楽天販売の基本
これからEC販売を始める方にとって、初めに悩むのが利用するECサービスの選択ではないでしょうか。
ショッピングモール式のECサービスを選ぶ場合、Amazonにするか楽天市場にするか迷うことがあるでしょう。
そこでこの記事では、楽天市場の出店概要、特有の仕組み、三大販売施策といった楽天市場で販売する際の基本知識について解説します。楽天市場への出店を考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
楽天市場の出店
楽天市場への出店プランは3種類あり、それぞれ月額出店料と販売手数料が異なります。プランにかかるコストは次の表の通りです。
がんばれプラン | スタンダードプラン | メガショッププラン | |
月額出店料 | 19,500円 | 50,000円 | 100,000円 |
販売手数料 | 3.5%~7.0% | 2.0%~4.5% | 2.0%~4.5% |
※2021年時点
お試しで出店するような初期の頃(月の売上が数百万円以下)は「がんばれプラン」、月の売上数百万円以上を目指す場合は「スタンダードプラン」、商品点数が1万点以上の場合や、店舗内の画像容量を無制限に使いたい場合は「メガショッププラン」を選べば良いでしょう。
また、楽天市場へ出品する際は上記の手数料以外に、店舗ページや商品LPの構築コストがかかります。新たにネットショップを始めるという場合、社内にプログラミングやコーディングができる人はいないことが多いでしょう。外注先に楽天市場の店舗作成を発注する場合、どんなに安くても10万円以上、しっかり作りこむ場合は30万円~50万円はかかると考えておいた方が良いです。また、商品LP制作にも数万円~数十万円程かかります。
楽天市場への出品計画は、これらの出店手数料と店舗ページ構築費用の双方を加味して考えることが重要です。
楽天市場特有の仕組み
つづいて、楽天市場特有の仕組みについて解説します。楽天市場の大きな特徴は、モール設計が店舗主体であることと、お得な「セール」と「イベント」が開催されることです。
店舗主体のモール設計
楽天市場は、「誰から何を買うか」という形で設計されています。一方、Amazonは「何を誰から買うか」という作りになっています。
楽天市場である商品について検索すると、検索結果画面にはその商品を出品している店舗のページが複数並びます。ユーザーがそれらの店舗群の中からどの店舗で買い物をするか、自分で選ぶようになっているのが、楽天市場内での購買行動です。
楽天市場を実店舗で例えると、百貨店のようなイメージになります。百貨店に行く消費者は、具体的な購入商品を決めておらず、「なにか美味しいものを買おう」というような漠然とした購買心理であることが多いです。このような消費者が百貨店内のどの店舗で買い物するか自分で決めるように、楽天市場内のユーザーもどの店舗で商品を購入するか自分で決めることになります。
一方、スーパーやコンビニに行く時は、「今日作るメニューはこれだから、あの商品とこの商品を買おう」と具体化した購買意欲を持っているのではないでしょうか。このユーザー心理は、Amazonを利用する時の心理と似ています。
上記のようなモール設計のため、楽天市場内では各店舗がユーザーを自店舗に呼び込まなければなりません。楽天市場内には、そのための集客施策がいくつか用意されています。
まず、楽天市場では広告メニューが複数用意されています。もう一つの集客施策が、ジャンルごとの年間MDカレンダーです。MDとは「Merchandising(マーチャンダイジング)」の略で、ある製品を消費者に購入してもらうための計画および行動のことを指します。
例えば小売業界では、1月はお正月関連、2月は節分やバレンタインデー、3月はホワイトデーなど、季節に合わせた商品需要があります。楽天市場は、年間の売れ筋トレンドに沿ったページをモール内で展開してくれ、そのような特集ページに広告出稿できることも特徴です。
お得なセールとイベントを把握しよう
楽天市場では年間MDカレンダー以外に、定期的にセールやイベントが開催されます。例えば、3月・6月・9月・12月には「楽天スーパーセール」が催されたり、不定期で「お買い物マラソン」が開催されたりします。そのため、楽天市場で売上を伸ばすためには、これらのセールやイベントに合わせて商品を販売することが重要です。
また、楽天市場には「楽天ポイント」を求めるユーザーも多いです。セールやイベント時には楽天ポイントが通常より多く付与されるので、より多くのユーザーを惹きつけることができます。
このように、楽天市場ではセールやイベントの開催状況に合わせて売上が変動することが多くあります。そのため、年間のセール・イベントを上手く組み合わせて販売していくことがオススメです。事前に計画をたてておかないと、楽天市場側のスケジュールに振り回されることになるので、年間カレンダーはしっかり頭に入れておきましょう。
三大販売施策
ECでの売上は、「売上=アクセス数×転換率×購入単価」の方程式で表せます。ここからは、どうすれば楽天市場内でこれらの数値を向上できるのか紹介していきます。
アクセス数
アクセス数を伸ばすための施策は、次の表のように3つに分けられます。
