Amazon DSPで広告配信を続けていると、同じユーザーに何度も広告が表示される「広告疲労」が発生します。この課題を解決するAMCの最新機能「Optimal Frequency Analysis(最適フリークエンシー分析)」が注目を集めています。
本記事では、この新機能の仕組みから実装方法、効果測定まで詳しく解説します。
☰ 目次
1. AMC最適フリークエンシー分析とは
1-1. 広告疲労(Ad Fatigue)の課題
同じユーザーに広告を表示しすぎると、クリック率やコンバージョン率が低下します。適切な接触回数を超えた広告配信は、ブランドイメージの低下と広告費の無駄遣いにつながります。
従来は経験則で「週に3回まで」といった設定をしていましたが、商品カテゴリーやオーディエンスによって最適値は異なります。
1-2. AMCの新機能概要
Optimal Frequency Analysisは、Amazon Marketing Cloud(AMC)の分析機能として2024年から段階的に展開されています。機械学習を活用して、キャンペーンごとに最適な広告接触回数を算出します。
日本でも2024年後半から利用可能になっており、AMCへのアクセス権限があれば追加費用なしで使用できます。
1-3. 従来のフリークエンシーキャップとの違い
従来のフリークエンシーキャップは、広告主が手動で上限値を設定する仕組みでした。「7日間で5回まで」といった固定値を全ユーザーに適用していました。
Optimal Frequency Analysisは、過去の配信データから「コンバージョンに最も貢献する接触回数」を自動で特定します。クリエイティブやオーディエンスセグメントごとに異なる最適値を算出できる点が画期的です。
また、単なる上限設定ではなく、ROIが最大化される接触回数の範囲を可視化します。
2. 最適フリークエンシー分析の仕組み
2-1. 機械学習による最適接触回数の算出
この機能は、AMCに蓄積された広告接触データとコンバージョンデータを分析します。ユーザーの広告接触回数とコンバージョン率の関係をモデル化し、費用対効果が最も高くなるポイントを特定します。
分析では、接触回数ごとのコンバージョン率、CPA、ROASなどの指標を算出。接触回数が増えるにつれて効果が低下する「収穫逓減」のポイントを明確にします。
2-2. 無駄な広告費の特定方法
分析結果は視覚的なグラフで表示されます。横軸に広告接触回数、縦軸にコンバージョン率やROASをプロットすることで、効果のピーク地点が一目で分かります。
例えば「5回目までは効果が上昇するが、6回目以降は急激に低下」といったパターンが可視化されます。この場合、6回目以降の配信が無駄な広告費として特定できます。
2-3. クリエイティブ別・オーディエンス別分析
同じキャンペーン内でも、クリエイティブによって最適な接触回数は異なります。動画広告と静止画バナーでは、ユーザーの反応パターンが違うためです。
また、新規顧客と既存顧客、高購買意欲層と潜在層でも最適値は変わります。この機能では、セグメントごとに最適フリークエンシーを算出できるため、より精緻な配信戦略が可能になります。
3. 実装と活用方法
3-1. AMCでの設定手順
まずAMCコンソールにログインし、「Analysis」タブから「Frequency Analysis」を選択します。分析対象のDSPキャンペーンを指定し、分析期間を設定します。推奨は最低30日間のデータです。
次に分析軸を選択します。「クリエイティブ別」「オーディエンスセグメント別」「デバイス別」など、複数の切り口で分析できます。
コンバージョンイベントを定義します。購入、カート追加、詳細ページ閲覧など、最適化したい指標を選択してください。
分析を実行すると、通常5〜10分で結果が表示されます。データ量が多い場合はやや時間がかかる場合があります。
3-2. 分析結果の読み解き方
結果画面では、接触回数ごとのパフォーマンス指標が表形式とグラフで表示されます。重要なのは「Marginal ROAS」(限界ROAS)の項目です。
