お客様に愛される商品を常に考え続けていくために
株式会社サンセリテ札幌 様

右から:株式会社サンセリテ札幌 五十嵐様/鎌田様/矢内様/株式会社GROOVE 山下/油谷
北海道・札幌を拠点に、化粧品やサプリメントの企画・製造・通信販売を手がける株式会社サンセリテ札幌様。「本屋さんのように、人に寄り添い、健康を提案する存在でありたい」という創業者の想いを出発点に、独自のサプリメントブランド「健究室」や、話題の“食べる出汁”「KAKEDASHI」など、日々の生活に寄り添う製品を多数展開されています。
GROOVEでは、サンセリテ札幌様のAmazonにおける販売戦略をサポート。今回はEC運用を担う皆様に、商品展開の裏側や社内での工夫、そしてこれからの展望についてお話を伺いました。
目次
- 見えてきた課題:飽和市場で問われる次の一手
- 編集後記
新たな挑戦:サプリメント開発に込めた、ものづくりの思想
ー まず初めに会社の歴史、代表商品とそのブランドヒストリー、ご担当者様の自己紹介とミッションについてお聞かせください。
(サンセリテ札幌 鎌田様)サンセリテ札幌の鎌田と申します。当社は、今年で創業33年目、北海道・札幌の地に根差し、健康食品・サプリメントの製造・販売を行ってきた会社です。自社のミッションとして「すえ広がりの暮らし、すえ長く提案します。」を掲げています。
もともとは新聞などで膝サプリメントを販売していましたが、7年ほど前からEC事業には着手しており、年々EC比率は高まっています。 現在は同席している矢内が中心となって運用してくれています。
(サンセリテ札幌 矢内様)サンセリテ札幌の矢内と申します。現在は販売チャネルでチームが分かれており、Amazonは私とメンバーがもう1名、楽天は私と他メンバー1名で取り組んでいます。私自身の業務領域としては、商品開発・マーケティング・事業開発が中心で、Amazonの場合は私が商品企画メイン、もう1名がクリエイティブやA+まわりのディレクションをしてくれています。
ー かなり早い段階からECを始められていたんですね!
(サンセリテ札幌 矢内様)そうですね。当社が参入したころには、Amazon上でサプリメントの販売といえば海外のサプリがほとんどで国内のサプリは限られていました。それがここ2、3年のうちに国内メーカーのマルチビタミンなども伸びてくるようになり、競争が激しくなってきている印象です。
通販事業全体の数字を追っている中で、当時規模は小さかったのですが、経営的な面でAmazonの数値は、かなり見込みがあると思いました。具体的には、広告の費用対効果などを見ていると、Amazon事業はまだまだ伸びしろがあると踏んだので力を入れていきたいと思いました。
そのタイミングで私が担当を申し出て、一人で3、4か月くらい取り組んでいましたが、全般的な知識不足であり手探りの状態でした。Amazonは楽天とちがっていつも営業さんがついてくれるわけでもないので、困ったときに相談する相手がいない状況でした。
ー 確かに私たちが支援している中でもそのころからサプリメントの市場は一気に競争が加速した印象はあります。今でもモールではその商材が一番の売れ筋なのですか?
(サンセリテ札幌 鎌田様)もともと販売していた膝サプリメントは今でも新聞からのユーザーが多いです。ただ間違いなく比重としては徐々にオンラインにシフトしてきていて、自社のECサイト、そしてモールが増えてきているという感じですね。
ただ、売れ筋商品となると少し話は変わってきます。膝サプリメントについていえば年代の高いお客様が中心なのですが、モールになるとビタミン系のサプリメントなどが非常に人気です。ユーザーの年齢層も少し若めになっていて、お肌とかそういったお悩みにピンポイントに刺さるビタミンなどが伸びているという状況です。
またサプリメント以外の商品も企画・開発していて、今はそこに対する販売も強化していっています。
成果と変化:注目商品「KAKEDASHI」誕生の舞台裏
ー 具体的にはどのような商品でしょうか?
