ゼロからEC出店するための基礎知識

ネット通販を始める際、何から手をつけて良いのか分からない、と悩む方も多いでしょう。

そこで今回はゼロからEC出店するための基礎知識として、主要ECサービスの特徴を紹介します。

これからネット通販を始める方は本記事を読むことで「まず、何をすればよいのか」「何から手をつければよいのか」が分かるようになります。念入りに準備をしてから、EC出店をするのがオススメです。

 

 

出店場所の種類


出店場所の種類は、Amazonや楽天市場などの「モール」と、カートASP・リピートASP・その他の出店方法を含めた「自社EC」の2種類に大別されます。

 

モール

Amazon、楽天市場などのショッピングモールサイトで商品を販売することになります。同じモール型でも、Amazonと楽天市場では仕組みが違います。出店するモールは、それぞれの特徴をふまえて選ぶことが重要です。

はじめてEC出店される方や売上が10億円に満たない法人はAmazonへの出店がオススメです。その理由は後ほど触れていきます。

 

自社

自社ECの出店方法は、カートASP(Application Service Provider)、リピートASP、その他に分けられます。

カートASPは、デザインの大枠ができているので簡単にHPの作成が可能です。メジャーなサービスはBACEやShopifyでしょう。BASEは日本企業が提供するサービスで、無料で自社ECを作成できる初心者にも使いやすいカートASPです。一方、Shopifyはカナダ発のサービスで、世界で最も普及しているカートASPとなっています。

リピートASPは、単品リピート通販(プロテインやサプリメントなどリピート購入してもらう戦略をたてて売る商品のこと)に最適化されたASPです。メジャーどころはecforceやリピスト。自社の商品を繰り返し購入してほしいという場合は、リピートASPを選ぶと良いでしょう。

その他の出店方法として、全ての機能を自分で作るフルスクラッチサイトや、ある程度の型はできていてカートASPよりは自由度が高いパッケージシステムなどがあります。

年商50〜100億円ならパッケージ、10億円以下ならカートASP・リピートASPを使うことが一般的です。

 

主要ECサービスの特徴

basic-knowledge-for-1

EC出店するためには、それぞれのECサービスの違いを理解することが重要です。ここからは、主要ECサービスであるAmazon、楽天市場、自社ECそれぞれの特徴を紹介します。

主要サービスの特徴

  Amazon 楽天市場 自社EC
(ASP)
出店準備コスト
販売手数料 ×
集客力 ×
カスタマイズ ×
ブランディング ×
顧客情報 ×
物流対応 ×
受注CS対応 ×

 

準備コスト

まず、出店準備にかかるコスト(お金・時間)は、Amazonが一番優れています。費用面では4,900円の月額固定費だけで出品できますし、時間面ではAmazon上で販売されている商品であれば自社販売価格を設定するだけで販売開始できます。

アカウントを作った後は1日で販売開始できるくらい安くスピーディーに出店できるのがAmazonの特徴です。

一方、楽天市場の場合は、自社店舗のページを作り、さらにその中に自分のページを作った後に出店申請をし、楽天側からの許可がおりないと販売できません。自分でプログラムできない場合は外注する必要があるので、50万円以上はかかるでしょう。

また、一番安いプランでも月額20,000円程度かかります。Amazonと比べると準備コストがかかりますが、それでも楽天市場は巨大サービスであるので、利用するメリットは十分にあります。

ASPの場合は、たくさん商品を売りたい場合はそれぞれページを作る必要があるので、出店にかかるお金・時間的なコストは楽天市場と同程度になります。

 

販売手数料

販売手数料は、Amazonが一番かかります。販売商品のカテゴリによって変わりますが、一番安くて8%、高くて15%の手数料がかかります。

楽天市場もカテゴリによって手数料は変わりますが、一番安いと2%、高くても7%です。また、自社ECの場合はほとんど販売手数料はかかりません。

 

集客力

次に集客力についてです。Amazonは圧倒的な集客力があります。

純粋なAmazonユーザーに対する集客だけではなく、Googleに対してのSEO(検索エンジン最適化)対策もしてくれるため、Googleからの集客も見込めます。そのため、主要サービスの中では最も販売手数料がかかりますが、それだけの価値はあると言えます。

一方、楽天市場はAmazonよりは集客力に劣ります。Amazonの規模が3兆円程度なのに対し、楽天市場の規模は2兆円程度です。しかし食品やファッションなど、カテゴリによっては楽天市場の方が集客力が大きい場合もあります。

自社ECの場合、Amazonや楽天市場のようにモール側が集客してくれる訳ではないので、自分で集客する必要があります。

 

カスタマイズ性

ショップのカスタマイズ性は、Amazonが最も低く、自社ECが最も高いです。Amazonの場合、Amazonのルールに則った商品ページにするため、どのショップも同じような作りになります。

楽天市場もルールはありますが、Amazonよりは自由にコーディングなどが可能です。自社ECの場合、BASEなどはデザインテンプレート等の制約はありますが、リピートASPの場合はほとんど制約なくサイトを作ることができます。

 

