EC事業の成長が、ブランディングにつながる?! 【メーカー ✕ ECのプロ】が生み出す新たな成長戦略
ツバメタオル株式会社 様
左:GROOVE コンサルティング事業部 奥村 / 右:ツバメタオル株式会社 坂本様
ツバメタオル株式会社様は、国内のタオル生産量の4割を占める「泉州タオル」の生産販売を行う1913年創業の老舗企業です。地球環境と人にやさしいタオルづくりを推進するために必要な製造技術のイノベーション、原料調達面でのエコロジー活動、そしてフェアトレードの3つの側面において世界のリーディングカンパニーであることを目指しています。
また「地球環境と人に優しいタオルづくり」を企業理念として掲げ、有機精練というエコロジーな製造方法にてタオルを製造し続けています。(有機精練の技術は、2008年に日経ものづくり大賞を受賞)
コロナ禍におけるオフラインの需要変化から、EC事業の立ち上げをスタートされたツバメタオル様。当時、関連企業のパートナーとして成果を上げていたGROOVEをパートナーに選んでいただき、事業を成長させてきました。今回はその内側をご紹介いたします。
課題と成果:コロナ禍をきっかけにメーカーがゼロから立ち上げたEC事業
- GROOVEにAmazon運用支援をご依頼いただいたきっかけは何でしょうか?
そもそもタオルメーカーという立場で、EC事業という直販を始めたきっかけは「コロナ禍」でした。タオルメーカーは、そのほとんどが「問屋経由」での小売りと企業発注のOEMが売上の大半を占めています。
その状況で「ホテル向け、冠婚葬祭向け、各種イベント向けOEM」といった需要が、コロナ禍の行動制限により大きく減少しました。特にSP(販促品)の発注は、各種イベントの開催中止により大きな影響を受けていたんです。
当社も例に漏れず、コロナ禍の影響を受けている中で、近隣の同業者であるタオルメーカーが「ECで大成功している!」という情報が流れてきました。また同じタイミングで、弊社の関連会社が扱うマスクがECで爆売れしていることも知りました。
この関連会社がなぜマスク販売で大成功したのか聞いたところ、EC運用支援のプロにサポートしてもらっているとのことだったので、当社にも紹介してもらいました。それがGROOVEだったんです。
- EC事業はゼロから挑戦だったと思うのですが、どのように立ち上げられたのですか?
まずは専門の会社に依頼して、自社ECサイトを立ち上げました。しかし中々売上が伸びなかったのです。
そのため、そもそもお客様が沢山集まっているECモールで商品やブランドを知ってもらえば良いのでは?と考えました。そのECモールで購入されたお客様を、いずれは自社ECに引き込みたい、と考えたからです。
ECモールについては、まず楽天市場に出店しました。ページの作成は自社ECサイトで作った画像などを使って、専門の会社にお願いしたのですが、基本的には自分たちでアカウントを取得してスタートしました。
ですが、自社ECサイトも、楽天市場も、トップページはどうやったらキレイになるのか? LPをどんなコピーや画像で見せたら、売上が上がるのか?といった部分は、当時全く分からず、正直なところ困っていました。
そのため、すぐにAmazonでの販売もスタートさせました。このタイミングで前述の通り、関連会社がAmazonでのマスク販売を大成功させていたので、その運用を行っていたGROOVEを紹介してもらいました。だからAmazonに関してはスタートからGROOVEと二人三脚で進めていることになります。
ツバメタオル様のAmazonストアページ
- EC事業はどのような社内体制で運用されているのでしょうか?
EC事業をスタートさせたのは、2020年の後半からですが。当時はどのくらい売上が上がるのか全く見当が付かず、「とりあえず100万円を目指すか!」といった具合で始めました。
当社はあくまでタオルメーカーなので、EC事業はもとより、マーケティングなどの専門の部署も存在していませんでした。そのため体制としては、当時から自社ECサイトを社内で運営しています。またクリエイティブ(コピーライティングや画像・動画制作)については、社内にデザイナーがいるので、知り合いのカメラマンにも協力してもらいながら社内で回しています。とは言え試行錯誤の連続ですね。
Amazon運用については、前述の通り最初からGROOVEという良いパートナーを見つけることができたので、商品登録や在庫管理以外のSEOから広告運用は全てお任せしている状況です。
- 確実に集客につながっているInstagram運用についてはどうですか?
Instagramの運用も実は社内で行っています。元々アカウントは取得していて、細々と社内で運用していたのですが、自社ECサイトを立ち上げたタイミングで、サイト構築をしてくれたパートナーさんから「SNSからECサイトへ集客するために、Instagramを運用して、毎日10人、フォロワーを増やしてください!」と言われたことがきっかけとなり、本腰を入れて運用をスタートさせました。
これも試行錯誤しながら取り組みを続けてきたのですが、自分たちで見つけたアンバサダーさんたちに協力していただいたおかげで、フォロワーさんがグッと増えてきました。通常はアンバサダーやインフルエンサーに投稿をお願いすると、かなりコストがかかると思いますが、当社は商品のプレゼントだけで、みなさん協力してくださっているんです。
しかも、ありがたいことに、とても素敵な写真が多くて。私たちも「本当に良い!」と思えるタオルを作っているので、それを使っていただき、その心地よさから生まれる自然な笑顔が、SNSを通して返ってくることは本当にうれしい限りです。
今ではプレゼント企画を告知すると、2,000〜3,000人もの応募が集まるようになりました。手作りの抽選箱で行った抽選会の様子も、ストーリーにアップしたことで、アカウントに対して信頼感も持っていただけたようで、フォロワー数がさらに増えました。プレゼントに当選した方々も、実際に使っていただいて、当社のタオルの心地良さをInstagramで投稿してくださる、といううれしい好循環が生まれています。
- メーカーであるツバメタオル様が、EC事業に取り組んで得られた成果はなんでしょうか?