(サンセリテ札幌 鎌田様)「KAKEDASHI -かけだし-」という商品名で、言ってしまえばお出汁なのですが、少しコンセプトを変えています。出汁として使うのはもちろん、出来上がった料理に上からふりかけても何にでも合いますよという商品です。
出汁というのはカルシウムや鉄分などのミネラルがとても豊富なのですが、当社の「かけだし」はそれを普段の食事、しかもいろんな料理にプラスできるというコンセプトで企画開発しています。添加物や食塩を一切使っていないということもあり、昨年末に発売して約半年の期間でかなりの反響をいただく人気商品となっています。
ー 確かに、私たちが支援させていただく中でこの商品のレビューを読み込んでみると、減塩のニーズなどにうまく答えることができているんだなという印象を受けたりしますね。
しかも自然の原料だけで味付けもシンプル。そのシンプルさがうけいれられてオーガニック系のニーズなども含め、いろんなところのニーズをかき集められたいい商品だなと感じています。
こういった商品開発にはどのような発想で取り組まれているんですか?
(サンセリテ札幌 矢内様)普段の運用や提案の中身もそうですが、商品に対する解像度の高さも含め、GROOVEの当社の商品に対する愛の強さを本当に感じますね。嬉しいです。
ー ありがとうございます。
(サンセリテ札幌 矢内様)おっしゃる通りで非常に幅広いニーズにこたえることができていると感じています。ただ、商品企画に関しては、正直かなりビジョン先行のプロダクトアウトなところはあると感じています。
創業以来ずっとサプリメント開発が基本だったので、「かけだし」のような食品は今回初めて挑戦しました。お客様とお話をしている中で、栄養は取りたいけど、持病で薬を飲むからサプリが飲めない、結局栄養を取るために塩分過多になってしまうなどのお話が多々あります。
サプリメントは、普段の食事で取れない栄養を補うものなのですが、逆に言えば、日常の食事で栄養が不足しなければ必要ないもの、とも言えます。食事で美味しく栄養が補える、それをどうにか実現させた形がこの「かけだし」です。
運用という観点から言えば、やはりお客様に購入していただいて、リピートしてもらうというところが大事なので、まずは広告で集客をすることが必要になってきます。しかし、商品力がなければリピートされず長期的に採算が合わなくなります。「かけだし」は味と栄養のバランスを突き詰めて開発しましたので、これはお客さんもリピートしてくださるだろうな、という商品に仕上がり、実際に沢山の販売につながっているのでとてもうれしいですね。
ー 「KAKEDASHI -かけだし-」の開発にはそういった経緯があったのですね。御社の特徴として、もともとは自社ECを中心に売られていたところからAmazonや他のモールにも展開されていったと認識しているのですが、モールで戦うとなった時の価格戦略や自社ECとのすみ分けはどうされているんですか?
(サンセリテ札幌 矢内様)価格については、当社の場合、運のいいことにと言いますか、ほとんど苦労していません。もともと自社ECのお客様向けに販売している価格をできるだけ抑えようというスタンスでしたので、、そのままモールでも通用するような価格設定にできたという感じです。
もちろんメーカーとしては自社ECで購入していただくのが一番良いですし、特にAmazonの場合FBAを利用するとお客様の情報が入ってこず、私たちの一番好きなCRMができないというデメリットはあります。
しかし、モールで購入してくださっているお客様と自社ECで購入してくださっているお客様はデモグラフィックやニーズが異なります。そのため、モールで販促を強めたとしても自社ECからモールに流れることもないですし、ある程度住み分けができている状況です。
見えてきた課題:飽和市場で問われる次の一手
ー なるほど。ここまでのお話をお聞きする限りでは、商品の強みやチャネルごとの顧客像に対して非常に解像度高くモール事業を展開されているなと感じているのですが、そもそもどういった課題があってGROOVEとの取り組みを始めることになったのでしょうか。
