Amazon P+(Performance+)とは?Amazon DSP広告を利用する広告主が今すぐ理解しておくべきAI広告の新標準
Amazon P+(Performance+)は、Amazon独自の購買データと機械学習を活用してDSP広告の運用を自動化する新標準のキャンペーンタイプです 。従来の煩雑な設定工程を大幅に削減し、ROASやCPA目標に合わせリアルタイムで入札を最適化します 。また新規獲得からリテンションまで対応し、透明性の高いレポート機能が特徴です 。
こちらの記事では、AI時代の広告戦略を高度化する必須ソリューションとなることが期待される P+について、その概要から実際に運用した結果得られた効果までを簡単に解説しています。
目次
1. Amazon P+(Performance+)の概要
2. P+が活用するデータとアルゴリズム
3. P+の3つのマーケティング戦術
4. 対応する広告フォーマットと配信面は?
5. 透明性のある運用設計(Glass Box アプローチ)
6. 主なキャンペーン設定コントロール
7. 学習期間と運用上の注意点は?
8. P+の導入実績と効果指標
9. P+において運用担当者が抑えるべきポイント
- 10. まとめ
1. Amazon P+(Performance+)の概要
Amazon P+(Performance+)は、Amazon DSP(デマンドサイドプラットフォーム)上で提供されるAI主導のキャンペーンタイプです。Amazon独自のファーストパーティシグナルと機械学習モデルを組み合わせ、広告主が設定したコンバージョン目標(ROASまたはCPA)に向けてリアルタイムで自動最適化を行います。
従来のAmazon DSP運用では、オーディエンスセグメントの設計・入札戦略の手動調整・定期的なレポート確認と修正といった労働集約的なオペレーションが必要でした。P+はその運用工数を大幅に削減し、通常70ステップを要するキャンペーン設定プロセスを、わずか4〜5ステップで完了できる設計になっています。
2. P+が活用するデータとアルゴリズム
P+の競争優位性の中核は、Amazonが独自に保有するファーストパーティデータにあります。
- 購買履歴・商品ページの閲覧データ
- Amazon内の検索クエリ
- Prime Video・Fire TV・Amazon Musicなどのエンターテイメント行動データ
- Amazon Primeの会員データ
これらのシグナルを、AWSの機械学習インフラに統合されたモデルに入力することで、各広告インプレッション機会において「このユーザーがコンバートする確率」をリアルタイムでスコアリングします。予測は1時間ごとに更新され、最も転換可能性の高いユーザーへ優先的に入札が行われます。
Amazonが持つデータは「実際に購買した消費者のデータ」であり、他のプラットフォームの興味・関心データとは質的に異なる購買意図シグナルです。
3. P+の3つのマーケティング戦術
P+では、キャンペーン目的に応じて以下の3戦術を選択・組み合わせることができます。
1. 顧客獲得(Prospecting)
既存顧客と類似した行動パターンを持つ新規ユーザーにリーチします。ルックアライクオーディエンスとは異なり、ユーザー属性の類似性ではなく、購買行動パターンの予測に基づいてターゲティングが行われます。「誰に似ているか」ではなく「誰がコンバートしやすいか」を問うアプローチです。
2. リマーケティング(Remarketing)
商品ページへの訪問者や自社サイトの閲覧者など、すでにブランドに接点を持つユーザーに対して再アプローチします。購入検討段階にある層への効率的なナーチャリングが可能です。
3. リテンション(Retention)
過去の購入者や既存顧客に対して再購入を促すアプローチです。顧客のライフタイムバリュー最大化を目的とした戦略に活用されます。
4. 対応する広告フォーマットと配信面は?