検索対策 | オーガニック(自然検索)・楽天RPP広告 |
広告活用 | バナー広告・クーポン広告など |
その他 | メルマガ・商品サムネイル・ランキング |
まず、楽天市場内でユーザーがどのように行動しているのか、商品ページに至るまでのカスタマージャーニーについて紹介します。
楽天市場の場合
Amazonの場合
※GROOVE調べ
Amazonの商品ページへの流入経路は検索が6割を占めているのに対し、楽天市場の場合は、「検索:40%」「広告:30%」「メルマガ:10%」「その他:20%」です。楽天市場で買い物をするユーザーは、お気に入りの特定店舗で購入しようとする傾向があります。そのため、リピート購入を促すメルマガ施策の比率が高くなっているなど、店舗に顧客を集める作りになっていることが特徴です。
しかし、最も比率が高いのは、流入経路の4割を占める検索経由なので、こちらの対策をしていくことが重要です。楽天市場内での検索対策は、オーガニック検索対策と楽天RPP広告の2つになります。
オーガニック検索とは、検索エンジンによる純粋な検索結果のことです。オーガニック検索での流入を増やすためには、商品ページにどのようなキーワードを盛り込んで検索でヒットさせるかが重要になります。
楽天RPP広告とは、楽天市場内における検索広告のことです。楽天市場の検索結果上位のスペースには、楽天RPP広告に出稿されている商品が表示されます。そのため、楽天RPP広告に出稿することで、検索ユーザーの目に留まりやすくなります。
2つ目の施策、広告活用についてです。広告活用手法は、大きく分けるとバナー広告とクーポン広告の2種類があります。
バナー広告は、実店舗で言うところの看板広告のようなものです。楽天市場のトップページやスーパーセールの特集ページに掲載することで、店舗の認知を高められます。広告費用は高い場合で100万以上するなど、高額な広告という認識を持っておきましょう。
クーポン広告は、クーポンを検索結果に表示させ、ユーザーにクリックされた時に課金される成果報酬型の広告です。
最後にその他の施策として、メルマガを配信してリピート購入を促したり、商品サムネイルを工夫して検索結果画面でのクリック率を上げたり、楽天ランキングを活用していく方法があります。
転換率
転換率とは、購入件数÷アクセス数で導かれる指標で、簡単に言うと購入率のことです。転換率を向上させるための施策も複数あります。
例えば、最初に表示される商品サムネイルを工夫したり、商品LPを作りこんだり、店舗独自のカテゴリーページを作ることでユーザーに類似商品を提案したり、店舗のトップページでおすすめ商品を紹介したりすることが有効です。
また、値引き施策に近いものとして、クーポンを付与したり、ポイントを付与したりすることもあります。
加えて、リアルタイムランキングも活用しましょう。リアルタイムランキングとは、楽天市場のランキング内での売上ランキングです。瞬間的にでもランキングで1位をとれば、その情報を商品LPに掲載できます。ランキングで上位表示されたことをアピールすることも、転換率向上のために重要です。
購入単価
最後に、購入単価を上げる施策を紹介します。購入単価を上げるためには、合わせ買い促進が有効です。
まず、組み合わせ販売設定をして、クロスセルを狙いましょう。クロスセルとはマーケティング用語で、ユーザーが購入しようとしている商品とは別の商品を提案し、まとめての購入を検討してもらうことです。例えば、浮き輪を買おうとしているユーザーに、空気入れも提案するようなイメージです。組み合わせ販売設定をしておくことで、複数商品のまとめ買いを促すことができます。
メルマガやLINEを使ってアップセルを狙うことも重要です。アップセルとはマーケティング用語で、ユーザーが購入した商品と同種で「より上位のもの」を提案し、購入してもらうことを指します。例えば、ミネラルウォーターを買っているユーザーに定期購入もできることを提案するようなイメージです。楽天市場では管理画面からLINEとの連携がスムーズにできるので、設定しておきましょう。
最後に、楽天セールイベントと連動していく方法もあります。まず、目玉商品(楽天用語で「呼び込みパンダ商品」と言います)をセールに出しておき、「呼び込みパンダ商品」のページにバナーを掲載しておくことで、本当に買ってほしい商品へと誘導するやり方です。
まとめ
楽天市場には3種類の出店プランがありますが、まずは手数料が一番安い「がんばれプラン」から始めてみましょう。楽天市場は、「誰から何を買うか」という形でモール設計されているので、店舗ページや商品ページをある程度作りこむ必要があります。出店時の計画は、手数料と店舗構築双方を加味して考えることがおすすめです。
楽天市場で売上を上げていくためには、楽天市場の広告を活用しつつ、年間MDカレンダーや楽天市場が開催するお得なセールやイベントに合った販売計画をたてることも必要です。また、年間スケジュールに合わせて販促していくと同時に、「売上=アクセス数×転換率×購入単価」の方程式に沿って紹介した施策を行っていきましょう。
◆詳しくはたなけんのEC大学の解説も参考にしてください!
Amazonとは違う!?楽天市場での物販で売上を伸ばす方法!