(サンセリテ札幌 矢内様)今でこそいろいろ深くユーザーインサイトなどをつかめるようになってきましたが、7、8年ほど前にAmazonに出品した当時は、これからはECが伸びていくだろうという感覚で出品しただけで、その後の運用は誰も手を付けておらず商品を置いているだけという状態でした。
Amazon市場が伸びている、程度の知識は持っていましたが実際に力を入れて売り上げを伸ばしていくとなると何をすればいいのか全く分からない、というのが私も含め社内全体での課題でした。
そんなときにGROOVEの代表取締役である田中さんのYouTubeチャンネル「たなけんのEC大学」に出会い、当社のAmazon事業も専門的な知識をもってすればもっと伸ばせるのではないかと感じ、GROOVEと取り組みさせていただこうと考えました。
ー 実際の当初の課題への取り組み状況と成果について定量面・定性面でお聞かせください。
(サンセリテ札幌 矢内様)GROOVEには売上・利益拡大のために、Amazonに関わる内容全般に一緒に取り組んでいただいています。定量的な成果としては、Amazonの売上でいえば間違いなく右肩上がりで伸びていて、GROOVEに入っていただく前と比べると、売上のベースは4倍ほどに上がっているといったところです。比重としては、広告運用が大きめですが、その広告運用もKPIの範囲内で実施できており、持続可能なAmazon運営ができています。
もともと手つかずのところから始めてもらっているので、クリエイティブや商品ページといった基本的なところからテコ入れするだけでも数字が大きく変わりました。ASINのバリエーション組みをしたことも大きかったです。1袋販売、2袋販売、3袋販売が別々の商品として存在していた所を、同じページに統合したことは、インプレッションと売上にクリティカルな影響がありました。
ー 広告運用という面ではいかがでしょうか?
(サンセリテ札幌 矢内様)広告運用でも当社の商材を求めているユーザーに対して適切に露出ができていると感じています。広告周りについては、やはり代理店に運用を任せる立場からすると、少なからずお金が発生するので心配になると思います。
たまに気になってGROOVE側には言わずにAmazonの管理画面から変更履歴などを確認することもあるのですが、きちんと運用してくれているので安心しますね。運用費だけ払ってあとは丸投げ、ではないですし、広告運用に関してやり方がわかっていなかった部分も教えてもらいながら進めることができたのはありがたかったです。
また契約形態も安心材料の一つです。一般的な広告代理店さんだと広告運用費のxx%という料金設計が多いと思うのですが、そのモデルだと広告費を多く払うことが代理店側の理想になってしまう。
GROOVEの場合は、販売者側の利益を考慮したうえで販売計画を作ってくれています。加えて、商品がちゃんとお客さんに届くかを考えることを大事にしてくれていますし、実際に私たちの商品を利用してくださったりと、商品に対する理解をしっかりと深めてくれているところも含め、メーカー目線でいてくれると感じます。
ー このあたりは運用する側としてはどのような方針で進めていきましたか?
(GROOVE 油谷)サンセリテさんの商品の場合は、価格優位性があるので売上方程式でいうとCVRが担保されている感覚、そこでセッション数を伸ばすのが大事だと考えました。ただその際に気を付けなければいけないのは、価格が低い分CPCやROASを抑えたまま露出しなければいけないこと。
つまり、クリック単価のコントロールをどれだけ細かくやっていくかが必要になってくるということですね。「マルチビタミン」などの検索ボリュームの大きいキーワードから獲得しても利益が残らないので、もう少しボリュームの少ないミドルやスモールなキーワードをしっかりと狙い、そこに対しての広告を出し漏らさないようにしていきました。
ー ありがとうございます。定性面では何か社内での変化などはあったでしょうか?
