Amazon Prime Day対策セミナー
この記事は、2022年5月19日にアマゾンジャパン合同会社・株式会社GROOVEが共同開催した「Amazon Advertising Prime Day対策セミナー」のポイントをまとめたものです。
セミナーの内容に沿って、この記事ではAmazon Prime Dayで売上を上げるための戦略や施策に焦点を当てて紹介します。記事を読むことで、Prime Dayの前後や期間中にどのような取り組みをすべきか、具体的なヒントが得られるはずです。ぜひ参考にしてみてください。
目次
- Prime Dayとは
- Amazon販売における最重要の前提知識
- Prime Day前後の戦略と施策
- まとめ
Prime Dayとは
AmazonのPrime Dayは、セール期間中の売上が伸びるだけでなく、「ビジネス全体における売上のベースアップ」や「社内EC体制の限界突破」をもたらすチャンスです。Prime Dayをきっかけに販売規模が拡大することで、事業レベルを1段階引き上げられる可能性があります。
Prime Dayが販売にもたらす効果としては、以下のようなものが挙げられます。
Prime Dayは、AmazonがCMなどを通じて外部から集客を行なうため、商品のインプレッション数やアクセス数が増加します。また、Prime Dayはお客様の購買意欲が高まっているため、CVRも上がりやすくなるでしょう。
しかし、他社のPrime Dayへの積極的な参加によってCVRが下がることもあります。そのため、他社がどのように対応するか予想したうえで、Prime Dayを迎えるための準備が必要です。
ここで、Prime Dayを活用して売上が上がった事例を紹介しましょう。以下は、2021年のPrime Day前後におけるあるブランドの売上推移です。
Prime Day前の平均売上は1日7万6,000円でしたが、Prime Dayの2日間で115万円以上の売上を達成しました。そして、Prime Day以降には1日の平均売上が15万4,000円となり、売上のベースがPrime Day前と比べて+106%アップしたのです。Prime Dayの工夫次第で、セール期間中だけでなくそれ以降の売上ベースがアップするという好事例です。
Amazon販売における最重要の前提知識
具体的なPrime Dayの対策に入る前に、Amazonで商品を販売するにあたって重要な3つの前提知識を押さえておきましょう。
Amazonの売上方程式
Amazonにおける売上は、「セッション数 × 購入転換率(CVR) × 購入単価」という方程式で成り立ちます。売上を伸ばすためには、自然検索やAmazon広告によってセッション数を増やし、メイン画像やサブ画像の工夫によってCVRを上げるといった取り組みが必要になります。
Amazonの検索アルゴリズム
Amazonを攻略するには、検索アルゴリズムの理解も不可欠です。まずインプレッションを獲得することでセッション数が拡大し、販売実績が増えて検索順位が上がります。その結果、検索順位が上がることでさらにインプレッションを獲得できる、といったよい循環を生み出すことが大切です。
Amazonのカスタマージャーニー
Amazon販売におけるカスタマージャーニーとは、「お客様がどのように商品ページにたどり着くかを表した道筋」のことです。
Amazonにおいては、検索からたどり着くお客様がもっとも重要です。以下の図のとおり、Amazonの商品ページに来るお客様の約60%は、自然検索または広告検索によって訪問しているからです。
Prime Day前後の戦略と施策
Prime Dayの期間中・期間後の売上を最大化するには、事前の準備が欠かせません。具体的には、Prime Dayの取り組みは以下4つのフェーズに分けられます。
- セール入稿
- 準備期間
- セール期間中
- セール後
ここでは、それぞれの期間における戦略と施策を紹介します。
セール入稿用の商品を選定する
まずはPrime Dayに向けて、セール入稿用の商品選定と、それぞれの商品に対する入稿目的の整理が必要です。セール入稿する商品は、以下の3つに分類できます。
- ベストセラーを獲得している、またはできそうな商品
- 長期的にセッションを増加させたい商品
- 一時的にCVRをアップさせたい商品
「ベストセラーを獲得している、またはできそうな商品」は、商品のカテゴリ自体を牽引すること、競合商品への顧客流出を防ぐことを目的にセール入稿を行ないます。
特定のジャンルですでに1位を獲得していたとしても、セール入稿する価値はあります。Prime Dayをきっかけに商品を購入してもらうことで、その後もAmazonでの継続購入が期待できるようになるからです。「売れ筋商品をPrime Dayで売ってイベントを盛り上げ、その商品を買う人が今後もAmazonを訪れる」という流れが生まれます。
