Amazon広告のACOS対策!上昇する原因や改善策を徹底解説!
Amazonで商品を売るときに、広告を使うことはよくありますが、広告の効果をしっかり理解している人はあまり多くないのではないでしょうか?
Amazonでは、「ACoS(広告費売上高比率)」という指標を使って、広告費が適切かどうかを確認することができます。ACoSをうまく管理することで、売上の向上にもつながります。
本記事では、ACoSが上がる原因や改善策、または Amazonで売上を上げるための広告運用について解説していきます。Amazonの広告を初めて担当することになった方も、既に担当されている方も、ぜひ参考にしてください。
目次
1. ACoS(広告売上高比率)とは?
ACoS(Advertising Cost of Sale)は、「エーコス」や「エーシーオーエス」と読み、Amazon広告のキャンペーンの効果を測るための指標を表します。
日本語では「広告売上高比率」と訳され、広告費が売上に対してどれくらいの割合を占めているかを示します。
Amazon広告を使用した際、売上に対してどれだけの広告費がかかったのかを数値化して確認できるため、広告の効率を判断する際に役立ちます。
以下では、ACoSの計算方法と、その重要性について詳しく解説します。
・ACoSの計算式
・ACoSが重要である理由
1.1. ACoSの計算式
ACoSは、Amazon広告費と売上を使って簡単に計算をすることができます。ACoSの計算式は次の通りです。
ACoS(%)=(Amazon広告費 ÷ 広告経由の売上)× 100(%)
たとえば、広告費が30万円で、広告経由の売上が120万円の場合、ACoSは25%となります。これは、売上の25%が広告費として使われたことを示します。このように、広告にかけた費用がどれだけの売上を生み出したかを明確に把握することができます。次に、なぜこのACoSが重要なのかを説明します。
1.2. ACoSが重要である理由
ACoSを把握することで、Amazon広告の費用対効果を明確に理解でき、今後の広告戦略や運用がスムーズに進められるようになります。
ACoSの数値が低いほど、効率的に売上を上げていることを示し、逆に数値が高い場合は、広告費がかさみ、効率が低いことを意味します。
ACoSを正しく理解することで、より効果的な広告運用が可能となり、戦略的な判断を行うことができるようになります。
つまり、企業が投入した資本をどれだけ効率的に売上に変換できているかを示す指標であり、経営において非常に重要な指標のひとつとなります。
2. ACoSとROASの違い
ACoSと合わせて覚えておくべき重要な用語のひとつに、ROASがあります。ここではACOSとROASの違いについて説明します。
2.1. ROASとは
ROAS(Return on Advertising Spend)は、広告費の回収効率を表す指標を表します。ACoSが広告費の売上に対する割合を示すのに対し、ROASは広告費によってどれだけの売上を増加させたかを示します。ROASの計算式は次の通りです。
ROAS(%)=(広告経由の売上 ÷ 広告費) × 100
ROASを算出することで、Amazon広告やキャンペーンの効果をどれほど発揮しているかを評価する際に役立ちます。
2.2. ACoSは効果、ROASはコスト重視
ACoSとROASはどちらもAmazon広告のパフォーマンスを評価する指標ですが、着目するポイントがそれぞれ異なります。
ACoSは、広告費が売上に対してどの程度の割合を占めているかに焦点を当てた指標で収益を得るためにかかるコストを把握できます。一方、ROASは広告のコストパフォーマンスを評価するもので、広告によってどれだけの売上が生まれたかを測定する際に役立ちます。
それぞれの違いを理解し、状況に応じて使い分けることで、Amazon広告の運用をより効果的に進めることができます。
3. ACoSの最適値は?
ACoSの数値を適切に維持することで、Amazon広告を効果的に運用することができます。実際にどの程度の数値を目標にすればいいのでしょうか?
