①市場規模
2019年の経済産業省の統計によれば、日本の小売市場は10.05兆円に達し、これは主要なコンビニ3社の合計売り上げに匹敵します。一方、EC化率は6.8%で、他国と比較するとまだ低水準。個人の週間EC利用率が20%である中、国全体の数字は伸びしろがありそうです。
特に注目すべきは、日本のEC市場の成長率が8%に達していることです。この数字は非常に高く、今後のネット通販市場の拡大が期待されます。アメリカやイギリスなど他の先進国と同等のEC化率に達することで、小売市場全体に大きな変革がもたらされる可能性があります。
これらの動向は、日本の小売業界が急速にデジタル化の波に取り込まれていることを示します。今後も市場の変遷やECの進展に注目が集まりそうです。
②取引形態と主要企業
近年では、ネット通販が急速に普及しており、異なる取引形態と主要企業が存在しています。覚えておくべきキーワードは「B2C」(法人から個人への取引)、「C2C」(個人間の取引)、および「B2B」(法人同士の取引)です。
B2Cでは、Amazon、楽天、ZOZOTOWNなどが代表的で、これらが市場の大部分を占めています。C2Cではメルカリやヤフオクが人気で、個人同士の中古品取引が主流です。B2Bでは「アスクル」や「ものたろう」が事業用商品の取引を提供しています。
特にAmazonと楽天は、日本のネット通販市場の半分以上を占め、ネット通販全体の傾向を理解する上で鍵となります。
③実店舗小売との比較
小売業界全体の売上動向を実店舗とECで比較すると、そのダイナミクスが明確に浮かび上がります。2013年から2019年にかけて小売業全体の売上はわずかに減少し、マイナス0.5%の成長率を記録しました。一方で、EC業界は8.1%の成長率を示し、着実に市場を拡大しています。この傾向は将来的にはECの売上が実店舗を逆転する可能性を示唆しており、それが10年後には現実となるかもしれません。
しかし、実店舗とECを比較する際には、両者の利点と欠点を考慮する必要があります。まず、「購入の場所・時間」において、実店舗は即座に購入できる利点がありますが、ECは24時間いつでも購入可能な便利さがあります。次に、「商品情報」では、ECは多くの情報を事前に収集できる一方、実際の商品の質を把握するのは難しい場合があります。また、「接客の仕方」では、実店舗は深いコミュニケーションが可能ですが、ECでは代わりにオンラインの接客手段が提供されています。最後に、「経営コスト」においては、実店舗では人件費や家賃などの費用がかかりますが、ECでは物流費用が重要な要素となります。
このように、実店舗とECにはそれぞれ異なる利点や課題があります。将来的なビジネス展望としては、両者を組み合わせるO2O(オンライン・トゥ・オフライン)のアプローチが注目されます。また、EC業界での職種や役割も増加しており、その可能性についても考えていく必要があります。
④EC業界の職種
EC業界には、主にマーケティング、クリエイティブ、オペレーション、カスタマーサービスの4つの主要な職種が存在します。マーケティング職はデータ分析や商品企画に携わり、クリエイティブ職は画像制作やコピーライティングを担当します。オペレーション職は裏方業務や在庫管理、物流などを手がけ、カスタマーサービスは顧客との対話や問い合わせ対応が中心となります。
これらのポジションは協力し合いながら、円滑なECサイト運営を実現する重要な要素です。EC業界でのキャリア構築を考える際には、自身のスキルや興味に合わせて適した職種を見つけることがポイントです。
まとめ
EC業界は急速に成長し、日本市場は10.5兆円に達しています。市場規模は大手コンビニの3社に当てはまります。EC化率は7%。成長率8%を考えると、将来的には実店舗とECの比率が逆転する可能性が考えられます。Amazonと楽天が市場の半分を占めているため、これらを研究することがEC理解の鍵とも言えます。ただし、ECが絶対に良いわけではなく、実店舗との違いを理解する必要があります。
最後に、EC業界には様々な職種があり、現職からネット通販に転換する場合はネット通販に置き換えられるかを考えていきましょう。
◆詳しくはたなけんのEC大学の解説も参考にしてください!
ECってなに?元Amazon社員がEC業界の概要を解説します!