Amazonのこれまでの成長
まずはAmazonという会社のこれまでの軌跡を振り返ってみましょう。
1994年にジェフ・ベゾスが立ち上げたAmazon.comは、2007年に日本での出品サービス事業を開始しました。そして、2014年にはスポンサープロダクト広告事業を始めます。
さらに2021年には、データを活用する新事業「AMC(Amazon Marketing Cloud)」をリリースするなど、常に市場に変化を起こしてきました。
Amazon参入ブランドの変化
2000年代初期のAmazonは直販モデルのみだったため、世間のイメージといえば「ネットの本屋さん」といったものでした。しかしその後、出品サービス事業が開始されると、大手メーカーやナショナルブランドが徐々に参入し始めます。
2014年頃からは、ANKER(アンカー)やBASE FOOD(ベースフード)、VALX(バルクス)といったAmazonを起点としてブランドを築くD2Cメーカーが登場しました。
Amazonで販売する意味
これまでオフラインでのみ商品を販売していた企業も、今では事業拡大のためにAmazonを含めたオンラインでの出品が欠かせなくなっています。国内の小売市場は150兆円といわれており、EC市場はそのうちの8.6%、13.3兆円程度と推定できます。
そして、成長するEC市場のなかでもAmazonは約30%のシェアを持つうえ、その成長率は全体平均を大きく上回っているのです。つまり、マーケットにおけるAmazonの存在感は今後もますます高まることが予想できます。
また、消費者が商品について調べるための「場所」としてもAmazonは存在感を増しています。当社独自の調査では、商品購入時に「何で」商品の情報を調べるかという質問に対し、Amazonとの回答が29%で最多でした。口コミや評価を調べる場合についても、Amazonが33%で最多という結果になったのです。
商品の情報や口コミが気になった際、従来のようにGoogleやYahoo!で調べるのではなく、多くの方がAmazonを利用しているのです。マーケットにおいて、Amazonの攻略がいかに重要性を増しているかがよくわかります。
Amazonでの戦い方~戦略と戦術~
D2C事業で成功した企業は、大手を上回るほどの業績を上げており、EC市場ではいわゆるジャイアントキリングが起きています。
ここでは、EC市場に参入し成功するために必要な戦略・戦術について、さらに詳しく紹介します。
Amazonの売上方程式
Amazonでの売上は、「売上=セッション数×転換率(CVR)×購入単価」という方程式で表せます。
セッション数を上げるためには、自然検索で上位を狙うためのキーワード対策や、タイムセール時の広告入稿が欠かせません。また、購入転換率を上げるためには、カスタマーレビューを増やしたり、商品ページの画像や紹介文を改善したりとさまざまな施策が必要です。
ブランド属性別 強みと課題
AmazonでD2C事業を成功させるためには、自社ブランドの強みと課題を把握し、戦略・戦術にいかす必要があります。
例えば一般的なD2C企業であれば、規模は大きくないものの、そのぶんニッチな市場や新しいニーズに特化した商品開発が可能です。また大手メーカーであれば、長年培ってきたモノづくりの技術やノウハウがあり、ブランドとしての認知度の高さもいかせます。
そして、Amazon D2Cのブランドであれば、Amazonで売れる商品を開発し、Amazonに特化したマーケティングを実行できるため、Amazonでの市場シェアを獲得しやすいのです。
メーカー成功事例の紹介
ここでは、Amazon D2Cの成功事例として「BASE FOOD」の事例を紹介します。
世間的な認知のなかった初期フェーズでは、Amazonでの検索ボリュームをキーワードレベルで分析し、狙うべき市場を正確に把握しました。そのうえで、「完全栄養食」や「低糖質」といったキーワードで検索結果を面で押さえ、ベストセラーを獲得したのです。
Amazonで認知を拡大したあとは「Amazonで人気であること」を武器にオフラインにも販売を拡大し、2022年には東証グロース上場も果たしました。
競争力あるメーカーになるために
多くの企業が今、AmazonでのEC事業に参入しています。このような時代により強く、競争力あるメーカーとなるためにはさまざまな施策が欠かせません。
具体的には、広告の活用やユーザーの行動分析などが挙げられます。すでにAmazonで結果を出しているメーカーに遅れを取らないためにも、テクノロジーを積極的に取り入れることでその可能性は広がります。
知っておきたいAmazonのミライ
EC市場で事業を拡大させるためには、今後の市場動向や、Amazonの事業のミライを予測し、変化に合わせて施策を実行していくことが重要です。
現在のWeb広告市場は、1位のGoogleと2位のMeta(Facebook)が大部分を占めていますが、AmazonはついにYouTubeを抜き、3位となっています。さらに、ファネルにおけるカバー範囲を考えれば、Amazon独自の強みが見えてきます。以下の通り、Amazonでは顧客による認知から購買後の行動データまで、すべてカバーできるのです。
3rd Party Cookieなどでデータの利用が制限されるなか、AmazonはAMCという独自のデータ活用ソリューションの提供を始めています。多様なデータを結びつけることで、例えば広告の費用対効果をさらに詳しく把握できるようになるなど、さまざまなメリットをもたらすことが可能です。
今後のEC市場で生き残るためには、このようなAmazonの動きを把握し、うまく自社戦略に取り込んでいくことが必要になるでしょう。
まとめ
本記事では、2023年におけるAmazon D2C事業の展望や生き残るための戦い方について解説しました。
年々市場が拡大しているEC市場、そしてAmazonですが、そのぶん競争も激化しています。2023年以降のマーケットで生き残るためには、データを活用した広告戦略やユーザーの行動分析が欠かせなくなるでしょう。