Amazon販売における前提知識〜なぜAmazon広告が重要なのか〜
まずはAmazon販売の市場動向を確認しましょう。
現在の日本の小売市場規模は150兆円程度、そのうちECは8.6%の13.3兆円程度と考えられます。そして、EC市場のうちAmazonが4兆円、楽天が3兆円を占めていると推測できます。
日本のEC市場全体も伸びていますが、Amazonジャパンの成長率はさらに大きい15.9%です。マーケットにおけるAmazonの重要性がますます高まっていることがわかります。
続いて、Amazonにおけるカスタマージャーニーの流れや広告、SEOの重要性について見てみましょう。
Amazonで購入者が商品にたどりつくまでのルートのうち、もっとも多いのは「検索」で全体の60%を占めます。検索には自然検索と広告検索の2種類があります。
検索から商品を購入する人が多いということは、Amazonで売上を向上させるには検索順位が重要であるということです。当社の調査では、検索順位の1位と24位ではCTRが16倍・CVRが48倍、1位と2位でもCTRが2倍・CVRが2.5倍といった大きな差がありました。
Amazonのアルゴリズムは以下の通りです。広告や自然検索によって商品のインプレッションが増えると、商品がクリックされてアクセス数が増えます。そして商品が購入されると販売実績が上がり、検索順位も上がる仕組みです。アルゴリズムのサイクルを加速させるためには、広告運用や商品ページの改善が欠かせません。
Amazon広告の種類と特徴
Amazonで売上を伸ばすには、広告の活用が欠かせません。広告は、Amazonで検索した際などに表示される「スポンサー広告」とAmazon内外で表示される「DSP」に分けられます。
スポンサー広告はさらに以下の3つに分けられます。
- スポンサープロダクト広告
- スポンサーブランド広告
- スポンサーディスプレイ広告
2022年12月時点で、動画を使えるのはスポンサーブランド広告とスポンサーディスプレイ広告です。今後、スポンサープロダクト広告やDSPに動画が使える日も来るかもしれません。
広告活用のポイント
Amazonの広告活用で重要なことは、以下の4つです。
- とにかく面を取る
- キーワードごとにクリエイティブ(動画)を変える
- 動画枠×ユーザー心理×クリエイティブを一致させる
- クオリティより高速PDCA
とにかく面を取る
Amazon広告運用の戦略を立てるために、まずは自社のブランドが検索ページのどの部分を獲得できているか、色塗りして確認してみてください。スポンサーブランドプロダクトの枠を獲得できているキーワードもあれば、できていないキーワードもあるでしょう。広告枠を多く取れば取るほど、インプレッション数が増えます。
Amazonにおいて自社商品が検索されるキーワードは、大きいキーワード3個、ミドルキーワードが10〜20個ほどになることが多いでしょう。それぞれのキーワードで何位を獲得し、どの広告枠を獲得できているか調べ、面を増やしていくことが重要です。
キーワードごとにクリエイティブ(動画)を変える
クリエイティブは、検索キーワードごとに変えることが重要です。ノンシリコンシャンプーを販売している会社を例に見てみましょう。
自社のノンシリコンシャンプーが、以下3種類のキーワードで検索されやすいことがわかったとします。
- シャンプー
- シャンプー メンズ
- シャンプー シリコン
上記3つのキーワードでは、検索するユーザーの心理がそれぞれ異なるはずです。例えば「シャンプー」と検索する人は「新しいシャンプーが欲しい」と思ってはいるものの、こだわりや知識がない状態だと考えられるでしょう。「シャンプー メンズ」と検索する人は、男性ユーザーでメンズ用シャンプーを探しているものの、まだこだわりは少ないかもしれません。「シャンプー シリコン」と検索する人は、ノンシリコンの特性を知ったうえで検索している可能性が高いです。
検索ユーザーの心理が異なるにも関わらず、同じクリエイティブの広告を表示していると、それぞれのユーザーに刺さりません。「シャンプー」と検索している人に対してはノンシリコンのよさを説明すべきと考えられますが、「シャンプー シリコン」と検索している人はすでにノンシリコンについて一定の知識があると想定できます。そのため、ノンシリコン以外の特徴を説明するほうがよいでしょう。
そのキーワードで検索するユーザーの心理を考えながらクリエイティブを作成することが大切です。
動画枠×ユーザー心理×クリエイティブを一致させる
動画広告の枠によっても、検索ユーザーの心理は異なります。
例えば、スポンサーブランド広告は検索結果に表示される広告です。スポンサーブランド広告を見るユーザーの心理は、商品の認知から比較を行なっている段階であると考えられます。複数の商品から自社の商品を選んでもらえるよう、開始数秒で目に止まるような工夫が必要になるでしょう。
一方スポンサーディスプレイ広告であれば、他社の商品ページ内に表示されるため、ユーザーがすでに他社商品を見ている状態です。他社の商品ページから自社のページに引き込むことが目的になるため、自社商品の優位性がわかるクリエイティブがよいでしょう。
また、現在は商品紹介ページ内にも動画を使用できます。静止画では伝わらない自社商品の魅力を伝えるため、動画を活用するとよいでしょう。
動画の設置場所にあわせてクリエイティブの内容を変えることで、CTRやCVRの向上につながります。
クオリティより高速PDCA
効果的な動画広告を作成するためには、CTRやCVR向上の工夫も大切ですが、まずはクオリティよりもPDCAを回すことが大切です。ノンシリコンシャンプーを販売する場合、「ノンシリコン」「スカルプケア」などいくつかの訴求ポイントを挙げ、それぞれのクリエイティブを作成して試してください。訴求ポイントを絞った動画を3〜5つ作成し、PDCAを回していきましょう。
いきなり広告予算を投下するよりも、クリエイティブの強化を優先するほうがコストパフォーマンスはよくなります。
例えば、広告費を100万円使って売上を2倍の200万円上げたのに対し、クリエイティブ強化に20万円かけてCTR・CVRをそれぞれ1.5倍にすれば、少ないコストで売上は2.25倍の250万円となります。CTR・CVRを最適化した状態で広告予算を追加すれば、より大きな効果が期待できるでしょう。
効果的なクリエイティブを作成するためには、お客様のことを理解しなければなりません。お客様の理解に役立つのが、商品のカスタマーレビューです。カスタマーレビューのよいコメント・悪いコメントを確認し、自社商品に足りないところ・競合と差別化できそうな強みなどを検討します。
Amazonでは、常に他社の商品と比較されています。同じキーワードで検索され、売れている商品をチェックし、改善ポイントを探すことが重要です。
まとめ
本記事では、Amazonの動画広告活用方法について、最新の状況をまじえて解説しました。注目度が高まっている動画広告をいち早く有効活用することで、Amazon販売において優位に立てるはずです。