Amazon販売の基本
Amazonでの商品販売を検討している人は、Amazon市場特有のポイントをおさえなければなりません。Amazon市場は一般市場とは異なるので、商品を販売するためにはその違いを理解し、Amazon独自の戦略を立てる必要があるといえます。
本記事では、取引形態や、Amazon特有の仕組み、3つの販売施策について分かりやすく解説していきます。Amazonに商品を出品し、売上を伸ばしたい人は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。
Amazonにおける2つの取引形態
Amazonにはセラー・ベンダー2つの取引形態があります。出品者であるセラーと卸元であるベンダーでは、Amazonとの関係性、利益の取り分、価格決定権などが異なります。
以下、セラーとベンダーにおける違いについて確認していきましょう。
セラー
セラーはビジネスを小規模で始めたいという人におすすめです。個人や中小企業がAmazonに商品を出品する場合、セラーになることが一般的です。気軽に始めやすいという特徴から、Amazonにおけるセラーのアカウントは20万以上といわれています。
セラーは商品をAmazonに出品させてもらい、商品が売れたら商品価格の8〜15%をAmazonに手数料として支払わなければなりません。しかし商品の価格決定権はセラーにあるため、自分で値段を設定できます。
ベンダー
ベンダーには売上規模の大きい企業や、誰もが知る有名企業が該当します。例えば、パナソニック、森永乳業などがベンダーとして挙げられます。Amazonにおけるベンダーのブランド数は5万程度といえるでしょう。セラーではなく、ベンダーを選択する際の判断基準の1つには、売上が1億円以上あるかが大きなポイントになります。
ベンダーがAmazonと取引を行う際、Amazonと直接取引することもありますが、メーカーから卸業者に経由することもあります。ベンダーはAmazonに商品を購入してもらった場合、定価の55〜70%程度の金額が支払われます。
しかしベンダーはAmazonに希望価格を伝えることはできますが、値段を最終的に決定するのはAmazonです。
Amazon市場では値引きがシステムによって行われることがあるので、定価よりも販売価格が低くなってしまったというケースも。そのため、大手家電量販店よりも値段が圧倒的に安くなり、売上が想定よりも少ないといった事態になることもあるかもしれません。
セラーとベンダーの選び方
セラーとベンダーの選び方は、下記を基準にするとよいでしょう。
まず、取引額を考えます。基準として年間の売り上げが1億円未満であるならセラーがおすすめです。セラーは小回りがきくため、売上の伸びしろがある場合はセラーから始めます。
次は既存商流があるかどうかです。大手家電量販店などと取り組みがある場合は、直接セラーとして販売をするのではなく、ベンダーにした方が実店舗との関係が良好になるでしょう。
最後は自社組織を持っているかです。Amazonに商品を卸した後はAmazonが全てマーケティングを行ってくれます。しかし後ほどお話しますが、セラーを選択する場合はマーケティング対策を全て自社で担当する必要があります。そのため、社内にきちんとマーケティングのノウハウがあるかを基準に考えましょう。
Amazon特有の仕組み
Amazon市場には、楽天市場やShopify(ショッピファイ)などとは異なるAmazon特有の仕組みがあります。Amazonで商品の販売を検討している人は、他のプラットフォームとの違いについてよく理解しておかなければなりません。
以下、Amazon特有の仕組みであるSDPとFBAについて説明します。
SDP(カートボックス)
SDP(Single Detail Page)とは、Amazonにおいて1商品につき1商品ページを示すものです。カートボックスは、商品を購入する際に 「カートに入れる」ボタンが出てくる場所になります。
カートボックスの下を見ると、「こちらからもご購入いただけます」といった欄があり、複数の出品元の情報が掲載されています。
これはAmazonが「この人から買えばお得だよ!」という条件を提示するもので、購入する商品を決めている消費者に対して、最もお得な条件の販売元を紹介するシステムになります。
つまり、Amazonは消費者にとってベストな販売者を商品ページにおいて推奨してくれているのです。カートボックスでおすすめ商品となる基準は複数ありますが、その中でも重要なポイントは「安い」「速い」販売元になります。
FBA(Amazon物流)
