商品開発に必要な3つのポイント
Amazon物販で売り上げを出すには、Amazonでどのような商品が売れるのかを把握することが大切です。ただやみくもに商品を作っても、ECで売れなければ努力が無駄になってしまいます。
そこで今回は、どのような商品がAmazonで売れるのかなど、商品開発をする上で欠かせない3つのポイントについて解説していきます。
3C分析で考える
3C分析はマーケティング用語の1つで、ご存知な方も多いかもしれません。
以下、3つのキーワードの頭文字のCを表しています。
- カスタマー(Customer)
- 競合企業(Competitor)
- 自社(Company)
次から、3C分析について詳しく解説していきます。
3Cをモノづくりの視点から考える
まずは1つ目のC、カスタマー(Customer)です。
市場の大きさとも言い換えられますが、十分に市場が大きいのかを見ます。もちろん現時点で大きいということも重要ですが、今後どうなっていくのかという成長ポテンシャルや、魅力的な市場なのかどうかが重要です。
2つ目は競合企業(Competitor)です。
競合はどれくらいの脅威なのか、そもそも競合がいるのかいないのか、いるとすれば、どれくらいの競争相手になり得るのかを考えます。競合が強すぎるところに参入するというのは、できれば避けるべきです。
3つ目はカンパニー(Company)です。
自社が競争優位性をつくれるのかという観点でみます。例えば、どんなに良い市場で競合がいなかったとしても、その商品自体を自社で作れなかったら参入できません。その部分において社内で実現性があるのか、ということが重要です。
3C分析の活用方法
Amazonで商品を売るにあたり、私たなけんがどのような戦略をたてているかについて説明します。
まず、カスタマーについてです。
例えば、1つの商品を年間で1億円くらい売る見込みを立てて市場を探しているとします。様々な分析をした結果、「この市場では、どれだけ商品が売れても年間3,000万が限界かな」と考えられる場合は、参入はしないという判断になります。
逆に300億円ほどある十分に大きな市場となると、もう一段階さらに粒度を下げて分析する必要があります。
例えば、規模の大きい「野菜市場」に参入する場合です。「野菜市場」の範囲は広いので、野菜の中でも日持ちする干し椎茸のような乾物の市場に参入するなど、市場を明確に捉えるようにします。その中で、私の会社でいうと、事業規模や会計年度を踏まえて年間1億円くらい売れる見込みであれば実際に参入していきます。
次に2つ目の競合企業に関してです。ポイントは競合がどの程度の脅威なのかを2つの観点で見極めていきます。
- 競合の商品よりも良い商品が作れるのか。
- 競合よりも良いマーケティング活動ができるのか。
例えば、商品は良くても新参企業であればマーケティング予算がないという場合が多いと思います。その市場に大企業が多額の予算を掛けて参入してくると、商品がそこそこであっても打ち負かされてしまいます。
逆に、大企業がたくさん広告を打っても、小さい企業の方がもの作りにとことんこだわり、より良いものを作れるということもあるので、その点においては小さい企業でも勝機があります。
そして3つ目はカンパニーです。
例えば財布の新商品を作るとなった時に、すでに競合の商品が本革でデザインも良く、6,000円くらいで売れているとします。それに対して、似たような商品を自社で販売する際に価格を5,000円くらいに下げられれば売れる可能性はあります。
しかし実際に5,000円で本当にちゃんと利益が出るのか、を考える必要があります。
仮に5,000円で売って利益を出すためには原価率が最低でも30%くらいを超える必要があります。そうすると原価1,500円でそのような商品が作れるのかを考えます。革屋であればそれが実現できるかもしれません。
しかし、自社にその技術がなければ加工してくれる企業に少しでも安く作ってもらうための営業をしないといけません。そこが実際に商品販売までにたどり着くかどうかの決め手となります。
同価格帯の商品はすでにAmazonでもたくさん出ているので、普通に営業するだけではおそらく原価1,500円では作れません。そうなると、発注量を増やさないといけなくなってしまいます。
売上計画は年間1億円ほどに設定しているのに、最低でも10億円は売上を確保できなければ原価を1,500円には抑えられなくなってしまいます。
以上のように3C分析において最も重要なのは3Cすべての要素を踏まえた全体のバランスです。意思決定をする上で、ここが最も難しいポイントです。
PODで捉える
商品開発をしていく中で必要なのが 「POD」です。PODという言葉は世界最大の消費財メーカーP&Gの社内での考え方で、Point of Difference(ポイント オブ ディファレンス)の略です。
