます。
シャンプー市場の特徴として、商品に即効性がないことが挙げられます。シャンプーの成分は水が大半のため、お風呂あがりやシャンプーをしている瞬間の手ぐし感、匂いなどでは効果を感じられるものの、最終的な効果までは分からないのが現状です。
そこでシャンプーをAmazonの市場で売る際に鍵となる、マーケティング手法を紹介します。
デザイン(ピクチャリング)
シャンプーをAmazonの市場で売るためには、パッケージのデザインが重要になります。Amazonで上位を占めるシャンプーは、価格や機能面よりも、デザインにこだわっていることが分かります。
パッケージなど見た目のデザインを考える上で、他社ブランドの認知などを借用する方法があります。弊社ではこれをピクチャリング(GROOVE造語)と呼んでいます。
Nileを例に見ると、THREEというシャンプーにデザインが似ていることが分かります。THREEは広範囲にブランド戦略を練っており、消費者に刺さるデザインの美しさを追及しています。小資本で商品を売り出す際、このようなブランドのデザインをピクチャリングすることで、効率良く商品を展開していくことができるでしょう。
また、キーワードをピクチャリングする方法もあります。
オルナオーガニックの場合は「オーガニック」というキーワードを使っていますが、ボタニストがボタニカルシャンプーで「オーガニックシャンプー」という概念を生み出したことを利用していると考えられます。
また、Nileは「濃密泡スカルプシャンプー」の販売を行っていますが、アンファーが広めた「スカルプ」によってピクチャリングしていることは明らかです。
Nileの商品ページを見てみると、成分に詳しい人に対して刺さるキーワード「アミノ酸シャンプー」「ノンシリコン」などが多数あります。また、泡についても言及されており「濃密泡だからできる極上洗浄」という文言や、泡の詳細な説明などがあります。このような尺度で書かれると、商品がより魅力的に見えてきます。
レビューの数と評価が重要
Amazonでシャンプーを購入する層は、スーパーで手軽、かつ低価格で購入できるシャンプーを好む層とは異なります。Amazonでシャンプーを購入するユーザーの多くが、価格よりもシャンプーの品質に興味を持ち、良いものがほしいと考える人になります。
「価格よりも品質の良いものを探したい」という人が着目する点は、効果や機能が目に見えて分からないシャンプーの場合、デザインになります。つまり、パッケージが重要です。
しかし、Amazonで売れているシャンプーはデザイン性だけではなく、レビュー数が非常に多いという特徴があります。売れている商品は、レビュー数が約4,000〜5,000あり、かつ評価も4以上となります。これにより、たとえ商品の良しあしが分からなくても、商品の購入に繋がる可能性があります。
Amazonで商品を売るためのコツ
Amazonで成果を出すためには、消費者の心を惹きつけるパッケージや、言葉が入っていることが重要になります。
今回例に出しているシャンプーで見ると、「シャンプーのクオリティが高ければ売れる」と考える人もいるでしょう。
しかし、この戦い方では苦しくなると考えられます。Amazonには「情報処理型」のユーザーが少ない傾向にあります。そのためデザインを差別化し、ユーザーが「この商品、なにか良いな」と思えるような、意思決定をしやすい状態にすることが大切です。
まとめ
今回は、Amazonで上位にランクインするシャンプーの特徴や、シャンプー市場がどのような市場で、どのようなユーザーがいるのかをアサエルによる4タイプのフレームワークを使って紹介してきました。
あわせて、Amazonで成果を出すために活用できるピクチャリングという手法も紹介しました。ピクチャリングはECの事業者が小資本で戦っていく上では使えるテクニックとなりますので、参考にしてみてください。
◆詳しくはたなけんのEC大学の解説も参考にしてください!
”無名”のシャンプーブランドがAmazonランキング上位を取れるワケ。