もちろん新たな収益源として会社の数字に貢献していることは一番の成果なのですが、同じくらい大きな成果として「考え方が変わった」ということが挙げられます。
今までは「こんな良いタオルを作ったから使って欲しい」という考え方だったのですが、EC事業を通して聞こえてくる声により、「お客さんがどう感じているか?」「お客様にどう使ってもらったら使いやすいか?」というように、考え方が180度変わりました。
そのため初期にあったタオルと、いま新しく製品化しているタオルでは、その違いがはっきりと出ていて、最近の商品は「お客様にこんな使い心地を届けたい」というキャッチコピーを先に考えてから作っているので、私たちとしても思い入れが全然違います。確実に良いものになっている自信がありますね。
ECではどう伝えるか?がとても重要なので、LPを作るときも、それぞれの商品価値を伝えるキャッチコピーが必要になります。これを商品を作った後から考えるのではなく、先に作ってから商品を作った方が良い、ということに気付くことができました。
「いろいろカラー」という商品は、その代表例ですね。「同じ色のタオルの何枚組」ではなく、色違いのタオルをアソートにした商品です。
実は以前からアソートの商品は売れていたので、これを当社の定番&売れ筋の白タオル(軽量で薄手のフェイスタオル)でやってみたらどうか?となったのです。そして実際に「いろいろカラー」として商品投入したところ、ものすごく売れましたね。今も「Amazonおすすめ」になっています。
レビューを見ると、お客様はこの商品を「色の違い」で使う場所や使う人を分けていたんですね。例えば、用途別でイエローは台拭き用とか。ご家族ならグリーンはパパが使う色、といった具合で、便利に楽しく使ってくださっているようです。
こんな「使い方」の部分もEC、特にAmazonをやっていなければ気付くことができなかったポイントでした。それをそのまま商品ページの画像で表現しています。
- GROOVEがツバメタオル様に対して、提供できた価値はなんでしょうか?
正直に言えば、Amazonについて社内的に深い知見はほどんどありません。もちろん商品登録や在庫の追加などはできますし、メーカーとして商品開発から製造、在庫管理、そして前述のSNSの運用なども積極的に行っていますが、それ以外の部分は完全にお任せでGROOVEが運用してくれています。
特に広告の部分では「どのキーワードにどれだけ投資する」といったノウハウも含めて、相談や報告をいただきながらも、GROOVE側で回してくれています。
GROOVEの何が凄いかといえば、Amazon運用をお任せした結果として、Amazonでの売上が昨年比を割ったことが一度も無いんです! しかもほとんどの月で昨年比20%前後の売上アップを達成しています。
また製品カテゴリー毎に、季節ニーズもデータで示してくれるので、タオルケットはいつ頃からSEOを上げておいて、ニーズが発生するタイミングでしっかりと面を取る、といった緻密に戦略策定を行ってくれています。
今では、社内で「Amazonで一定以上の広告宣伝費を投入していくことで、オーガニックでの売上も上がっていく」という仕組みを理解することができました。そのためGROOVEから「ここはプッシュしたい」と相談を受けれても、過去の実績からすんなりとOKできる関係になっています。
新たな挑戦:顧客に寄り添ったブランディングと商品開発
- 順調に成長しているEC事業において、次なる挑戦は何になりますか?
まず自社ECサイトから始めて、楽天市場、AmazonとECモールでも展開をしてきましたが、現状ではAmazonが一番売上を伸ばしています。Amazonはランニングコストも安く、GROOVEが伴走してくれているので、何が起きていて、何をすべきなのか見えているので、とても取り組みやすいと感じています。数字で結果も出ているので投資の決断もし易いですね。
その上で、今後は「ブランディング」と「継続的な商品開発」に注力していきたいと考えています。ツバメタオルだから買っていただけるようになりたい。そのためには、一番数字が出せるAmazonでEC事業をリードしながら、楽天市場、自社ECサイトも伸ばしていくことで、全体の底上げを行っていこうと考えています。
具体的には、ECモール内だけでなく、外部でのブランディングと認知拡大を推し進めていきたい。その結果として、ECモールでの売上がさらに伸びていく、という考え方です。
実は当社の「ブランディングの方向性」として印象的な言葉があるんです。このEC事業を始めるときに、当社の代表である谷が「ツバメタオルはオロナイン軟膏みたいになりたいな」と言ったんです。
オロナイン軟膏は「世代を超えて重宝されている、皮膚トラブルの常備薬」という存在だと思いますが、私たちツバメタオルも「そういえば実家のタオルはツバメタオルだったな。」とか「タオル買うならツバメタオルでしょ。」と言っていただける存在になりたいと思っています。そのためには今後も、より良い商品開発と同時に、一人でも多くの方にツバメタオルの使い心地を体験していただけるよう努力して行きたいと考えています。
その第一歩として、今年の2月にEC事業での名称を「TSUBAME TOWEL」に統一しました。元々、卸売が事業の中核だったので、問屋さんへの配慮もあり、違う名称で販売を行っていたのですが、ブランディングを推し進める上で、社名=ブランド名をしっかりと打ち出して伝えていこうと考えて名称変更を行いました。
Instagramでの施策も含めて、こうしたアクションを積み重ねることで、「ツバメタオルだから買った」というお客様を一人でも多く増やしていきたいと思います。
- GROOVEに今後、期待することはありますか?
