Amazonスポンサーディスプレイ広告|運用メリットや設定方法を解説

Amazonプラットフォーム内外のさまざまな場所で表示される、Amazonスポンサーディスプレイ広告。マーケティング戦略における重要なツールとして、多くのEC事業者が活用しているこの広告について、本記事ではその特徴、運用メリットや始め方などを紹介しています。Amazonスポンサーディスプレイ広告に出稿を考えている方々にとって有益な情報を記載しているので、ぜひ参考にしてください。


 

 

1. スポンサーディスプレイ広告とは


Amazonスポンサーディスプレイ広告とは、高度なターゲティングを可能にし、Amazonプラットフォーム内外のさまざまな場所で表示される広告です。この広告は、利用者の興味や過去の行動データに基づき、商品の詳細ページやカスタマーレビュー横などで効果的に配信されます。

特に、過去に購入しなかった商品を再検討させるリターゲティングや、新規顧客へのリーチ拡大に役立ちます。この広告を利用することで、特定のターゲット層に対して直接的かつ効果的にアプローチが可能となり、広告の見える化と最適化が進むため、マーケティング戦略における重要なツールとしての位置づけを不動のものにしています。

 

1.1. スポンサーディスプレイ広告の特長

ここではスポンサーディスプレイ広告の掲載場所、課金方式、利用できるフォーマットなど特徴をご紹介します。

 

| 掲載場所

スポンサーディスプレイ広告は、商品詳細ページやカスタマーレビュー脇、カート下、画像付近に掲載され、購入者の目に留まりやすくなっています。

さらに、商品検索結果ページのサイドやおすすめ商品の下広告枠など、ユーザーが商品を探索している際にも表示されます。

PCでの商品詳細ページでの表示例

炊飯器

加えてTwitchやIMDbなど、外部のプラットフォームにも広告が展開されます。これにより、EC事業者はAmazonプラットフォームを通じて、潜在顧客に対してより戦略的かつ効率的にアプローチすることができるのです。

 

| 課金方式

Amazonスポンサーディスプレイ広告の課金方式には、「クリック課金」と「vCPM(ビューアブルインプレッション単位課金)」の2種類が存在します。広告キャンペーンの目的に応じて、これらの課金方式を選択することができます

例えば、ページ訪問数を最大化したい場合はクリック課金が適しており、広告の表示回数を最大化したい場合はビューアブルインプレッション単位課金を選択することが推奨されます。広告の目的に沿った最適な課金方法を選ぶことで、コストパフォーマンスの向上が期待できるでしょう。

 

| 利用できるフォーマット

スポンサーディスプレイ広告は、画像広告と動画広告の二つのフォーマットが利用可能です。画像広告では、商品ページをリンク先として、商品の画像を活用した広告を表示します。この形式では、画像にテキストやグラフィックを加えることはできません。

一方、動画広告では、商品ページをリンク先に設定し、動画を用いた広告を展開できます。動画は最大45秒の長さであり、効果的なメッセージを視覚的に伝えることが可能です。

 

1.2. スポンサーディスプレイ広告を利用するメリット

スポンサーディスプレイ広告には主なメリットには以下のものがあります。

 ・リターゲティングができる
 ・ファーストビューで強くアピールできる
 ・広告の表示箇所が幅広い

それぞれについて、解説します。

 

| リターゲティングができる

スポンサーディスプレイ広告の利用において、リターゲティングは非常に強力な機能です。リターゲティングを活用することで、過去に特定の商品を閲覧したが購入に至らなかったユーザーや、特定の商品を購入したことがあるユーザーに対して、関連商品や再購入を促す広告を効果的に表示することが可能になります。

リターゲティングにより、EC事業者は顧客の購入サイクルに合わせて、より適切なタイミングで広告を配信することができ、ユーザーの関心を再度引き戻すことができます。

 

| ファーストビューで強くアピールできる

ファーストビューでの強力なアピール力も、スポンサーディスプレイ広告の最大のメリットの一つ。Amazonスポンサーディスプレイ広告を活用することで、ユーザーが最初に目にするページ部分に広告を配置し、商品やサービスを効果的に宣伝することができます。

特にカートボックスの近くなど、ユーザーの注目を集めやすい位置に広告を掲載することで、商品詳細ページを訪れたユーザーに対して、競合商品の検討段階でも強くアピールすることが可能です。このように、スポンサーディスプレイ広告は、EC事業者がターゲットとするユーザーに対して、直接的かつ効果的にリーチするための重要な手段となります。