目標とするACoSの数値は、取り扱う商品やその利益率によって異なりますが、平均は20〜30%、理想的には10〜20%が望ましいとされています。
ACoSの数値が高いほど広告の効率が低いと判断でき、もしACoSが粗利益率を超えている場合は赤字になる可能性があります。次の章では、ACoSが上がってしまったときに、どうやって下げて広告を効果的に使うかを詳しく説明します。
4. ACoSが上がった場合の対策方法
ACoSが上昇した場合はどのような対策をすればよいのでしょうか?具体的な対策について以下で解説します。
4.1. ACoSが上がる原因
ACoSが上がる主な理由として、以下の2つが考えられます。
・CPC(クリック単価)が高い / 広告費が高すぎる
・CVR(コンバージョン率)が低い / クリックされても購入されない
4.1.1. CPCが高い
CPC(クリック単価)とは、Amazon広告が1回クリックされるごとにかかる平均支出額のことです。CPCの計算式は次の通りです。
CPC = 広告費 ÷ クリック数
広告がクリックされた分だけ費用が発生します。
そのため、キーワードの需要が高かったり、広告の掲載枠が多いほど、広告費が高くなる原因となります。具体的な改善策は、次の「広告ランクを上げるための効果的な改善策」で詳しく解説していきます。
4.1.2. CVRが低い
CVR(コンバージョン率)とは、Amazon広告のクリック数に対して、購入に繋がった割合のことを言います。CVRの計算式は次の通りです。
CVR(%)= コンバージョン数 ÷ セッション数 × 100
CVRが低い場合、クリックをされても購入までに至らないことが原因となります。
その場合、商品ページの見直しが欠かせません。購入率を上げるページの作り方については、こちらの記事で詳しく解説しておりますので、ぜひご覧ください。
4.2. 広告ランクを上げるための効果的な改善策
広告費が高すぎる場合は、広告ランクを見直す必要があります。
以下では、広告ランクの意味や、広告ランクを上げるための効果的な改善策について説明します。
・広告ランクとは
・入札金額を見直す
・キーワードの変更や調整を行う
4.2.1. 広告ランクとは
広告ランクとは、Amazonのスポンサープロダクト広告、スポンサーブランド広告、そしてスポンサーディスプレイ広告において、各ターゲット(キーワードや商品ASIN)ごとに算出される指標です。
この広告ランクに基づき、ターゲットに対して広告が表示されるかどうか、さらにはどの位置に表示されるかが決定されます。
広告ランクが高いほど、広告が表示されやすくなり、ユーザーの目に留まりやすい上位の掲載枠に表示される可能性が高まります。
4.2.2. 入札金額を見直す
CPC広告(クリック課金型広告)では、広告がクリックされるたびに料金が発生しますが、ACoSを抑えるには、適切な入札額を設定することが非常に重要です。ACoSが高くなっている場合、多くは入札額が高いことが原因になります。
入札額の決定に悩んだ場合は、Amazonが提示する「推奨入札額」を参考にすることができます。この推奨入札額は、対象となる商品や他の広告主が設定した入札額を基に、Amazonが自動的に算出したものです。これにより、競合他社の入札額を参考にすることが可能です。
競合の入札額を確認することで、自社の入札戦略に活用できます。競合の入札額に合わせて同じ価格で安定した入札を行うこともできますし、戦略的に少し高めに設定して競争力を高めることも可能です。
さらに、推奨入札額は日々更新されるため、競合の最新の入札データを常に確認し、最新の市場動向に基づいて判断することが大切です。
4.2.3. キーワードの変更や調整を行う
キーワードの見直しが重要であり、CVRの高いキーワードに広告予算を集中させることが効果的です。
スポンサープロダクト広告では、ACoSが高いキーワードを除外キーワードとして設定することで、検索結果に表示されないようにできます。これにより、無駄な広告費を削減でき、ACoSの効率的な改善にもつながるため、重要な対策と言えます。