そしてPODを捉える上でさらに押さえておきたいのが下記の2つです。
- POF(Point of Failure/諦めポイント)
- POP(Point of Parity/同等性)
トースターなど高級家電で有名なバルミューダを例として見ていきましょう。バルミューダのトースターはおいしいパンが焼けるのですが、すごく高価なものです。価格は30,000円近いものも販売されており、一般的なトースターは安ければ3,000~4,000円程度ですので、およそ10倍もの価格設定がされています。
このバルミューダのトースターを上記のPOD、POF、POPそれぞれの考え方に当てはめると以下のようになります。
- POD(差別化ポイント):「本当においしいパンが焼ける」
- POF(諦めポイント):「安価な価格設定を諦める」
- POP(同等性):「温度調節機能」
PODの考え方で重要なことが、お客様に本当に求められているのかという点です。
例えば、100種類のパンを焼き分けることができる機能を持ったトースターがあるとします。さすがに世界中どこを探してもその様な機能を持ったトースターはありません。本当にお客様はそういったトースターを求めているのかというと、おそらく求められてはいません。
もしかすると一部のパンマニアには求められているかもしれませんが、一般家庭ではトースターで焼くパンの種類といえばせいぜい食パンやクロワッサンくらいです。しかし、その部分の判断を誤ってしまい市場に求められてない差別化機能をPODにしてしまっていることは往々にしてあります。
逆にいうと、市場に求められている機能でなければPODにはなり得ず、その点を抑える必要があります。3C分析の「競合」にも通じるのですが、競合のPOD、POF、POPが何なのかを調査することは非常に重要です。
カスタマーレビューをしっかり読む
また、カスタマーレビューをしっかり読むということも忘れてはいけません。
例えば私が財布の市場に参入しようとした時、競合他社の商品レビューを徹底的に読み込みます。さらに評価ポイントの抽出もします。
4や5で評価された商品はなぜ高評価なのか、1や2はどんな点において低評価なのか、また、低評価となった点として、どこに問題があるのか、財布のマチが硬いことや、チャックがほつれやすいなど、様々な改善ポイントを発見することができます。
そういった部分が競合にとってはまだ改善の余地がある部分です。カスタマーレビューから情報を入手できれば、先手を打って改善した商品を新商品として販売することができます。こうすることでスムーズにコストを掛けず良い商品を作ることができます。
1つの商品を開発するにあたって、10,000レビューくらいは読みます。それくらいカスタマーレビューというのは情報の宝なのです。
しかし注意点があります。最近だとアンチや、やらせレビュー、あるいは競合から意図的に悪い評価をつけられてしまうということがあります。ですので、5と1の評価はあまり信用せず4と2だけを見るなど、本当のお客様の声を聞かないといけません。
さらに5と1の評価でちょっと怪しいなと感じたものは、意図的に除いたりもします。そんなふうに少し工夫をしながら、基本的にはまずそのレビューをとにかく読み込みます。そうすることで、消費者として思っていた自分の感覚と実際のレビューが意外に違っていたりすることに気づけるでしょう。
最初は一消費者として、少し偏った意見で商品化しようとしてしまうのですが、カスタマーレビューを10,000件も読むと、おおよそ1つの商品に対して「ここがいい」という人もいれば「こっちがいい」という人もいます。
そのような人たちが6:4の割合だったりして、実は自分は少数派だったということが見えてくることもあります。そのようにカスタマーレビューを参考にする際は、消費者から企画者側に自分のスタンスを変えていくということが重要です。
まとめ
Amazonで商品を販売する上で重要な3つのポイント、「3C分析」「PODを捉える」「カスタマーレビューをしっかり読む」という内容について解説してきました。
いずれも絶対的に押さえておかなければならない内容なので、Amazonで販売をする方、これから副業でやろうと考えている方は、参考にしてみてください。
しかしここまでは、まだ販売前のコンセプトや企画の段階です。実際このあと商品をどのように売っていくのか、ということも商品開発と同じくらい重要です。その点に関してはまた別の機会でお伝えしていきます。
◆詳しくはたなけんのEC大学の解説も参考にしてください!
Amazon物販で稼ぎたい方必見!3つの商品開発のコツ【元アマゾンジャパン社員が解説】