失敗するD2C企業は“計画”を聞けば5秒でわかります【元Amazonが解説】

D2CはDirect to Consumerの略称で、消費者とダイレクトに取引する販売形態を指します。近年では、Amazonや楽天、Instagramなどさまざまなプラットフォームを活用したD2C事業が広がりを見せていますが、その成功は簡単ではありません。

本記事では、失敗するD2Cと成功するD2Cの違いについて、事例を交えて分かりやすく解説します。「D2Cを始めてみよう」と考えている経営者や事業担当者の方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。

 

 

成功させるために必要なこと:CRMとR&Dを連携させる

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D2Cの事業成功で大切なことは、CRMとR&Dの連携です。CRMはCustomer Relationship Managementの略語で、顧客とのコミュニケーションに関する専門用語であり、コールセンターなどで使われるCSの上位概念だといえます。

一方、R&DはResearch and Developmentの略語で、日本語では「研究開発」を意味します。しかし、D2CにおいてはR&Dは「商品開発」と理解しておいてもよいでしょう。

CRMとR&Dをうまく連携させることで、顧客情報をきちんと得て研究開発に活かすという構造を作り、高速PDCAを回せることがD2Cビジネスの強みです。逆にいえば、CRMとR&Dがうまく連動していなければ、D2C事業に失敗する可能性は高いでしょう。

CRMとR&Dを連携させるためのポイントは以下の2つです。

  • 壮大な計画を立てすぎない
  • 小さく新しいマーケットを開拓していく

D2C事業の成功事例・失敗事例を交えて解説します。

 

商品開発の成功事例

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自社における商品開発の成功事例として、AmazonD2Cでのフィットネスバイク事業が挙げられます。

事業を始めた当初は大きなマーケットを狙っていたわけではなく、結果として飛躍的に成長できたという事例です。売上金額でいえば、数億円程度を目標にスタートしたのですが、現在では数十億円ほどの事業規模にまで成長しています。

もともと、フィットネスバイクの市場ではAmazonで月に数千万円程度の売上を期待できそうだと見ていました。しかし、新型コロナ感染対策としての緊急事態宣言や宅トレ需要も相まって、市場が急拡大したのです。

また、次なる展開としてSaaS Plus a Boxというビジネスモデルを考えています。SaaS Plus a Boxとは、ハードウェアと継続課金の両方を販売するモデルのことです。

フィットネスバイクへの参入検討時、アメリカのPELOTONというブランドをベンチマークにしていました。この企業はフィットネスバイクというハードウェアを扱うと同時に、自転車をこぎながらモニターでオンラインレッスンを受けられるなどエンタメ要素のあるサービスを提供しています。

自社においても、PELOTONのようなSaaS Plus a Box事業を実現できるだろうと考えます。ハードウェア単体で月に数千万円の売上を期待していた中で、結果的に数十億円規模の事業となっており、小さく始めて成功した一つの事例だといえるでしょう。

 

商品開発の失敗事例 


D2Cにおける商品開発の失敗事例として、OMOやO2Oを意識しすぎたケースが挙げられます。

OMOとはOnline Merges with Offlineの略語で「オンラインとオフラインが融合した世界」という意味があります。一方、O2OはOnline to Offlineの略語で、オンラインでの情報接触行為でオンラインにおける購買行動に影響を与えるような施策です。

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OMOやO2Oが流行っていた当時、実店舗で売れている商品をオンラインでも売れるようにするという動きが活発でした。また、商品を販売するオンライン上のチャネルは、自社サイトや楽天、Amazonなど可能なチャネルをすべて使おうとしたのです。

オフラインで売っている商品を全チャネルでアップロードすることにコストを費やしたあまり、マーケティングや広告にお金を回せなくなりました。

販路によって購入される商品や顧客のニーズが違うにもかかわらず、O2Oという考え方に囚われて大きな計画を立てると失敗しやすくなります。大きなビジョンを最初から描きすぎるのは失敗につながりやすいため、注意しましょう。

 

失敗しそうなケース


D2Cビジネスにおいて、最初から壮大なスケールをイメージしすぎるのは失敗の要因となります。例えば、「CRMツールはSalesforceという海外の有名かつ高額なサービスを使おう」「物流会社はこういう感じにしよう」などといった大きなイメージです。

最初から10~20億円ほど売る前提でプランを立てたものの、まず最初に何をすればよいのか分かっていないというケースは少なくありません。成功後のイメージはできていても、どのようにしてその段階に持っていくか分からないのです。

また、ビジネスを小さく始めるにしても、しっかりと考えていない場合は失敗につながるので注意してください。特に、資本が少ないスタートアップ企業に多い失敗だといえます。

マーケティング戦術だけを使って勝ち上がろうとしても、成功する確率は低いでしょう。D2Cにはさまざまな定義がありますが、直接エンドユーザーに対してマーケティングすることで売りやすくなるという要素しか見ていないケースも多いです。

例えば、今まで広告のCPA(広告単価の指標)が10,000円だったマーケティング戦略を7,000円でできるからやってみようという方法は、一時的には成功するかもしれません。しかし、モノづくりの観点でいえば、顧客にとって売り手側のCPAは関係がありません。

本来、市場の中で空いているポジションを見つけ、商品を投入することで一定規模に成長させ、次の展開を考えるという流れが成功パターンだと考えています。

市場がすでにあり、他社とほぼ同じような商品であるが、他社がCPA10,000円で、自社は7,000円で済みそう、あるいは11,000円であってもキャッシュがあるから耐えられそうという戦い方など、マーケティング面で戦おうとすると失敗しやすくなります。

また、Operational Excellence(業務改善プロセスが現場に定着し、業務オペレーションが磨きあげられ、競争上の優位性にまでなっている状態)で戦おうとしても、マーケティング戦術自体もコモディ化してくるため、いずれCPAが高くなるはずです。

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やはり、いかにお客様に求められ続けるブランドを生み出すかが重要となります。市場にない商品を調査して新たに開発し、顧客のフィードバックを参考にしてリニューアルを行うという繰り返しが大切です。

ニーズやマーケティング戦術が変わっても、構造的にCRMとR&Dが連携していれば強い商品・ブランドを生み出し続けられます。逆に、マーケティング戦略だけに頼っていてはD2C事業に失敗する可能性が高いでしょう。

 

成功する特殊なケース


よいモノづくりとマーケティング戦略の掛け合わせによって成功するのがD2Cです。

しかし、マーケティング戦略が圧倒的に強い場合など、マーケットを開拓してキャッシュを生み出してからモノづくりを後付けで強化していくというアプローチ方法もあります。

あるいは、先行者利益を取ってマーケットリーダーになった後で、顧客のニーズに合わせて商品ブランドに磨きをかけていくというパターンもあるでしょう。

その他にも、商品としては粗削りであるもののまずは見てもらう・買ってもらうことで利益を出してR&Dに投資するという方法もあります。CRMとR&Mを連携させることは最終的には必要ですが、初手としてマーケティング戦術を戦略として捉えるという考え方で成功する例も少なくありません。

 

まとめ


本記事で説明したように、D2Cの商品開発においてはCRMとR&Dの連携がきわめて重要です。また、D2Cビジネスを成功させるには、最初から壮大な計画を立てすぎないことや、圧倒的な強みを持ちつつ小さく始めることなどがポイントです。

D2Cを検討している経営者・事業担当者の方には、最適なアプローチをしっかりと見定めたうえで商品開発に取り組むことをおすすめします。




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