 

| 広告の表示箇所が幅広い

スポンサーディスプレイ広告の大きなメリットの一つは、その広告配信の範囲の広さにあります。この広告はAmazonの内部のみならず、外部サイトにも配信されるため、非常に幅広い層の潜在顧客にリーチすることが可能です。

具体的には、Amazonの商品詳細ページや検索結果ページ、さらにはTwitchやIMDbなどの外部パートナーサイトにも表示されます。このような広範囲にわたる広告の掲載は、リターゲティング機能と組み合わせることで、新規顧客の獲得やインプレッションの増加にもつながります。

 

1.3. スポンサーディスプレイ広告の利用条件

スポンサーディスプレイ広告を利用するには、以下の条件をすべて満たす必要があります。

 ・大口出店
 ・カート獲得
 ・ブランド登録

これらの条件について説明します。

 

| 大口出店

スポンサーディスプレイ広告を利用するための条件として、特に大口出店が必要です。大口出店とは、月額4,900円(税抜き)のプラン料金を支払うことで、商品が何点売れても成約料を支払わなくて済む出品形態を指します。

また、販売している商品の商標登録を行うことも必要条件の一つです。これらの条件を満たすことで、EC事業者はスポンサーディスプレイ広告を通じて、より効果的なマーケティング活動を展開することが可能になります。

 

| カート獲得

Amazonスポンサーディスプレイ広告を利用するための条件の一つに、「カート獲得」があります。

Amazonは1つの商品ごとに1ページが表示される「カタログ型」と呼ばれるECサイトです。そのため一つの商品ページに対して、複数の出品者がその商品を出品している場合、商品ページの最初に表示されるのは1つの店舗のみと決まっています。この商品ページの最初に表示される状態のことを「カート獲得」と呼びます。

画面右中央に表示された「販売元」がカートを獲得している出品者
それ以外の出品者は画面下部の「Amazonの他の出品者」にまとめられる

化粧水

カートの獲得に関しては、上記の大口出品であることが必須条件となっています。その上で注文不良率やキャンセル率、出荷遅延率などが指標として使用されています。これらの指標についてはアカウント健全性ページで確認できるため、既にカート獲得ができている出品者であっても定期的にチェックをするようにしましょう。

Amazon公式サイトに記載の条件はこちらをご確認ください。
https://sellercentral.amazon.co.jp/help/hub/reference/external/200418100?ref=efph_200418100_cont_G201687550&_fsi=PZyk64zr&_fsi=kwh35YPZ&locale=ja-JP

 

| ブランド登録

Amazonスポンサーディスプレイ広告を利用するには、「ブランド登録」が必須条件です。これは、Amazonに商標登録済みの商品を出品している出品者に限定されるサービスで、大口出店プランに登録している出品者のみが利用可能です。小口出店ではスポンサーディスプレイ広告を使用することはできません。

ブランド登録を行うことで、出品者はスポンサーディスプレイ広告を通じて自社商品をより効果的に宣伝し、潜在顧客に直接リーチすることができるようになります。

 

2. スポンサーディスプレイ広告の運用


ここからは、スポンサーディスプレイ広告の運用方法についてご紹介します。

 

2.1. スポンサーディスプレイ広告で利用できるターゲティング

スポンサーディスプレイ広告で利用可能なターゲティングオプションは、広告の戦略と目的に合わせて多岐にわたります。主に「コンテキストターゲティング」と「オーディエンスターゲティング」という2つの方法があります。

 ・コンテキストターゲティング
 ・オーディエンスターゲティング

それぞれの特徴について解説します。

 

| コンテキストターゲティング

コンテキストターゲティングは、Amazonスポンサーディスプレイ広告の中で特に有効なターゲティング方法の一つです。このターゲティング手法では、Amazon内でユーザーが見ている特定のカテゴリーや商品に基づいて広告を表示することが可能です。

つまり、ユーザーが興味を持っている商品や類似商品のページを訪れた際に、関連する広告がタイムリーに表示されるわけです。これにより、広告の関連性が高まり、クリック率やコンバージョン率の向上が期待できるでしょう。

 

| オーディエンスターゲティング

一方、オーディエンスターゲティングは、Amazonユーザーの過去の行動データを基にしてターゲティングを行います。このターゲティング手法では、購入履歴や閲覧履歴などから、関連性の高いユーザー群を特定し、そのオーディエンスに対して効果的に広告を表示することが可能です。