FBA(Fulfillment By Amazon)とは、直訳すると 「By Amazon=Amazonによる、Fulfillment=満足」になります。つまり、「注文を受けた商品の梱包から発送、決済まで全てAmazonが代行します」というサービスを指しています。
注文を受けてから準備をするのは簡単なことではありません。また売上が増えれば増えるほど、商品を保管する倉庫を用意する必要がでてきます。
AmazonはFBAのサービスで商品を売りたい企業に対して倉庫を貸しています。Amazonの倉庫は24時間稼働していますし、物流に関するカスタマーサービスもサービス料金に含まれているので、安心して商品を売ることができます。
3つの販売施策
売上方程式を元に販売施策を説明していきたいと思います。
インターネット上で大きな市場を持つAmazonには3つの販売施策があります。この販売施策は、「売上方程式(売上=アクセス数×転換率×購入単価)」ともいわれるものです。
以下、3つの販売施策であるアクセス数、転換率、購入単価について詳しく説明します。
アクセス数
SEO、オーガニック検索のいずれにおいても、どのようなキーワードを用いることで売れるのかを把握することが重要です。
下記の図は、ユーザーが商品を購入するまでの導線を概念化した図になります。
図をみると、Amazonでは検索して商品を購入する人は6割ほどであり、検索から購入の流れをとる人が半分以上を占めています。
商品ページに検索キーワードを含めなければ、ユーザーは商品ページに辿り着くことはできないので、ユーザーがどのような検索キーワードで商品を検索しているのか、または売れているのかを把握する必要があります。
また、上手く広告を運用するのも商品を売るのに必要なテクニックになります。例えばGoogle検索で「ビジネスバック」と検索すると、上段に広告が出てきます。
ユーザーが一番最初に目にする位置に商品を掲載できるので、自社の新商品、売り出したい商品はAmazonに料金を支払ってでも広告を載せる価値があるでしょう。
とはいえ「お金を払えばそれで終わり」というわけではありません。いずれにせよ、キーワード対策をして上手く自社の商品を検索にヒットさせることが必要不可欠です。
世の中にありふれている商品をAmazonで売る場合は、アクセス数に気をつけることが重要です。自分が商品を相場よりも安く仕入れできる場合、アクセス数のみに力を入れるだけでも売上を伸ばせるでしょう。
転換率
転換率とはCVRともいわれています。転換率はページの参照者や、購入者の割合のことです。
商品ページには、メイン画像、サブ画像(6〜8枚)、商品説明文、カスタマーレビュー、加えてクーポンや割引の情報が記載されています。
ユーザーは基本ページに書かれている情報を元に商品を購入するので、写真や商品説明などを工夫し、商品ページをいかに魅力的にできるかが重要になります。
サブ画像に商品の情報がきちんと書かれていなかったり、レビューが悪かったりすると転換率は下がってくるでしょう。
おすすめの方法は、競合商品のページやレビューを参考にして改善し続けることです。
オリジナル商品を販売する場合、競合と差をつけたページを作ることを特に意識しなければなりません。これから市場で売りたい商品がある場合は、転換率を気にしてみてください。
購入単価
結論Amazonでは、あまり重要な指標ではありません。
楽天市場は百貨店で商品を購入するイメージがあり、呼び込み商品や派生商品を用意するといった施策をとっています。対して、Amazonの1人当たりの商品購入数は1.1前後となっており、合わせ買いされることは少ないといえるでしょう。
Amazonにおいてユーザーに合わせ買いを推奨することは向いていませんが、クーポンを導入することで合わせ買いしてもらえることもあるようです。「このブランドを〇個購入すれば割引になる」といった方法も効果を期待できるので、工夫してみてください。
まとめ
本記事では、Amazon販売の基本の大枠について説明してきました。
Amazon市場で商品の販売を手掛けるにあたって、予想される売上規模などからベンダーかセラーかどちらの立場になるかを決めることから始めます。
また、売上を上げるためにはAmazonの特質を理解することが不可欠といえます。商品ページに商品のキーワードを入れる、魅力的な商品ページを作成するなど、ユーザーが商品を購入したくなるような施策を行ってください。
しかしネット市場には正解がない部分もあるため、PDCAをまわし続けることも忘れないようにしましょう。
◆詳しくはたなけんのEC大学の解説も参考にしてください!