4.2.4. 広告のターゲティングを見直す
上記で説明したキーワードと同様に、ターゲティングもコンバージョンに繋がりやすいものに絞ることが重要です。
Amazon広告のターゲティングには「オートターゲティング」と「マニュアルターゲティング」の2つの方法があります。
オートターゲティングでは、Amazonが自動的に選定したキーワードに対して広告を表示させるため、初心者でも簡単に広告を出稿できますが、費用対効果の高いキーワードだけに絞ることはできません。
一方で、自社の商品に最も適したターゲットを設定したい場合は、カテゴリーやキーワードを自分で選定する「マニュアルターゲティング」を使用することが推奨されます。パフォーマンスの悪いターゲットを少しずつ除外することで、広告の最適化を進めることができます。
5. Amazonで売上を上げるための広告運用
Amazon広告の運用について、利益率の向上と売上の拡大を実現するには、適切な指標の理解と戦略的なアプローチが重要です。
以下では、ACoSと当社独自の指標であるACoTS(Advertising Cost of Total Sale)を中心に効果的な運用方法を説明します。
・ACoSだけでなくACoTSをみる
・ACoSにとらわれすぎない運用が重要
・ビジネスフェーズに応じた戦略の最適化
5.1. ACoSだけでなくACoTSをみる
前述で述べた通り、Amazon広告の効果を測定する上で、ACoSは最も基本的な指標として知られています。
ACoSは、広告によって得られた売上に対する広告費の割合を示しており、一般的にはその数値が低いほど効率が良いとされています。しかし、ACoSだけでは広告の全体的な影響を把握するのに十分ではありません。
そこで重要になるのが、当社が独自に採用しているACoTS(Advertising Cost of Total Sale)という指標です。
ACoTSは広告費を全体売上で割った値で、ビジネス全体における広告の影響力を測るための効果的な指標です。ACoTSは通常、10%~15%を目安とすることが推奨されます。
たとえば、ある商品の月間広告費が100万円、広告経由の売上が500万円、全体の売上が1000万円だった場合、以下のように計算されます。
ACoS = 100万円 ÷ 500万円 × 100% = 20%
ACoTS = 100万円 ÷ 1000万円 × 100% = 10%
この場合は、ACoSは20%と比較的高めですが、ACoTSは10%と適正範囲内にあります。広告が直接的な売上だけでなく、ブランド認知度の向上や自然検索順位の改善にも貢献している可能性を示唆しています。
5.2. ACoSにとらわれすぎない運用が重要
ACoSとACoTSは重要な指標ですが、必ずしも低ければ良いというわけではありません。商品のライフサイクルや競合状況、利益率などを考慮し、適切な目標値を設定することが重要です。
たとえば、新商品の立ち上げ期では、認知度向上と市場シェア獲得のために一時的に高いACoSとACoTSを許容し、積極的な広告投資を行うことも戦略的に効果的です。この段階ではACoS、ACoTSが100%を超えたりすることもあるでしょう。
成長期に入ると、ACoSを30%~40%程度、ACoTSを15%~18%程度に調整することを目指します。成熟期の商品では、さらに効率を重視し、ACoSを20%~30%以下、ACoTSを10%~15%以下に抑えることで、収益性の高い広告運用を実現します。
商材によって目標数値の調整が必要ですが、重要なのはACoSとACoTSを含む各種指標をバランス良く見ながら、全体の売上と利益を最大化することです。ひとつの指標にこだわりすぎず、常に大局的な視点を持って広告運用を行うことが、Amazon事業の成功につながります。
5.3. ビジネスフェーズに応じた戦略の最適化
Amazon事業は一般的に、立ち上げ期、成長期、安定期、衰退期という4つのフェーズを経ます。各フェーズで重視すべきKPIと広告戦略は異なります。