これまでのAmazonでのSEO対策と広告運用については、明確な結果が出ているので、引き続き手厚いサポートをお願いしたいです。
その上で、今後相談したい領域としては2つありまして、そのひとつは「クリエイティブ制作」ですね。前述の通り、当社ではクリエイティブを社内制作しているのですが「タオル」という商品のイメージから、どうしても柔らかい表現になってしまうなと感じています。自社ECサイト、楽天市場、Instagramなどでは、この路線でもフィットするのですが、Amazonでは「Amazonで売れるクリエイティブ」というものが存在すると思っています。
GROOVEのサービスメニューには「クリエイティブ制作」があるのですが、まだ当社からこの部分を依頼できていません。もっと売上を伸ばしていって、早い段階でクリエイティブの改善にもGROOVEならでは知見を取り入れたいと考えています。
もうひとつは「商品企画・商品開発」ですね。最近、担当の奥村さんから教えてもらったのですが、GROOVEではAmazon上のデータを中心に、様々な調査を組み合わせて、独自の「商品企画・商品開発」を提供しているそうです。
これはジャンルを問わず全ての企業が困っているポイントだと思います。当社の場合も、率直に言えば「どんなタオルなら売れるのか?」「Amazonならこれが売れる!」について知りたい。しかし、少しレビューを深掘りしただけでは根拠に欠けるので、しっかりとデータ上で売れるキーワードを先に見つけておいて、それに自社ならではの付加価値をプラスした商品を送り出すことができれば、高確率で「売れる商品」になるはずですよね。
これからもしっかりとEC事業を成長させて、こうした分野でもGROOVEのAmazonにおける深い知見を活かしたいなと考えています。
未来への展望:Amazonで売ることがブランディングにつながる
- これまでの施策を経て、この先の展望などはありますか?
これまでメーカーという立場でEC事業に取り組み、成長させる中で「ブランディング」という言葉にたどり着くことができました。このブランディングを推し進めるために、最も効果的なアクションは「Amazonでの売り上げをもっと伸ばす」ということです。
正確には「Amazonでの売上個数」を伸ばす、ですかね。これにより様々な理由で「良いタオル」を探している人に「ツバメタオル」というブランドを知ってもらうことができる。そして実際に使っていただいた方の中には、その使い心地の良さをさらに他の方に伝えてくれる人もいます。
だからこそ、ストアページの見え方、伝え方にもこだわっていきたいですし、お客様の声から生まれる新しい商品も作っていきたいと考えています。
Amazonで売る、ということがブランディングにつながるという発想は、実際に運用してみなければ、すんなりと理解できないかも知れませんが、私たちと同じ「メーカーからゼロスタートのEC事業」を目指す方たちには、ぜひ知って欲しいポイントですね。
左:ツバメタオル株式会社 坂本様 / 右:ツバメタオル株式会社 代表取締役社長 谷様
編集後記:モノづくり企業 ✕ ECマーケティングの専門家
今回ご紹介したツバメタオル様では、EC事業のほぼ全てを、営業職である坂本様が一手に引き受けていらっしゃいました。
これは坂本様がマーケティングの知見をしっかりと持っている方だからこそ成り立つ、特別な社内体制ではありますが、「メーカーとして考えるべきこと、すべきこと」と「専門家に任せて、結果を出してもらうこと」を明確に割り切っている点が重要なポイントだと思います。
この「割り切り」により、社内に数名のマーケティングチームを抱えることなく、EC事業を成長させ続けることができているのだと感じました。この「素晴らしい製品を生み出すメーカー」と「ECマーケティングの専門家」という関係性(組み合わせ)は、かつては「モノづくり大国」と言われた日本において、多くの企業に当てはめることができると思います。
それは、GROOVEが掲げる「日本のモノづくりをアップデート」という言葉につながる答えのひとつであり、同時に、まだ知られていない「本当に良い商品」を、より多くの消費者に届けるための「新しいスタイル」ではないでしょうか。
この記事を読んで「商品の良さには自信がある!」、しかし「売り方や伝え方は分からない」という方がいたら、ぜひGROOVEへご相談ください。良い商品はお客様の手元に届いてこそ価値があります。一緒に考えましょう。