国内外にファンを持つ「老舗刃物メーカー」のAmazonへの挑戦。新しい施策への一歩をGROOVEが支援。
貝印株式会社 様
左:株式会社貝印 古川様 / GROOVE担当 三澤
創業110年以上を誇る総合刃物メーカーで、 料理、化粧、医療など生活シーンに根づく製品を広く手掛ける貝印様。その品質には定評があり、国内外のリテールや店舗で高い認知度があります。近年では従来のファンの方はもちろん、若い層にも積極的にアプローチをかけるべくECや通販事業での施策にも力を入れられています。今回GROOVEでは、そんな貝印様のAmazonでの施策を中心にご支援しました。
成果:GROOVEとの取り組みで売り上げは最高290%まで伸長。
- GROOVEとの取り組みの成果について、率直な感想を教えてください。
2021年の4月より契約開始いたしました。貝印は品目も多かった事、また様々な卸様よりバラバラに登録された経緯もあり、vender centralでの紐付けも出来ておらず正しい実績の抽出が出来ない状況でした。GROOVE様、卸店様、Amazon様にもご協力頂き、正しい実績が取れる状況を整備し、本格的な取り組みがスタート。取り組みとしては。優先順位を決め、ビューティーカテゴリーの広告運用・基盤整備から開始、その後2021年夏ごろよりホームカテゴリーも本格的にGROOVEさんにお手伝い頂くようになりました。数字で変化があったところからお伝えすると、2022年の7月にはAmazonでの売上が最高約290%UP、月平均でも140%UPしました。
- 貝印様の場合、数字の伸びが顕著ですよね。ご依頼前と後で、どんな変化があったのですか?
依頼前は、弊社のマーケティングチームはリアル店舗への施策がメインで、そこにEC施策も混在するような形でした。そもそもECの専門的なスタッフはまだ少数だったんです。そのため「手をつけるにしてもどこから?」というような状態でした。
そんな中でGROOVEと出会って契約したのですが、目の前の課題抽出から、中長期的な目標までどのようにもっていくのか、「筋道」を立てる部分ですごく助かったと思います。その後、EC専門のチームも発足していますが、今も日々相談しながら知見を溜めています。自社チーム内にノウハウを蓄積して人材を育てるという意味でも、GROOVEから提供されるアドバイスが有効活用できていますね。
課題と挑戦:改善したいSKUは2500以上!改善の積み上げから、自社製品の新しい魅力も発見。
- ご依頼のきっかけや、課題感はどんなところにありましたか?
それまでは代理店に運用委託しており、メーカーとしてページに関わりも薄く、広告運用もほぼ出来ておりませんでした。その為、市場の中でEC市場が拡大している成長率に比べて貝印のECはそこまで大きく成長出来ていない問題がありました。
そこで戦略的に以下2点を開始しました。一つは社内で専門チームを設立したこと。そしてもう一つは外部パートナーを選定し、本格的にAmazon内シェア拡大を目指す事〔広告予算、運用委託予算〕でした。
専門チームは、自社チーム(自社ドメイン、モール内公式ショップ)、卸経由チームはほぼ対Amazonですので、Amazonに強いパートナーを探しました。当時の責任者が参加したセミナーで、GROOVE様の説明を伺い、内容が自身の考えに近いと判断し、すぐに問合せをしてやり取りが始まりました。問い合わせから折り返しの早さにも驚きました。提案内容も、注力すべき市場のポテンシャルと貝印の立ち位置を明確に提示頂き、スピーディーな対応ですぐに成果が表れた点が非常に良かったです。そこから本格的に全カテゴリー〔ビューティー、ホーム、セラー〕を依頼する事なりました。
- ご契約後は、どんな施策から進められたんですか?
まずは実績をきちんを把握し、カテゴリーの整備を致しました。Amazon内カテゴリーと自社内カテゴリーのずれなどをひとつひとつ潰し、vender central上できちんと取れるようになり、初めて市場とのGAP分析や、仮説検証が出来るようになりました。その上でクリエイティブの改善をはじめました。
ECではユーザーさんは画像や商品説明、レビューといったところをチェックして、しっかり比較検討されますよね。そこで売上を伸ばすためには、「良いものを作れば売れるんだ!」だけではなくて、見せ方や説明を「ユーザー目線」で最適化する必要がありました。とくに弊社の場合、SKUが2500もあって、全然改善が追い付いてなかったんですよ。画像は随分前に撮影したものに、ペイントツールで載せた文字…的なものも残っていました。もちろん新しくすべきなのは分かっていましたが、どう作り替えるのが正解?という答えを持っていなかったんです。
そこで、GROOVEの担当者が「説明は何を強調する」とか、「画像は使用シーンを入れましょう」などレビュー分析による明確な理由とともに改善提案をしてくれました。しかも、「今〇〇の商品が売れ筋なのでここ優先でいってください!」とか、データに基づく優先度も明確にしてくれたので、効果の高いところからクリエイティブを改善していけた。
包丁などは、画像や説明を改善したことでこれまで以上にAmazonで売れるようになりました。例えば何本か重ねて見せていたものを、1本でしっかり見せられるように、など些細な変更でも結果が変わるんですよね。基本的な話だなと感じられるかもしれませんが、結局そういう小さなところの積み重ねで売上が伸びていきましたし、自社だけでは絶対できないスピード感で改善を進められたのは大きかったと思います!
- そういったメインの施策以外に、副次的に効果を感じたことはありましたか?