- 立ち上げ期:この段階では、売上実績の構築とレビュー獲得が最優先です。ACoSは高めでも構いません。ACoTSも一時的に高くなる可能性がありますが、長期的な成長のための投資と捉えるべきです。
- 成長期:自然検索順位の向上とセッション数の増加が重要になります。ACoSを徐々に最適化しつつ、ACoTSも目安の範囲内に収めていくことを目指します。
- 安定期:利益率の最大化が主な目標となります。ACoSを厳密に管理し、ACoTSも10%~15%の範囲内で維持することで、効率的な広告運用を実現します。
- 衰退期:これ以上の売上が見込みづらい商品は緩やかに在庫消化を進めていきます。必要に応じて広告の展開、販売価格の値下げ、次の商品への投資を検討していきましょう。
5.4. 効果的な広告運用のアクションプラン
- データの定期的な分析: ACoS、ACoTS、売上高、利益率などの指標を定期的に確認し、トレンドを把握します。また、キーワードごとのパフォーマンスも細かく分析しましょう。
- 戦略の最適化: パフォーマンスの低いキーワードは停止または入札額を調整し、高パフォーマンスのキーワードには予算を集中させます。常に費用対効果を意識した運用を心がけましょう。
- 商品リスティングの改善: 魅力的な商品タイトルや高品質な画像、適切な商品説明を用意することで、広告のクリック率や転換率の向上につながります。
- 競合分析: 競合商品の価格やパフォーマンスを定期的にチェックし、自社商品の差別化ポイントを明確にすることで、広告効果を高めることができます。
これらのアクションプランを実践することで、ACoSとACoTSのバランスを保ちながら、より効果的なAmazon広告運用が可能になります。市場の変化に常に対応し、柔軟に戦略を見直すことが、長期的な成功へのカギとなります。
6. まとめ
Amazonでの広告運用において、ACoSとACoTSを正しく理解し、管理することは、費用対効果を最大限に高め、売上を伸ばすために非常に重要です。ACoSが高くなる原因を見極め、適切な改善策を講じることで、広告費を無駄にすることなく、効果的な広告運用が可能になります。
今回解説した内容を参考に、ACoSの最適化に取り組み、より良い結果を目指してみてください。
Amazon広告運用は「株式会社GROOVE」にご相談ください!
Amazon広告代理店へのご依頼は、是非「株式会社GROOVE」へご相談ください。株式会社GROOVEでは、Amazon専門コンサルとして、Amazonでの販売に関連する戦略の提案から、マーケティング施策の実行、日々の細かなレポーティングにいたるまで、豊富な経験と専門知識を活かしてブランド様のAmazon運用をトータルサポートします。
また、ご予算や目標に合わせた最適な広告戦略の策定や高品質な広告デザインの作成、データ分析に基づいた運用の最適化によって、広告パフォーマンスの最大化を図ります。
Amazon内の広告はもちろん、AmazonDSPの運用やSNS活用による集客の強化などのご要望にも対応しています。どんな些細なことでも、お気軽にお問い合わせください。
監修者 : 田中 謙伍
株式会社GROOVE 代表取締役
慶應義塾大学環境情報学部卒業後、新卒採用第1期生としてアマゾンジャパン合同会社に入社。出品サービス事業部にて2年間のトップセールス、マーケティングマネージャーとしてAmazon CPC広告スポンサープロダクトの立ち上げを経験。株式会社GROOVEおよび Amazon D2Cメーカーの株式会社AINEXTを創業。立ち上げ6年で2社合計年商50億円を達成。
【登録者数 5万人のYouTubeチャンネル】
たなけんのEC大学:https://www.youtube.com/@ec8531
執筆者 : 松岡 孝明
株式会社GROOVE マーケティング事業部
大学卒業後、大手百貨店に就職。店頭での販売やマーケティング経験を積んだ後、ECコンサルティング事業を行なう企業へ転職。現在は株式会社GROOVEにて、マーケティングを担当。EC運営に関するお役立ち情報の発信や、セミナーの企画などを行なっています。