P+は以下の広告フォーマットに対応しています。
- ディスプレイ広告
- オンライン動画広告(OLV)
- ストリーミングTV広告(STV):Prime Video・Fire TVなどのプレミアム視聴環境
配信面は、Amazon.com・Amazon.co.jpをはじめとするAmazon所有のプロパティに加え、オープンWebのサードパーティ広告在庫にも及びます。許可リスト・ブロックリストによるブランドセーフティ設定も可能です。
5. 透明性のある運用設計(Glass Box アプローチ)
P+はAIによる自動最適化を行いながらも、広告主がキャンペーンの実態を把握できる透明性の高いレポート設計になっています。確認できる主なデータは以下のとおりです。
- ドメイン配信レポート(どのサイトで広告が表示されているか)
- クリエイティブ別パフォーマンス
- オーディエンス別貢献度
- 地域別の成果分布
- インプレッション数・エンゲージメント指標(クリック・動画視聴)
Amazon Marketing Cloud(AMC)との連携により、カスタマージャーニー全体にわたる詳細な分析や、オーディエンスセグメントの構築も可能です。
6. 主なキャンペーン設定コントロール
P+は自動化を前提としながらも、以下の項目について広告主が制御できます。
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設定項目 |
内容 |
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広告フォーマット |
ディスプレイ・OLV・STVの選択 |
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配信在庫 |
ファースト/サードパーティ比率の調整 |
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入札方式 |
予算内配信または目標ベース入札(ROAS/CPA) |
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ターゲティング除外 |
既存購入者・特定オーディエンスの除外 |
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デイパーティング |
配信時間帯の指定 |
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地域ターゲティング |
配信エリアの指定 |
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デバイス指定 |
モバイル・デスクトップの選択 |
7. 学習期間と運用上の注意点は?
P+キャンペーンが安定した最適化を行うためには、立ち上げから最大4週間の学習期間が必要です。この期間中はシステムがデータを蓄積しながら予測精度を向上させます。
キャンペーン途中でのコンバージョンイベントの変更は可能ですが、変更後にデータが最小閾値を下回った場合、キャンペーンが一時停止されることがあります。安定的な運用のため、コンバージョンイベントの設計は立ち上げ前に慎重に行うことが推奨されます。
8. P+の導入実績と効果指標
Amazonの公式データによれば、P+を活用した広告主は従来のAmazon DSPキャンペーンと比較して、顧客獲得コスト(CPA)を平均51%改善しています。
実際にGROOVEのコンサルタントが運用した中でも、あるブランドで購入目的のP+配信を行い、過去365日のブランド購入者を除外ターゲティングしました。結果的に新規率が90%、ROASは2300%という驚異的な結果が出ています。
9. P+において運用担当者が押さえるべきポイント
Amazon内販売ブランド(エンデミック広告主)
Amazonでの売上最大化を目的とする場合、ROASを目標KPIに設定することで、Amazon内コンバージョンをダイレクトに最適化できます。コンバージョンはAmazon ASIN経由で自動的に計測されるため、イベントマネージャーの設定は不要です。
自社サイト・アプリ誘導(ノンエンデミック広告主)
自社サイトへの誘導や資料請求・問い合わせなどを目的とする場合は、CPAを目標KPIに設定します。この場合、Amazon Attribution Tag(AAT)、Conversion API(CAPI)、またはMobile Measurement Partners(MMP)を通じたコンバージョントラッキングの設定が必要です。
P+とBrand+の組み合わせ
P+がボトムファネル(コンバージョン獲得)に特化しているのに対し、アッパーファネル(認知・ブランドリフト)に特化したBrand+と組み合わせることで、フルファネルのプログラマティック広告戦略が構築できます。P+とBrand+を統合することで、認知から購買まで一貫したAmazon DSPキャンペーンの設計・計測が可能になります。
10. まとめ
Amazon P+(Performance+)は、AIと機械学習によってDSP広告の設定・最適化・計測を自動化するキャンペーンタイプです。Amazonが独自に保有する購買行動データを活用し、コンバージョン確率の高いユーザーにリアルタイムで入札します。
従来のDSP運用と比較して、運用工数の大幅削減・CPA改善・透明性の高いレポートという三つの価値を提供します。国内大手メーカーにとっては、Amazon広告戦略の高度化・効率化において見逃せないソリューションです。
P+の活用を検討する際は、目標KPIの明確化・コンバージョンイベントの設計・学習期間を踏まえた予算設計を事前に整理したうえで、専門家と連携して進めることを推奨します。GROOVEではAmazon DSP広告の運用のご相談も承っております。フルファネルでのマーケティングに課題をお持ちの方は是非ご相談ください。

監修者 : 田中 謙伍
株式会社GROOVE 代表取締役
慶應義塾大学環境情報学部卒業後、新卒採用第1期生としてアマゾンジャパン合同会社に入社。出品サービス事業部にて2年間のトップセールス、マーケティングマネージャーとしてAmazon CPC広告スポンサープロダクトの立ち上げを経験。株式会社GROOVEおよび Amazon D2Cメーカーの株式会社AINEXTを創業。立ち上げ6年で2社合計年商50億円を達成。
【登録者数 5万人のYouTubeチャンネル】
たなけんのEC大学:https://www.youtube.com/@ec8531