(サンセリテ札幌 矢内様)端的に言えば、Amazonへの取り組みのスピードとAmazon運営に関する知識ですね。担当者の方とは殆ど毎日連絡を取り合っていますし、そのなかで業務の依頼をするだけでなく、不明点に答えていただいたりもしています。
ー では逆に、GROOVEとのお取り組みの中で新たに見えてきた課題などがあればお聞かせください。
(サンセリテ札幌 矢内様)Amazon市場が飽和状態になりつつあり、教科書通りの運営だけでは厳しくなってきているなと感じます。
具体的には、1商材当たりの売上の上限を感じ始めることが増えました。当社の場合は広告の費用対効果に対して一定のラインで許容値を設定しているのですが、そこが以前に比べると上限に近づいてきていると感じます。
その上、サプリメント商材は差別化しづらいですし、違いも伝えづらい。注力商材を見極め、許容値を超える月が2,3か月続けば広告投資を緩めるなどの判断はしていく必要があります。参入障壁は今後さらに高まっていくと思われますね。
(GROOVE山下)確かに、最近だと運用している中でACOSを30%から40%になるくらいまで広告を踏んでも売上が変わらない商品なども出てきていますね。市場規模をみてもダウントレンドなものもありますし、販売個数、市場の中での商品数の増え方も含めSEOも上がりにくくなってきていると感じています。
(サンセリテ札幌 矢内様)そういう意味で先にお話しした「KAKEDASHI -かけだし-」のようなストーリーを伝えやすい商品はドライバーとして必要になってくると思います。事実、大変ありがたいことに売り上げが伸びてますし、お客様の新たなニーズも見えてきましたね。
ー そのほかAmazonにおける売上以外の面で社内における変化などがあればお聞かせください。
(サンセリテ札幌 鎌田様)Amazonが成長することで、社内でもAmazonへの注目が高まりました。やはり初めのころは、CRMの観点から自社ECで売れるよりもAmazonで売れるというのは正直嬉しくない、という空気感が社内にもありました。
しかし実際にAmazonで販売している商品を、新しいお客様が購入してくださっていたり、SNSなどで購入した様子を投稿してくださっているのをみるとうれしい気持ちになりましたね。Amazonを通じて多くのお客様に商品を届けることができており、それが売上として返ってくることで企業としても成長を実感しています。
未来への展望:これからも誇れる商品を作り続けていくために
ー 最後に今後の御社のEC事業が目指していくところと、その中でGROOVEに対するご要望やご希望があれば是非お聞かせください。
(サンセリテ札幌 鎌田様)私たちサンセリテ札幌の商品と価値観に共感していただけるお客様を増やしていくことが目標です。当社の商品が愛されてきた理由はいろいろあると思いますが、会社のミッションである「すえ広がりの暮らし、すえ長く提案します。」に基づき、成分へのこだわりと続けられる価格というのは守っていきたいと思います。
その中で先の「KAKEDASHI -かけだし-」のような新しい商品開発を継続的に行っていきたいですね。もちろんマーケティング施策の必要性は十分感じていますが、それだけで売っていきたいとは考えていません。本当にお客さんに愛されて社員や自分の家族に誇りをもって進められるものにしていきたいと思っています。
GROOVEは先にお話ししたように、利益をいかにして残していくかを考えてくれる点や、私たちの商品をしっかり理解しようとしてくれているというところで、メーカー側の視点で物事を考えてくれています。これからも事業の発展にご協力いただくとともに、良い商品を多くのお客様へ届ける喜びを一緒に実感していけると、とても嬉しいです。
(GROOVE 油谷)ありがとうございます。私たちとしても、ただの代理店ではなく御社のビジョンにあう商品の企画や提案を行っていきたいと常に考えていますし、Amazonという市場において厳しい商品については正直に厳しいと伝えていきたいです。そういう意味で、これからも御社の商品に対する理解は深め続けていきたいと思います。
編集後記:成熟した市場への突破口を導き出す運用支援
今回ご紹介したサンセリテ札幌様では、Amazonへの出品当初は出品はしていたものの、本格的な運用にはまだ着手できていない状態からスタート。そこからGROOVEとの取り組みにより、広告運用や商品ページ改善、バリエーション整理といった基礎構築を進め、売上を4倍以上に成長させることができました。
しかし、Amazon市場の成熟に伴い、差別化の難しさや売上の頭打ちといった新たな課題も浮かび上がってきています。そんな中で、商品そのものの“ストーリー”を丁寧に届けていく取り組みが、新たな市場突破口として期待されています。
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