また他社が1位を狙ってくるなか、セール入稿を続けることでポジションを守るのも重要です。
「長期的にセッションを増加させたい商品」は、Prime Day終了後のベースアップを最大の目的としてセール入稿を行ないます。Prime Dayで実績を作ることでセール終了後も検索上位をキープできるため、販売数の増加が期待できます。
「一時的にCVRをアップさせたい商品」は、シーズンオフや型落ちによって将来的には売上が落ちそうな商品を「今のうちに売る」といった目的でセール入稿を行ないます。
準備期間は商品ページを改善する
Prime Dayの準備期間中は、お客様に「買いたい」と思ってもらえるようなページ作りを進めましょう。具体的に改善したいのは、以下の3点です。
- メイン画像
- サブ画像
- タイトルや商品説明欄
以下の事例では、メイン画像の被写体の角度や光の入り方を変えただけで、クリック率が1.61倍に上昇しました。
セールの1~2ヵ月前に複数の画像を用意してABテストを行ない、最適なものを選びましょう。メイン画像を改善することで、Prime Dayの効果をさらに引き出せます。
2枚目以降をサブ画像と呼びます。購入者は3枚目の画像までに離脱する人が多いため、訴求ポイントは3枚目までに入れておきましょう。
以下は、ホームベーカリー製品のサブ画像を変えただけでCVRが1.62倍になった事例です。訴求ポイントを「おいしいパンが作れる」から、コロナ禍の変化を踏まえて「家族みんなでパンを作れる」に変えたことで、CVRが大きく向上しました。
商品ページの改善には、画像だけでなくタイトルや商品説明欄の工夫も必要です。市場調査をしたうえで適切なキーワードを選定し、タイトルや商品説明欄など商品ページに盛り込みましょう。
キーワード選定には、以下4つの方法があります。
- Amazon検索時の推奨キーワードを使う
- レビュー分析やブランド分析のツールで推奨されるキーワードを使う
- スポンサープロダクト設定時の推奨キーワードを使う
- Googleトレンドなど他サイトの分析からキーワードを探す
キーワードを設定したら、「ASIN + キーワード」で商品を検索してみましょう。確実に設定できているか、Prime Day前に確認しておくことが大切です。
セール期間中は流入を最大化させる
セール期間が始まったら、お客様を一気に商品ページへ流入させましょう。そのため、Prime Dayが始まり次第、広告を最大限に投入します。
Amazonの広告には大きく分けて以下の4種類があり、それぞれユーザーの購買意欲に差があります。
- スポンサープロダクト広告
- スポンサーブランド広告
- スポンサーブランド動画広告
- スポンサーディスプレイ広告
Prime Day当日に行なうべき施策は、キーワードターゲティングの広告を使い、ファーストビュー(1ページ目)を占有することです。もし予算があれば、商品ターゲティング系の広告(ASINターゲティングやオーディエンスターゲティング)も併用しましょう。商品の売上や販売数・広告費は、できれば1時間おきに確認し、広告の出稿量を調整します。
広告の予算は、以下のように使い分けるのがおすすめです。
- セール入稿時:売上の5~10%
- 準備期間 :通常の1.5倍
- セール期間中:通常の10~15倍
- セール後 :売上の5~10%
セール期間中に通常の10~15倍の広告費をかけるのは、最初にベストセラーを獲得できればそのままポジションを維持しやすいからです。Prime Dayが始まり次第、一気にベストセラーを狙いにいけるよう広告予算を準備しておきましょう。
セール後はSEO維持に努める
セール後は、Prime Dayによって築いたSEOのポジションを維持することが大切です。
セール後はDSP広告が大きな効果を発揮します。DSP広告とは、商品ページを訪れたことのあるユーザーに対し、Amazonの外で表示する広告です。「Prime Day期間中に商品を見たが買わなかった」という人に再度アプローチできます。
Prime Dayが終わったあとは、広告レポートをダウンロードしておきましょう。Prime Dayの結果をデータとして蓄積することで、次回以降に活かせます。取り組みの内容や目標の達成状況など振り返りを行ない、翌年以降の目標設定・施策立案の精度を高めることが大切です。
まとめ
本記事では、Amazon Prime Dayにおける戦略・施策について、セール前からセール後まで期間別に紹介しました。仕組みを理解したうえで適切にアプローチすれば、Prime DayはAmazon販売を大きく飛躍させるチャンスとなります。