具体的には、Amazon内で特定の商品やカテゴリーを見たユーザー、特定の商品を購入したユーザー、あるいは特定の行動をとったユーザーなど、さまざまなセグメントに細分化して広告を展開することができます。この手法は、リーチの精度を高めることで広告のROIを最大化し、EC事業者にとって非常に価値の高い戦略となります。

 

2.2. スポンサーディスプレイ広告の設定方法

スポンサーディスプレイ広告は、以下の流れで設定します。

 ・キャンペーンの作成
 ・広告グループの作成
 ・入札方法の決定
 ・広告フォーマットを選択
 ・対象商品の選択
 ・ターゲティングの選択

では順番に説明します。

 

| キャンペーンの作成

スポンサーディスプレイ広告のキャンペーン作成は、Amazon広告キャンペーンマネージャーを使用して行います。まずは「キャンペーンを作成する」をクリックし、「スポンサーディスプレイ広告」を選択します。次に、キャンペーン名、ポートフォリオ(既存の場合は選択)、開始日、終了日、1日の予算を設定します。

このステップでは、キャンペーンの全体概要を定め、適切な予算配分を行うことが重要です。ポートフォリオを使うことで、複数のキャンペーンを効果的に管理することが可能となります。

 

| 広告グループの作成

広告グループの作成は、キャンペーン設定の重要なステップの一つです。まず、Amazon広告キャンペーンマネージャーで「キャンペーンを作成する」を選んだ後、広告グループを設定。ここで広告グループ名を指定し、広告の主な内容やターゲットを定義します。

広告グループごとに特定の商品やカテゴリー、ターゲットオーディエンスを組み合わせることが可能です。

 

| 入札方法の決定

スポンサーディスプレイ広告の入札方法を決定する際には、目標とする成果に応じて最適な戦略を選択することが重要です。以下の3つの最適化方法から選ぶことができます。

【リーチに合わせた最適化】
広告の表示回数を最大化することを目的とし、ビューアブルインプレッション1,000回あたりの費用で課金されます。

【ページの訪問数に合わせた最適化】
ページへの訪問数、つまり広告のクリック数を最大化することを目的とします。

【コンバージョンに合わせた最適化】
実際の売上やリード獲得など、コンバージョンを最大化することを目的とします。

これらの方法を選択することで、EC事業者は自社の商品やサービスに最も適したターゲット層に効率的にアプローチし、広告投資のROIを最大化することができます。入札方法の選択は、キャンペーンの成功に直結するため、慎重に行う必要があります。

 

| 広告フォーマットを選択

広告フォーマットを選択する際、画像または動画のいずれかのフォーマットを選べます。画像フォーマットでは、商品ページの写真を自動的に使用し、商品の魅力を直感的に伝えることができます。また、カスタム画像を用いて特定のメッセージやデザインを前面に出すことも可能です。

動画フォーマットの場合、最大45秒の動画を使用して、よりダイナミックで情報量の多い広告を展開できます。これにより、商品の詳細や使用方法を効果的に伝えることが可能となり、視覚的魅力を活かしたマーケティングが実現します。

 

| 対象商品の選択

スポンサーディスプレイ広告における対象商品の選択は、広告キャンペーンの成功において非常に重要なステップです。広告キャンペーンを設定する際には、広告を表示したい商品を選択し、それらをキャンペーンに追加する必要があります。これを行うには、Amazon広告キャンペーンマネージャー内で商品を検索し、表示されたリストから関連する商品を選択します。

商品選択には、ASIN(Amazon Standard Identification Number)や商品名で検索することができ、選択された商品は広告のランディングページとして機能し、顧客がクリックした際に直接その商品のページに誘導されます。

 

| ターゲティングの選択

スポンサーディスプレイ広告のターゲティング選択は、キャンペーンの成功に不可欠です。対象商品を選んだ後、先述したコンテキストターゲティングとオーディエンスの2つの方法から選択します。

コンテキストターゲティングでは、商品に関連するカテゴリーを選択し、特定の商品を閲覧したユーザーに広告を表示します。

一方、オーディエンスターゲティングでは、Amazonがユーザーの購買行動を分析し、適切なオーディエンスに広告を表示します。これにより、EC事業者は効果的にターゲット顧客にリーチし、広告のパフォーマンスを最大化できます。

 

3. スポンサーディスプレイ広告運用のコツ


スポンサーディスプレイ広告は、ただやみくもに運用しているだけでは、望むような利益は見込めません。ここでは、スポンサーディスプレイ広告運用のコツをご紹介します。

 