改善にあたっては、もちろんレビュー分析や競合調査を行ってもらったので、「自分達はこう思っていたけど、お客さんは意外とこういうところを良いと思っている」とか「こんな商品が伸びるんだ!」という発見もありました。それをきっかけに、新しい“セット売り”を考えたり、商品開発したりとマーケティングチーム全体のコミュニケーションもより活発になったんですよ。
- 発見があった商品にはどんなものがありますか?
弊社ではキッチン用の「排水口ストレーナー」という商品も販売していて、これまでも「滑りや汚れがとれやすい」と好評だったのですが、実は一部のお客様がお風呂にも利用されていたそうです。偶然なのですが、大手のお風呂メーカーさんの排水溝に弊社の商品がピッタリ合う、というレビューを沢山いただいていました。
他にも意外なアイテムだと、「砥石面直し(※研ぎ石を研ぐ石のこと)」ですね。一般の方にはあまり知られてないので、リアル店舗の売場に置いても「何に使うもの?」となってしまって。あまり動かない商品だったのですが、Amazonでは使い方のイメージや説明をしっかり載せることで、売れていくようになりましたね。
- 調査をもとに開発・発売した商品についてもぜひ教えてください。
調査から発売したのは、「ステンレストレー」ですね。ごく普通の金属のトレーをなぜ?と思われるかもしれませんが、市場のデータを見たら今需要が高いのです。新型コロナウィルスの蔓延を契機に、自炊する人も増えましたよね?家で揚げ物をする機会も多くなり、これまで持ってなかった「トレー」を購入する方が増えたようです。
弊社ではトレーを5枚セットで売っています。この枚数・セット売りというのも、理由があります。最近は物価高騰も影響し、「安い時に材料を買って下処理をして大量に冷凍する」方が多くいることがわかって、そのような形にしました。Amazonの調査・分析をお願いした結果、ユーザーのインサイトもより明確になり、逆算で商品を作ることができるようになってより収益性は高まっていると思います。
ほかに自社ECにしか出してないアイテム、Amazonでしか販売していなかったアイテムもあったので、セット売りにすることで相乗効果が出たこともありましたね。たこ焼きツール5点セットなどが人気です。
GROOVEさん側から積極的に「これつくったら勝てますよ!」とお話しをいただけるので助かっています。
- 貝印様は「べストセラー」を獲得した商品がとても多いのですが、これも戦略のひとつですか?
Amazonでは「べストセラー」を獲得することが重要なアクションの一つだと思っています。ユーザーにとって視覚的にも非常に分かりやすい「選ぶ基準」になっているためです。またこのバッジが表示される基準は「売上高」ではなく、「販売個数」なので、獲得には独自のノウハウも必要になりました。その点でもGROOVEさんには様々なカテゴリーで数多くのベストセラー獲得実績がありますので「この商品はこうすれば行けます!」といった具体的な提案をいただけるのでとても助かっています。
- GROOVEと継続してお付き合いいただく中で、率直な印象はどうですか?もしご要望などがあれば教えてください。
弊社の施策としてはまだまだこれから。手が入れられたのは2500SKU のうち、200SKUなんです。
今は各商品の最適化をしている状況で、「ブランドストア」として全体をみたらバランスは良くないと思います。クリエイティブが新しい商品と古い商品が混在していると、せっかく合わせ買いを勧める商品欄に自社のものが表示されても、よく見えないですからね。
GROOVEと継続してお付き合いしていて感じる一番のメリットは「駆け込み寺」のような安心感かな。Amazonの内部的な仕組みってどんどんかわっていくので、「これどうしよう?」と壁にぶつかった時、すぐ相談できるし明確な答えが返ってくる。レスポンスも早いですし、日々研究されているんだな、という感じがします。
未来への展望:点から面の施策へ。コミュニケーションを大切にしながらファンを増やしていきたい。
- 今回の成功をもとに、これからの展望などはありますか?
これからはもっと、お客様へのトータル的な見え方を考えて、「点」ではなく「面」の施策を増やしていきたいですね。他社様とのECならではのコラボなどもしていけたらと考えています。
昨年(2023年)は、EC営業部の取り組みとして料理家さんとのライブ配信も増やしたり、オウンドメディア『KAIライフ』を開始したりと、ECならではの発信もでき始めました。フォーマットが整ってきたからこそ、そこを育てていくステージになり、「コンテンツ」も充実させることができた年だった。SNSでもお客様の反応が返ってくるようになって、リアル店舗とは違う相互のコミュニケーションがしやすいところに大きな可能性を感じています。レビューありきではないですけれど、お客様のご意見がより商品開発に活かしやすくなってきていますね。
これまでのファンも大切にしながら、若年層も取り込んでいきたいです。大きな施策を動かす中で、Amazonに手が回りきらないこともあると思います。そういったところをGROOVEが見つけて、効率的に回してくれるはず。これからもぜひ協力してもらいたいです。
編集後記:専門知識やマンパワーが不足しがちなEC事業。土台作りからの支援もGROOVEにお任せください。
日々の生活に根付いた多種多様な商品を送り出している貝印様にとってECの領域は、販売チャネルの数だけ工数が増すためリソース不足が大きな課題でした。
社内に専任チームを設立しただけでは、中々解消しないリソース問題に対して、GROOVEのような外部パートナーを活用いただき、ともに伴走する過程で社内に知見を蓄積することが、現時点で最も効率的な成長戦略となっています。
今後もGROOVEとのパートナーシップにより「顧客のニーズ」を丁寧にフォローしながら、新たな成果を勝ち取っていただければと思います。
弊社はAmazonに特化した分析・レポートに強みを持っております。社内にEC運用における専門的な知見が少ないケースでも、基礎からサポートして、理想の形になるまでしっかり伴走いたします。ぜひご相談ください。