この値が1.0を下回るポイントが、広告費の回収が困難になる接触回数です。例えば4回目で1.2、5回目で0.8となっていれば、4回が最適な上限値となります。
「Incremental Conversions」(増分コンバージョン)も確認しましょう。接触回数を増やすことで追加獲得できるコンバージョン数が示されます。ゼロに近づくポイントが飽和点です。
3-3. DSPキャンペーンへの反映
分析結果をもとに、Amazon DSPの配信設定を調整します。キャンペーン設定の「Frequency Cap」セクションで、特定した最適値を入力します。
重要なのは、全体に一律の上限を設定するのではなく、パフォーマンスの高いセグメントには高めの上限を、低いセグメントには低めの上限を設定することです。
クリエイティブAは7日間で6回、クリエイティブBは4回といった具合に、個別に設定することで配信効率が大幅に向上します。
3-4. P+との連携
Amazon P+との組み合わせも効果的です。P+で認知を獲得した後、ディスプレイ広告やスポンサー広告でリターゲティングする戦略が一般的です。
P+接触済みユーザーは購買意欲が高いため、最適フリークエンシーも通常より高くなる傾向があります。P+視聴者セグメントを作成し、専用の分析を実施することをお勧めします。
分析結果をもとに、P+とDSP広告の合計接触回数を最適化することで、メディアミックス全体のROIを改善できます。
4. 効果測定とケーススタディ
4-1. 広告費削減効果の測定
最適フリークエンシーを適用する前後で、主要指標を比較します。特に「Wasted Impressions」(無駄なインプレッション)の削減率が重要です。
ある家電ブランドの事例では、分析の結果、最適接触回数が「14日間で5回」と判明しました。従来は上限を設定していなかったため、一部ユーザーに20回以上表示されていました。
最適値を適用した結果、インプレッション数は15%減少しましたが、コンバージョン数は維持され、CPAが18%改善しました。
4-2. CVR改善事例
美容カテゴリーのあるブランドでは、クリエイティブ別に最適フリークエンシーを分析しました。商品紹介動画は8回、利用シーン画像は4回が最適と判明しました。
この設定を適用したところ、動画クリエイティブのCVRが1.2倍に向上。ユーザーが疲労を感じる前に適切に配信を停止できたことが要因です。
また、過度な接触による不快感が減少し、ブランドリフト調査でも好意度スコアが向上しました。
4-3. 継続的な最適化プロセス
最適フリークエンシーは固定値ではありません。季節性や競合状況、クリエイティブの鮮度によって変化します。
月次または四半期ごとに再分析を実施し、設定値を更新することが推奨されます。新しいクリエイティブを投入した際も、初回から2〜3週間で初期分析を行いましょう。
A/Bテストと組み合わせることも効果的です。最適値の±1回で2つのグループを作成し、実際のパフォーマンスを比較することで、より精緻な最適値を見つけられます。
---
AMCの最適フリークエンシー分析は、データドリブンな広告配信を実現する強力なツールです。広告疲労を防ぎながら、限られた予算を最も効果的に配分できます。
まずは主力キャンペーンで分析を試し、結果をもとに段階的に適用範囲を広げていくことをお勧めします。継続的な分析と改善で、Amazon広告のROIを最大化しましょう。
AMCの導入や活用についての情報をお探しの方は、是非一度株式会社GROOVEまでご相談ください。実際の活用事例をご紹介させていただきます。

監修者 : 田中 謙伍
株式会社GROOVE 代表取締役
慶應義塾大学環境情報学部卒業後、新卒採用第1期生としてアマゾンジャパン合同会社に入社。出品サービス事業部にて2年間のトップセールス、マーケティングマネージャーとしてAmazon CPC広告スポンサープロダクトの立ち上げを経験。株式会社GROOVEおよび Amazon D2Cメーカーの株式会社AINEXTを創業。立ち上げ6年で2社合計年商50億円を達成。
【登録者数 5万人のYouTubeチャンネル】
たなけんのEC大学:https://www.youtube.com/@ec8531