3.1. 他のスポンサー広告との使い分け

スポンサーディスプレイ広告と他のAmazonスポンサー広告との使い分けについては、ターゲティング方法の違いが重要です。スポンサープロダクト広告とスポンサーブランド広告は主にキーワードや商品に基づいてターゲティングされますが、スポンサーディスプレイ広告は「人」の興味や行動を基にターゲティングします。

したがって、スポンサーディスプレイ広告はユーザーの過去の購入歴や閲覧履歴を活用して、ターゲットユーザーの購入を促進したり、新規ユーザーを獲得したりするのに特に有効です。例えば、特定の商品を見たが購入しなかったユーザーに対してリターゲティングを行い、購入確率を高めるための広告を展開することが可能です。

このように広告ごとの特性を理解した上で、どんなユーザーに対しての広告表示をさせたいのかを考え、各広告ごとのターゲティングや予算を考えていくようにしましょう。

 

3.2. 動画クリエイティブを活用する

動画クリエイティブを活用することは、スポンサーディスプレイ広告運用の重要なコツの一つ。動画を使用することで、商品やサービスの特徴を視覚的に強調し、消費者の注意を引きつけることが可能です。また、動画は情報を効率的に伝えることができ、視聴者により深い印象を与えるため、広告のクリック率やコンバージョン率を向上させる効果が期待できます。

特に、商品の使用方法を示すデモンストレーションや、実際に使用している様子を映した動画は、消費者が商品を理解しやすくするため非常に効果的です。動画の長さは、短くて内容が凝縮されたものが一般的に好まれます。最適なのは15秒から30秒程度で、視聴者の注意が散漫にならないようにし、メッセージを簡潔に伝えることが重要です。

 

4. 運用時の注意点


最後に、スポンサーディスプレイ広告運用時の注意点をご紹介します。

 ・除外ターゲティングを設定できない
 ・出稿できない商品がある
 ・CPA(顧客獲得単価)が高まる恐れがある

それぞれについて解説します。

 

4.1. 除外ターゲティングを設定できない

スポンサーディスプレイ広告の重要な運用上の注意点の一つに、除外ターゲティングが設定できないことがあります。したがって、スポンサーディスプレイ広告では、広告を表示しないユーザーや場所を指定することができないため、広告配信の精度を高めるのが難しくなるという課題があります。

具体的には、広告を特定の製品やカテゴリーから除外するオプションがないため、関連性が低いまたは競合する製品に広告が表示される可能性があるのです。この仕様により、広告の無駄遣いが発生するリスクが高まり、最終的な広告効果に影響を与える可能性があります。

 

4.2. 出稿できない商品がある

出稿できない商品があることも、スポンサーディスプレイ広告運用における重要な注意点の一つ。特定のカテゴリーの商品や規制対象の商品は広告出稿が制限されています。例えば、アルコール飲料、一部の医薬品、タバコ関連製品などが該当します。

これらは健康や安全に関わる規制が厳しく、Amazonのポリシーにより広告掲載が不可とされています。また、成人向け商品や政治関連の商品も広告の対象外です。

 

4.3. CPA(顧客獲得単価)が高まる恐れがある

スポンサーディスプレイ広告を運用する際、CPA(顧客獲得単価)が高くなるリスクに注意が必要です。というのも、スポンサーディスプレイ広告は広告が表示される範囲が広いため、明確な運用目的とそれに合わせたターゲティングを行なっていなければ、購入に至らないクリックが発生しやすくなる可能性があるからです。

実際の購入に至らないクリックが多いと、広告費が必要以上にかさみ、CPAは上昇します。そのような状態を避けるためにも広告に関する知見を深めることが重要です。場合によってはAmazon広告の運用実績のある代理店を活用するとよいでしょう。

 

5. まとめ


Amazonスポンサーディスプレイ広告は、多様な配信場所とターゲティングオプションを駆使して、効率的な広告展開を可能にします。この広告は、EC事業者にとって顧客獲得コストを最適化し、リターゲティングを含む多彩な広告戦略を展開するための重要なツールです。適切なキャンペーン管理とクリエイティブな広告素材を駆使して、高いROIを達成し、事業成長を促進しましょう。

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執筆者 : 松岡 孝明
マーケティング事業部
大学卒業後、大手百貨店に就職。店頭での販売やマーケティング経験を積んだ後、ECコンサルティング事業を行なう企業へ転職。
現在は株式会社GROOVEにて、マーケティングを担当。EC運営に関するお役立ち情報の発信や、セミナーの企画などを行なっています。


 

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