ブランディング

店舗のブランディング効果についてもAmazonが最も弱く、自社ECが強いです。

Amazonに詳しくないユーザーがAmazonで商品を購入する際、それぞれの出店ショップからではなくAmazonで買ったと思う傾向にあります。そのため、ショップとしてのブランドを訴求することは難しいでしょう。この傾向は楽天市場の場合も同様です。

一方自社ECの場合は、そのサイトを運営しているショップから買っていることが明らかなので、ブランドの訴求という面では最も優れています。

 

顧客情報

顧客情報については、Amazonや楽天市場で販売する場合、ほとんど取得できません。もちろん、商品を発送するための住所情報などは通知されますが、顧客のメールアドレスや電話番号は分かりません。

そのため、リピート購入施策がとりづらいです。ただし、楽天市場に関しては、楽天市場でリピートしてもらうためのメルマガのみ許可されています。

一方、自社ECの場合は自分で顧客情報を取得できるため、リピート施策を強化できます。

 

物流対応と受注CS対応

ここまで3つ連続でAmazonの欠点を紹介してきましたので、自社ECの方が優れていると感じた方もいるかもしれません。しかし、販売オペレーション・販売インフラ、すなわち、物流対応と受注CS対応はモール型の方が優れています。

Amazonに出店する場合、物流対応と受注CS対応が非常に楽です。Amazonで販売する場合、商品管理はAmazonの倉庫で行われます。そのため、注文が入ったらAmazonが配送処理をしてくれます。

特に、梱包・保管・配送など物流に関する業務をAmazonが行ってくれるFBA(Fulfillment by Amazon)というサービスを利用すれば、EC担当者が一人いれば問題なく店舗運営ができます。

楽天市場にもRSL(Rakuten Super Logistics)というサービスがありますが、現時点ではAmazonの物流対応の方が優れていると言えます。また、楽天市場の場合、Amazonと異なり受注対応は自分で行う必要があります。

自社ECを運営する場合、Amazon・楽天市場のようなサポートは受けられないため、物流に関する業務を全て自分で行わなければなりません。そのため、商品の保管のために倉庫を借りたり、受注したら梱包作業をしたりと、売れる前の準備や売れた後の対応が大変です。

また、ユーザーが自社ECで購入前にアカウント登録が必要な場合などは、カゴ落ち(ユーザーが商品をカートに入れたものの決算しないで離脱すること)の可能性がモール型店舗より高くなりがちです。この点も、自社ECでの運営時には留意しなければなりません。

 

出店場所の選び方


ここまで、Amazon・楽天市場・自社ECそれぞれの特徴について紹介してきました。ここからは、それらの特徴をふまえ、どの出店形式を選べば良いのかを紹介します。


世界観を売りたい場合は自社ECがオススメです

自分のブランドをしっかり知ってもらいたかったり、既に一定のブランド認知があったりする場合は、BASEなどで自社ECを作るようにしましょう。

ただし、自社ECの場合は、集客は自分で行う必要があることを忘れてはいけません。

 

商品を売りたい場合はAmazonがオススメです

とりあえず1商品販売したい、既に市場で売れている商品を売りたいという場合は、手軽に販売開始ができるAmazonを選ぶと良いでしょう。

この時、Amazon内の検索ボリュームを意識することが重要です。Amazon内で検索されているキーワードに対して適切な対策をしていくことが、Amazonで商品販売するポイントと言えます。

 

商品を百貨店で売りたい場合は楽天市場がオススメです

楽天市場は、Web上の百貨店・デパートと言えます。そのため、リアルの百貨店・デパートでも売れやすい、衝動買いされやすい特性の商品などの販売に向いています。

また、既に一定のビジネス規模がある場合も楽天市場での販売に向いています。楽天市場はAmazonより出店にコストがかかります。そのため、Amazonに出店してEC販売の土台を作った後、規模拡大のために楽天市場に展開することがオススメです。

いずれの場合も、楽天市場の特徴であるセールや広告に注力していくことを意識しましょう。

 

まとめ


今回は、ゼロからEC出店するための基礎知識を紹介してきました。

今までなんとなく「Amazonが規模が大きいらしい」「最近よくBASEって聞くな」と思っていた方も、Amazon・楽天市場・自社ECそれぞれの特徴が分かり、自分はどの形式で出店すれば良いのか分かったのではないでしょうか。

規模が大きくなれば全ての形式で販売することになりますが、これからEC出店される方は「Amazon→楽天市場→自社EC」の順番で展開することがオススメです。

それぞれの特徴を理解して、出品場所で施策を変えることで、より売上を上げることができます。EC出店する際は、この記事で紹介した特徴や施策を参考にしてみてください。



◆詳しくはたなけんのEC大学の解説も参考にしてください


ECの始め方を現役EC企業経営者が徹底解説!
【はじめてのEC出店 - 前編 -】



ネットショップ開業ならこれで選べ!Amazon?楽天?自社EC?
【はじめてのEC出店 - 後編 -】


    AmazonEC/D2C戦略と運用について
    GROOVEに相談する

    貴社のご状況に沿って、成功に貢献できるご提案をさせていただきます。
    また、サービス内容の詳細や成功事例などもご紹介いたします。

    • HOME      >      
    • ゼロからEC出店するための基礎知識